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カリフォルニア大学アーバイン校・五十嵐研究室 博士研究員募集

カリフォルニア大学アーバイン校医学部 神経科学・解剖学科の五十嵐啓 研究室は、2016年2月に発足予定の研究室です。当研究室では、2016年4月以降よりポスドクとして研究に参加できる方を募集いたします。
記憶研究はこれまで、海馬・内側嗅内野(MEC)のplace cells, grid cellsによる空間表現・空間記憶を中心に研究が展開されてきました。しかし、私たちは対象物・時間・空間を相互に関連づけた記憶(エピソード記憶)を行うのがふつうです。このようなエピソード記憶の神経メカニズムはこれまでほとんど研究が進んできませんでしたが、主宰者らの研究(Igarashi et al., Nature, 2014)から、外側嗅内野(LEC)がこのようなエピソード記憶に重要な役割を担っている可能性が示唆されました。本研究室では、ラット・マウスの嗅覚領域・外側嗅内野・海馬領域をモデルに用い、「どのような神経回路メカニズムによって感覚情報がエピソード記憶に変換・記録されるのか?」をテーマに研究を展開する予定です。
嗅覚-海馬系回路は、末梢から海馬へ最短で3シナプスで情報が届く、ほ乳類の神経系では極めてシンプルな系です。この系をモデルに用い、複数の領域におけるスパイク・局所脳波の相関を解析することで、脳領域間の相互作用に焦点を当てた研究を進めます。主たる研究手法には、high-density multiunit recording・行動実験・optogeneticsを用い、感覚研究と記憶研究を統合・横断する研究を目指します。
詳細は https://sites.google.com/site/keiigarashiuci/ をご覧下さい。
【応募資格】
神経科学分野で博士取得、もしくは取得見込みで、一報以上の論文を持つ方を希望します。電気生理学の技術・実績を持つ方を優先しますが、新しく電気生理学を修得したいという方も歓迎です。研究室でのコミュニケーションに必要な英語力を持つことも必須です。
【待遇】
カリフォルニア大学のポスドク給与規定によります。一年ごとの契約ですが、更新可能です。長期を希望の方や海外でのfaculty postに興味のある方も歓迎します。
【採用時期】
採用は2016年4月以降になります。留学にはビザ申請などの手続きもあり、通常一年ほどの準備期間がかかることに留意してください。
【応募方法】
1. これまでの研究の概要、今後の研究の目標と将来のゴールを記したカバーレター
2. CV
3. コンタクト可能な推薦者三名の名前と連絡先
以上を一つのPDFファイルにして igarashi.uci[at]gmail.com までお送り下さい。

【研究室主宰者について】
主宰者の五十嵐は、東京大学医学部の森憲作教授のもと、嗅覚研究に携わり博士課程を修了しました。ノルウェー科学技術大学・カヴリ統合脳科学研究所のEdvard Moser, May-Britt Moser教授(2014年ノーベル医学・生理学賞受賞者)の研究室で現在ポスドクをしており、嗅内野・海馬の機能相関の研究を行っております。2016年よりUniversity of California, Irvine (UCI) へAssistant professorとして異動予定です。
神経科学はこれまで、個々の脳領域の解析が中心でしたが、複数の脳領域の相互作用がどのように行われるか、その相互作用によってどのような行動が得られるのかは今後重要な研究になると主宰者は考えており、これを可能にする電気生理学的手法の重要性は今後ますます高くなると予想されます。このような趣旨に同調され興味を持たれた方は、ぜひ五十嵐までコンタクトして頂ければと考えております。

【主要な参考文献】
1. Coordination of entorhinal-hippocampal ensemble activity during associative learning.
Igarashi KM*, Lu L, Colgin LL, Moser MB, Moser EI* (*Co-corresponding authors)
Nature, 510:143-7 (2014)
以下のPreviewも参照して下さい:
Brain Rhythms: Towards a Coherent Picture of Ensemble Development in Learning.
Rangel LM, Eichenbaum H. Curr Biol. 24:R620-1 (2014)
2. Functional diversity along the transverse axis of hippocampal area CA1.
Igarashi KM*, Ito HT, Moser EI, Moser, M-B. (*Corresponding author)
FEBS Lett., 588:2470-2476 (2014)
3. Parallel mitral and tufted cell pathways route distinct odor information to different targets in the olfactory cortex.
Igarashi KM*, Ieki N, An M, Yamaguchi Y, Nagayama S, Kobayakawa K, Kobayakawa R, Tanifuji M, Sakano H, Chen WR, Mori K* (*Co-corresponding authors)
Journal of Neuroscience 32:7970-85 (2012)

【カリフォルニア大学アーバイン校について】
カリフォルニア大学アーバイン校は、創立50周年の比較的新しい大学ですが、US NewsのBest Global Universities for Neuroscience and Behavior部門では国際ランキング25位と、神経科学分野では高い評価を受けています(東大は61位、京大は98位)。アーバイン市は全米一安全な街に選ばれたこともある治安の良い街で、車で一時間弱のロサンゼルス国際空港からは日本への直行便が多数あります。付近にはおよそ3万人の日本人が暮らしており、全米で9店舗しかない日本食スーパー(ミツワ)が2店舗もあるなど、米国のなかでも最も日本人にとって暮らしやすい街の一つといえます。
【問い合わせ】
五十嵐 啓 (Kei Igarashi, Ph.D.)
Research Associate
Kavli Institute for Systems Neuroscience, Norwegian University of Science and Technology (NTNU)
E-mail: igarashi.uci[at]gmail.com
https://sites.google.com/site/keiigarashiuci/
http://www.ntnu.edu/employees/igarashi


投稿者:五十嵐 啓

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