本の紹介『自分の時間を取り戻そう』

ちきりん『自分の時間を取り戻そう』が、出版されたので、読みました。

いかに仕事の生産性を高めるかと言うことに焦点を置いた本であり、彼女の提案は、「まず働く時間を短くする」ということ。その中で、生産性の低い仕事があぶり出され、それらに手をつけず、生産性の高いことにのみ集中せざるを得なくなる。もう一つの提案は、「全部やる必要はない」ということを意識することでした。

面白い本だと思うので、是非、一読をお勧めします。

さて、この本の論旨とは、少し離れるかも知れませんが、とても、自分の心に響いた箇所が3つあったので、紹介します。

一つ目は、ちきりんさんにとっての、希少価値。

自分に取っての希少価値を見定めるべしと説いています。多くの方の場合には、お金と時間ということになり、その希少価値をいかに有効に使うかということが生産性向上の重要なポイントになります。

ちきりんさんにとって、お金と時間以外の希少価値は何かというと「頭がきちんと働く時間」だそうで、彼女にとって、「一定レベルの集中力で頭を動かすことができることが可能な4時間」だそうです。若い頃は、もっと長かったのが、現在では、1日4時間になったということ。

実は、僕も、このことは、50歳を過ぎて、痛感しています。自分に取っての一定レベルの集中力で頭を動かすことが可能な時間は、5年前は6時間くらいあったように思うのですが、今では4時間くらいになっています。しかも、僕の場合は、4時間が連続しておらず、午前中の2時間と、夕方頃の2時間に分かれています。6時間くらいあるときは、だいたい、勤務時間から会議とかを抜いた時間に一致していますから。意識すらしなくてよかったわけですが、2+2となると、意識せざるを得ません。なんか、集中できないと悶々として、原稿が進まないということになってしまいます。

その朝2時間、夕方2時間に、いかによけいな会議やら、下らない仕事を入れないで、集中するかということが重要なのです。

これは、なるほどと思ったのは、ちきりんさんはTo do listの立て方です。

「頭が動くときのTo do list」と「頭が動かないときのTo do list」というふうにわけているそうです。「頭が動くときのTo do list」には、原稿執筆、講演の準備、イベントの企画、将棋の練習、なんかをリストアップし、「頭が動かないときのTo do list」には、風呂掃除、ヒールの修理を靴屋に持っていく、冷蔵庫の整理、Facebookのいいね、をリストアップしているそうです。

僕も、今度から、「頭が動くときのTo do list」「頭が動かないときのTo do list」にわけること、積極的にやってみようと思いました。

2つ目は、メールの扱い。

ちきりんさんは10年前から、すべてのメールに返信することはやめているそうです。

「すべてのメールに返信する必要がある」と思っていると、「時間をかけずに返事ができる、たいして重要でもないメールへの返信が優先され」、「後からよく考えて返信しよう」と考えていたメールへの返事が遅れてしまうと言う本末転倒なことが起こる。

メールを読んで、すぐに返事をするかどうかは判断し、もう一度メールが来るまでは返事をしない、と判断した場合には、アーカイブして、受信箱から消してしまうそうです。

あと、日本語変換ソフトに、「りょうかい」とタイプすると、「了解いたしました。よろしくお願いします。」と、「せっかく」とタイプすると、「せっかくお声がけいただきましたのに、貴意にそえず大変申し訳ありません。どうぞよろしくご理解のほどよろしくお願いいたします。」と変換されるそうです。

僕も、かなり、これに近い運用をしていましたが、我が意を得たりと思い、思い切って、さらに、進めていこうと思いました。

3つめは「最後まで頑張る場所は厳選する」という話。

本書では、ラーニングカーブを取り上げて、説明されています。ゼロから8割のデキまでは、2割くらいの時間で到達できるけれど、残りの2割の仕事を仕上げて、完璧にするには、今までの4倍の時間がかかる。

「これは自分に取って勝負の分野だ」と判断するなら、最後まで頑張るべきだけど、自分に取ってたいして重要でない分野なら、8割のデキのところまでいったところでやめるというのが合理的な判断。

この見極めをしっかりすることが重要とのことです。

さらに、私のような、浅く広くしかできない人間にとって、励まされたのは、以下の記述でした。

多くのことに手を出し、その大半を数年でやめてしまう人のことを「なにをやっても中途半端な人」と批判する人がいますが、私は、このスタイルの何が悪いのか分かりません。こういう人は、自分の貴重な時間の学びの生産性が極めて高いフェーズにのみ投入している、とても合理的な人なのです。

というわけで、今まで通り、広く、浅くやっていきます。深くやることもきちんと自覚しながら。

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