2017.02.13

国試が終わって1ヶ月暇な人に勧める10冊〜Part2〜

以前、「国試が終わって1ヶ月暇な人に勧める10冊」が、結構、好評だったみたいなので、第2弾。

前回と重ならないように選んでみました。

上中下と3分冊ですが、こんなタイミングじゃなければ、読めない。

スリー・カップス・オブ・ティー (Sanctuary books)
グレッグ・モーテンソン デイヴィッド・オリバー・レーリン
サンクチュアリパプリッシング

あなたの人生を変えてしまうかも知れない1冊です。

医療系の素晴らしいエッセイを2つ。

決められない患者たち
Jerome Groopman MD Pamela Hartzband MD
医学書院

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか
アトゥール・ガワンデ
みすず書房

ここから先はエンターテイメント。古典と言ってもいいのかも知れませんが、読んでいないなら、是非。

楽しめるミステリー3冊を紹介します。

伊坂幸太郎の本格ミステリー。あっと、驚く結末です。

ジャンプ (光文社文庫)
佐藤 正午
光文社

僕が一番好きなミステリー。

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
レイモンド・チャンドラー
早川書房

ハードボイルドミステリーなら、こちら。

最後に、SFを2冊。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
カズオ・イシグロ
早川書房

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)
ロバート・A. ハインライン
早川書房

2016.12.10

本の紹介『研究留学のすゝめ!』

献本ありがとうございます。

僕は、2002年にシアトルでの2年9ヶ月の留学生活を終え、日本に戻りました。その際に、2000年からはじめていた、研究留学ネットの内容を1冊の本にまとめ、「研究留学術」として出版しました。「研究留学術」が出版される前は、研究留学に関する書籍は何冊かあったのですが、「研究留学術」出版以降は、1冊も出版されていません。

こういった、ハウツー物的な内容は、webサイトから情報を得るようになったというのも一つですが、「研究留学術」がこの手の本で、群を抜いて完成度が高く、多くの方から高い評価を得たからだと思っています。自分で言うのも僭越ですが。事実、これまでに、1万3000部ほどが売れ、ロングヒットになりました。

一方で、「研究留学術」は、僕の経験をベースにした本ゆえ、すでに、日本に戻ってきている僕にはアップデートすることもできませんでした。それでも、増刷の際には、ビザの情報などはできる限りアップデートしてきましたし、出版から10年経って、改訂する際には、島岡さんと広田さんと私の鼎談を入れたりしてきました。でも、自分としても不本意な部分もあって、これでいいのかと、ずっと思っていました。

今回、羊土社から出版された「研究留学のすゝめ!」 は、「研究留学術」以降、はじめての研究留学本です。実験医学の連載記事「留学のすゝめ」をベースにまとめられ、多くの方が様々な経験を語られています。多くの方の分担執筆ゆえ、一貫性がない部分はありますが、留学された場所も多様で、研究者のバックグラウンドも多様なので、多くの方に参考になるのではないかと考えています。

僕自身、少しホッとしている部分もあり、次回、出版社から、「そろそろ在庫がなくなってきましたが、増刷どうしますか」と言われたら、「もう、そろそろ、やめましょうか」と安心して答えられると思います。

2016.11.28

本の紹介『自分の時間を取り戻そう』

ちきりん『自分の時間を取り戻そう』が、出版されたので、読みました。

いかに仕事の生産性を高めるかと言うことに焦点を置いた本であり、彼女の提案は、「まず働く時間を短くする」ということ。その中で、生産性の低い仕事があぶり出され、それらに手をつけず、生産性の高いことにのみ集中せざるを得なくなる。もう一つの提案は、「全部やる必要はない」ということを意識することでした。

面白い本だと思うので、是非、一読をお勧めします。

さて、この本の論旨とは、少し離れるかも知れませんが、とても、自分の心に響いた箇所が3つあったので、紹介します。

一つ目は、ちきりんさんにとっての、希少価値。

自分に取っての希少価値を見定めるべしと説いています。多くの方の場合には、お金と時間ということになり、その希少価値をいかに有効に使うかということが生産性向上の重要なポイントになります。

ちきりんさんにとって、お金と時間以外の希少価値は何かというと「頭がきちんと働く時間」だそうで、彼女にとって、「一定レベルの集中力で頭を動かすことができることが可能な4時間」だそうです。若い頃は、もっと長かったのが、現在では、1日4時間になったということ。

