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カリフォルニア大学アーバイン校・五十嵐研究室 博士研究員募集

カリフォルニア大学アーバイン校医学部 神経科学・解剖学科の五十嵐啓 研究室は、2016年2月に発足した研究室です。当研究室では、2017年4月以降よりポスドクとして研究に参加できる方を募集いたします。

記憶研究はこれまで、海馬・内側嗅内野(MEC)のplace cells, grid cellsによる空間表現・空間記憶を中心に研究が展開されてきました。しかし、私たちは対象物・時間・空間を相互に関連づけた記憶(エピソード記憶)を行うのがふつうです。このようなエピソード記憶の神経メカニズムはこれまでほとんど研究が進んできませんでしたが、主宰者らの研究(Igarashi et al., Nature, 2014)から、外側嗅内野(LEC)がこのようなエピソード記憶に重要な役割を担っている可能性が示唆されました。

一方、嗅内野はアルツハイマー病において最も変性が生じる部位であり、病理起始領域である可能性が示唆されていますが、これまでのアルツハイマー研究は海馬での報告がほとんどであり、嗅内野のどのような神経細胞の活動低下・神経回路機能の変化が記憶失調に結びつくのかはまだほとんど分かっていません。本研究室では、理化学研究所の西道ラボで開発された新しい第三世代アルツハイマーモデルマウスを用いて、アルツハイマー病の「生理・回路機構」の研究を進めています。行動中のマウスの神経活動を、電気生理と光遺伝学手法を用いて記録・操作し、アルツハイマー病モデルの病状回復を目指します。

今回の募集では、電気生理学もしくはイメージングの経験のある方、もしくは、神経回路解析(ウイルストレーシング、抗体染色等)の経験があり行動学・電気生理学の習得に興味のある方を募集します。プロジェクトはJSTさきがけ事業のサポートのもと行われます。
詳細は www.igarashilab.org をご覧下さい。
【応募資格】
神経科学分野で博士取得、もしくは取得見込みで、一報以上の筆頭著者論文を持つ方を希望します。研究室でのコミュニケーションに必要な英語力を持つことも必須です。
【待遇】
カリフォルニア大学のポスドク給与規定によります。一年ごとの契約ですが、更新可能です。長期を希望の方や海外でのfaculty postに興味のある方も歓迎します。
【採用時期】
採用は2017年4月以降になります。留学にはビザ申請などの手続きもあり、数ヶ月以上の準備期間がかかることに留意してください。
【応募方法】
1. これまでの研究の概要、今後の研究の目標と将来のゴールを記したカバーレター
2. CV
3. コンタクト可能な推薦者三名の名前と連絡先
以上を一つのPDFファイルにして kei.igarashi@uci.edu までお送り下さい。

【研究室について】
主宰者の五十嵐は、東京大学医学部の森憲作教授のもと、嗅覚研究に携わり博士課程を修了しました。ノルウェー科学技術大学・カヴリ統合脳科学研究所のEdvard Moser, May-Britt Moser教授(2014年ノーベル医学・生理学賞受賞者)の研究室でポスドクをしたのち、University of California, Irvine へAssistant professorとして赴任しました。研究室では現在、五十嵐とポスドク1名、学部生2名を中心に研究を展開しています。

【主要な参考文献】
1. Coordination of entorhinal-hippocampal ensemble activity during associative learning.
Igarashi KM*, Lu L, Colgin LL, Moser MB, Moser EI*
Nature, 510:143-7 (2014)
2. Plasticity in oscillatory coupling between hippocampus and cortex
Igarashi KM*
Curr Opin Neurobiol. 35:163-168 (2015)
3. Parallel mitral and tufted cell pathways route distinct odor information to different targets in the olfactory cortex.
Igarashi KM*, Ieki N, An M, Yamaguchi Y, Nagayama S, Kobayakawa K, Kobayakawa R, Tanifuji M, Sakano H, Chen WR, Mori K*
Journal of Neuroscience 32:7970-85 (2012)

4. Impaired in vivo gamma oscillations in the medial entorhinal cortex of knock-in Alzheimer model.
Tomoaki Nakazono, Travis N Lam, Ayushi Y Patel, Masashi Kitazawa, Takashi Saito, Takaomi C Saido and Kei M Igarashi*.
Submitted (2017)


【カリフォルニア大学アーバイン校について】
カリフォルニア大学アーバイン校は、創立50周年の比較的新しい大学ですが、全米で最も古い記憶研究センターとアルツハイマー病研究センターを擁し、記憶・アルツハイマー病研究のメッカの一つです。

アーバイン市は全米一安全な街に選ばれたこともある治安の良い街で、車で40分のロサンゼルス国際空港からは日本への直行便が多数あります。付近にはおよそ3万人の日本人が暮らしており、全米で9店舗しかない日本食スーパー(ミツワ)が2店舗もあるなど、米国のなかでも最も日本人にとって暮らしやすい街の一つといえます。
【問い合わせ】
五十嵐 啓 (Kei Igarashi, Ph.D.)
Assistant Professor
Department of Anatomy and Neurobiology
Center for the Neurobiology of Learning and Memory
University of California, Irvine

kei.igarashi@uci.edu
www.igarashilab.org


投稿者:五十嵐啓(kei.igarashi@uci.edu)

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