実は、僕も、このことは、50歳を過ぎて、痛感しています。自分に取っての一定レベルの集中力で頭を動かすことが可能な時間は、5年前は6時間くらいあったように思うのですが、今では4時間くらいになっています。しかも、僕の場合は、4時間が連続しておらず、午前中の2時間と、夕方頃の2時間に分かれています。6時間くらいあるときは、だいたい、勤務時間から会議とかを抜いた時間に一致していますから。意識すらしなくてよかったわけですが、2+2となると、意識せざるを得ません。なんか、集中できないと悶々として、原稿が進まないということになってしまいます。

その朝2時間、夕方2時間に、いかによけいな会議やら、下らない仕事を入れないで、集中するかということが重要なのです。

これは、なるほどと思ったのは、ちきりんさんはTo do listの立て方です。

「頭が動くときのTo do list」と「頭が動かないときのTo do list」というふうにわけているそうです。「頭が動くときのTo do list」には、原稿執筆、講演の準備、イベントの企画、将棋の練習、なんかをリストアップし、「頭が動かないときのTo do list」には、風呂掃除、ヒールの修理を靴屋に持っていく、冷蔵庫の整理、Facebookのいいね、をリストアップしているそうです。

僕も、今度から、「頭が動くときのTo do list」「頭が動かないときのTo do list」にわけること、積極的にやってみようと思いました。

2つ目は、メールの扱い。

ちきりんさんは10年前から、すべてのメールに返信することはやめているそうです。

「すべてのメールに返信する必要がある」と思っていると、「時間をかけずに返事ができる、たいして重要でもないメールへの返信が優先され」、「後からよく考えて返信しよう」と考えていたメールへの返事が遅れてしまうと言う本末転倒なことが起こる。

メールを読んで、すぐに返事をするかどうかは判断し、もう一度メールが来るまでは返事をしない、と判断した場合には、アーカイブして、受信箱から消してしまうそうです。

あと、日本語変換ソフトに、「りょうかい」とタイプすると、「了解いたしました。よろしくお願いします。」と、「せっかく」とタイプすると、「せっかくお声がけいただきましたのに、貴意にそえず大変申し訳ありません。どうぞよろしくご理解のほどよろしくお願いいたします。」と変換されるそうです。

僕も、かなり、これに近い運用をしていましたが、我が意を得たりと思い、思い切って、さらに、進めていこうと思いました。

3つめは「最後まで頑張る場所は厳選する」という話。

本書では、ラーニングカーブを取り上げて、説明されています。ゼロから8割のデキまでは、2割くらいの時間で到達できるけれど、残りの2割の仕事を仕上げて、完璧にするには、今までの4倍の時間がかかる。

「これは自分に取って勝負の分野だ」と判断するなら、最後まで頑張るべきだけど、自分に取ってたいして重要でない分野なら、8割のデキのところまでいったところでやめるというのが合理的な判断。

この見極めをしっかりすることが重要とのことです。

さらに、私のような、浅く広くしかできない人間にとって、励まされたのは、以下の記述でした。

多くのことに手を出し、その大半を数年でやめてしまう人のことを「なにをやっても中途半端な人」と批判する人がいますが、私は、このスタイルの何が悪いのか分かりません。こういう人は、自分の貴重な時間の学びの生産性が極めて高いフェーズにのみ投入している、とても合理的な人なのです。

というわけで、今まで通り、広く、浅くやっていきます。深くやることもきちんと自覚しながら。

2016.11.22

本の紹介『診断推論のバックステージ』

訳者の獨協医科大学志水太郎先生から、献本いただきました。

元のタイトルは、「Teaching Clinical Reasoning」。志水先生、相変わらず、よいタイトルをつけるなと思いました。僕は、志水先生を、医学界きっての名コピーライターとして尊敬しています。

この本を読んだからと言って、診断推論は教えられないけれど、現在、診断推論を教えている人にとっては、この本を読むことで、何段階も、教える内容が深まるという印象の本です。

本書は米国内科学会(ACP)のTeaching Medicineシリーズの7部作の最終巻です。診断推論をどう教えるかの方法論にとどまらず、その歴史的背景や理論、カリキュラム作成や表か、ファカルティデベロップメント、そして指導者自身がどう伸びていくかについて、きちんとまとめられています。

さっそく、読ませていただいて、現在、自分が行っている診断推論実習のブラッシュアップに役立てたいと思います。

2016.09.04

2016年9月積ん読本

夏休みはかなり本を読みましたが、それでも積ん読本がたまっています。半分ほどは読み終わっていますので、簡単な感想も合わせて、紹介します。

 

マチネの終わりに
マチネの終わりに
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平野 啓一郎
毎日新聞出版 (2016-04-08)

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)の大人のラブストーリー。美しい文章。美しいストーリー。パリのシャルルドゴール空港でのトランジットの待ち時間で読んでいたら、とても実感がありました。

黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)
リシャルト・カプシチンスキ
河出書房新社

読書狂の友人に、おすすめの本を聞いたら、間違いなく2015年のベスト本と紹介されたのが本書。40年に及ぶ取材でえがいたアフリカのルポタージュ。

ヨーロッパに留学する11人の若手医師の体験談。私が、推薦の帯を書かせていただきました。「なぜいま、志高い医師が、アメリカではなく、ヨーロッパを留学先に選ぶのか。この本を読んで合点がいきました。」

敬愛する杉本俊郎先生の著書。本書の半分強は、電解質、酸塩基平衡異常の最新のレビュー。ありきたりの解説ではなく、最新の文献を丁寧に読み込んだ素晴らしい内容です。

第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。セゾングループの総帥だった堤清二氏の最晩年のインタビューをもとに書かれたノンフィクション。堤清二氏の視点で、西武王国創始者である父、堤康次郎、弟の義明について語られています。

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか
アトゥール・ガワンデ
みすず書房

現役外科医にして「ニューヨーカー」誌のライターでもある著者ガワンデが、圧倒的な取材力と構成力で読む者を引き込んでゆく医療ノンフィクション。全米75万部のベストセラー。

医師の感情はコントロール可能か?直視されることのない医師の感情-共感や悲しみ、恥やストレス、または訴訟リスクへの対応など、さまざまな問題を紹介。また、それが患者に及ぼす影響についても解説を加える。現役の医師自らがひもとく、感情のルポルタージュ。

人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の光は変わる?お茶を必死にかき回したら沸騰させられるかな?どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?元素周期表を現物の元素のキューブを積んで作ったら何が起こる?こうした突拍子もない思いつきも、理系思考をこらして検討すれば、そこからは驚くべき結論が導き出され、何よりその結論は笑える!元NASAの研究者が物理と数学とマンガで読者の疑問に全力を挙げて答える、人気のマンガ科学解説サイトを書籍化したベスト&ロングセラー。

数学する人生
数学する人生
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岡 潔
新潮社

デビュー作『数学する身体』が話題の若き独立研究者、森田真生による編集と渾身の解説で、農耕と研究に明け暮れた孤高の天才数学者・岡潔の魅力を炙り出す。岡の名随筆に加え、食エッセイ、日記、写真、そして岡夫人による文化勲章騒動記も収録。その素顔とともに、数学の枠にとどまらない、人間の本質に迫る思考に触れる、珠玉の選集。

僕がはまっているアウトラインプロセッシングについて、もっとも詳しい本。 2015年に電子書籍として発売された『アウトライン・プロセッシング入門』が、大幅に書き直されて出版されました。

本を読む人だけが手にするもの
藤原 和博
日本実業出版社

「本を読む習慣がある人」と「そうでない人」に二分される階層社会になりつつあるという主張に大いに賛同します。

ぼくらの仮説が世界をつくる
佐渡島 庸平
ダイヤモンド社

1600万部超! 『宇宙兄弟』、600万部超! 『ドラゴン桜』を大ヒットに育て上げた編集者であり、作家エージェント会社「コルク」を起業した、いま注目度ナンバーワンの編集者/経営者、初の著書! 佐渡島さんを間近に見ていた友人から薦められた一冊。

医師のための知的生産術って本をいつか書いてみたいと思っているのです。

価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス

メディカルサイエンスインターナショナル

EBMを補完する新しい方法論 「価値に基づく診療(VBP)」がよくわかる! 本邦初の実践的解説書

ちきりん氏と、世界一のプロゲーマー梅原大吾氏の異色人生対談。「梅原さんは学校が嫌いで、授業中は寝てばかりいたという。それなのに私の周りにいる、一流大学を出た誰よりも考える力が凄い。いったいどこで学んだの? 学校の役割って何なんだろう……」。そんな、ちきりん氏の疑問から始まったこの対談は、「いい人生の探し方」にまで発展しました。

2016.09.02

本の紹介「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」

科研費の時期がやってきました。羊土社の『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請書の書き方本の先駆者であり、ベストセラーですが、昨年あたりから、本書を追撃する本が、いくつかの出版社から出版されました。よほど、売れるんでしょうね。

さて、本家の児島将康先生は、どうするのかと思っていたら、まったく違うコンセプトの科研費申請書の書き方本を出してきました。

児島先生いわく、『科研費獲得の方法とコツ』が長編小説だとすると、今回の『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック』は短編小説集とのことです。『科研費獲得の方法とコツ』がベストセラーになる中、たくさんの大学の科研費申請セミナーに呼ばれ、たくさんの相談を受ける中で、科研費申請書を書く研究者に共通した悩む箇所が理解できたとのことです。

そのような陥りやすい箇所を、78の実例を添削する形でアドバイスしているのが本著です。

さっそく読ませていただきましたが、本書は、 『科研費獲得の方法とコツ』に変わる本ではないと思います。

私なりのお勧めとしては、はじめて科研費申請書を書く人には『科研費獲得の方法とコツ』をお勧めします。何回書いても、なかなか通らないという人は、本書を読むことで、展望が開けるかも知れません。また、若手研究者を指導されている方は、本書を読むと、若手研究者が書いた科研費申請書のチェックリストのような使い方ができるのでおすすめです。

というわけで、『科研費獲得の方法とコツ』と本書を、うまく使い分けるといいと思います。他社からも何冊か、科研費申請書の書き方本が出ていますが、児島先生のレベルにはまったく達していませんので、おすすめしません。

科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック
児島 将康
羊土社 (2016-09-02)

2016.07.31

本の紹介「シンプルでよく効く資料作成の原則」

先月、紹介した「ノンデザイナーズ・デザインブック」の著者がプレゼンテーションのデザインの本を出していることを知りました。さっそく、買ってみました。

「ノンデザイナーズ・デザインブック」と同様極めて明快です。

プレゼンテーションのコンテンツを考えるときの4つの原則は、明快さ、関連性、アニメーション、プロットです。明快さにおいては、何を省くかを徹底的に考えます。その中で、いかに、文章を短くするか(たとえば、受動態は使わず、能動態で書く、ingは使わない、)など)、自分用のメモは見せない。テキストを分散させる(5つの箇条書きを1枚のスライドに書くより、5枚のスライドに分けた方がよいこともある)。関連性においては、よけいなものを載せない(大学のロゴ、意味のない背景、さえないクリップアート)、関連性のあるグラフィックを使う、です。アニメーションに関しては、控えめに、関連性のあるものを使います。プロットについては、導入部、どこに向かっているのか、終わりをきちんと知らせる。

スライドをデザインするときの4つの原則は、「ノンデザイナーズ・デザインブック」でも、登場した、コントラスト、反復、整列、近接です。

最後に「従うべきでないルール」という章があり、なかなか面白いです。

「スライドを読み上げてはいけない」→そもそも読み上げるような内容をスライドに書いてはいけない。
「セリフフォントを使ってはいけない」→十分な大きさがあれば、セリフフォントも魅力的。
「アニメーションは使ってはいけない」→そんなことはない。
「背景は1種類しか使ってはいけない」→そんなことはない。
「グラフィクスのないスライドを作ってはいけない」→そんなことはない。
などなど

「ノンデザイナーズ・デザインブック」を気に入った方には、是非とも、おすすめしたい

ちなみに、この本の原題は「The non-designer's presentation book」なのですが、そのままのタイトルにしたら、もっと売れるのにって、つくづく思いました。

2016.07.22

本の紹介「色弱の子どもがわかる本」

僕の大学院時代からの同僚、東京慈恵会医科大学の岡部正隆くんが「色弱の子どもがわかる本」という本を出版しました。

岡部君自身、自分が色弱であるそうで、遺伝子の多様性に対応したやさしい社会の実現を目指した「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の普及啓発活動も行なっています。

以下、彼から、この本がどんな本か解説してもらいました

当事者目線で書いたQ&Aコミックブックです。これまで眼科医の執筆した色弱の解説書はいくつかあります。「こんなことが不得意です」「こんなことができないかもしれません」「こんな職業には向いていないかもしれません」といったことが書かれていながら「日常生活には支障ありません」と締めくくられているのがほとんど。母親や担任の先生など、色弱の子の成長を見守る人たちからすれば、「支障はありません」「時に気にする必要はありません」と言われてもどうしていいのやら… そんな不安を少しでも解消できるようにという想いで出版しました。

この4月から学校の色覚検査が希望者に対して再開されました。文科省の通達では、学校側がアフターケアを十分にすることを条件に検査を勧めていますが、誰がどのようなアフターケアをするのかに関しては十分な方策がなく学校現場は混乱しています。

多様性を認める社会の実現のためには、「検査をしてみて、異常と指摘された人に対し、努力して生きていくことを強いる」のではなく、いくらでも工夫できる社会側が寛容になる必要があります。色弱を指摘された児童・生徒はどうしたらいいのでしょう?周りの人はどうしてあげたらいいのでしょう?まずは彼らの特性、困難を理解することから始めませんか?彼らの困難を知ることから我々が成すべき配慮が見えてきます。

2016.07.08

本の紹介「考えながら書く人のためのScrivener入門」

Scrivenerのことは、何回も紹介していますが、僕は、この5年間で、Scrivenerを使って、3冊、単著の本を書き上げました。単著の本を書くというのは、本当にたいへんなことなんですが、Scrivenerのおかげで、ずいぶん、助かりました。やってみたら分かると思いますが、章立てが必要な長い文章をWordなんかでやると、本当につらい作業になります。長い文章を書く人は、是非、Scrivenerを使ってみて下さい。

最近、Scrivenerの使い方をとても分かりやすく書いた、「考えながら書く人のためのScrivener入門」という本が出ました。

確かに、Scrivenerは日本語されていなかったり、Compileという概念がはじめはわかりにくいので、この本読むといいですよ。私もそれなりに使い込んでいるつもりでしたが、いろいろなTIPSを学ぶことができました。

この本を読んで、表示を日本語化するローカライザを作って下さっている人がいることを知りました。Mac版Scrivenerの日本語化(完訳)–あまたの何かしら。これで、とっつきやすくなります。英語版に戻したいときには、ScrivenerのパッケージのContents→ResourcesのJapanese.lprojフォルダを削除するだけ。

あと、とても興味深かったのでは、冒頭にある、小説家・藤井大洋氏のScrivenerの使い方、巻末にある、本書の作者のScrivenerの使い方でした。

2016.07.04

ノンデザイナーズ・デザインブック

僕が「ノンデザイナーズ・デザインブック」に出会ったのは、もう15年以上前。

医者とか研究者とかいっても、結構、デザイン力が必要です。プレゼンテーション、学会発表のポスター、研究会のお知らせのポスター、webを作ったり。そんなノンデザイナーな僕の、基礎デザイン力を作ってくれたのが、この本であることは間違いありません。僕が最初に買ったのは、第1版でしたが、第3版ではフルカラーになり、日本語を使ったデザインサンプルが加わった第4版が、最近発売になりました。

この本は、基本的にテキストデザイン、タイポグラフィーの本です。解説されている原則はシンプルですが、非常にパワフルです。

  • 近接の原則
  • 整列の原則
  • 反復の原則
  • コントラストの原則

イントロダクションの「ジョシュアツリーの悟り」にある一節が、この本の重要性を表しています。

Once you can name something, you’re conscious of it. You have power over it. You own it. You’re in control.

デザイン力をあげたい方は、だまって買って下さい。

2016.06.23

2016年6月積ん読本

今月からは、映画1本/月、本1冊/週、ライブ2本/月をちゃんとやろうと思って、積ん読本シリーズ再開します。

私が敬愛するプログラマー中島聡さんの、時間管理術と言うより、仕事術の本。中島さんは、日本人ながらWindows95を作った、伝説のプログラマーです。彼の時間管理術を一言で言ってしまうと、ロケットスタート(10日間の期限のある仕事であれば、2日間で80%のプロトタイプを作り上げる)ということに尽きます。こういう、時間管理術ができるから、これだけ仕事ができるんだなぁと思いました。僕のような締めきり-drivenな仕事術の人間には難しいです。でも、この本一冊が、彼の自叙伝のようで、とても面白く読めました。

夢幻花 (PHP文芸文庫)
夢幻花 (PHP文芸文庫)
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東野 圭吾
PHP研究所 (2016-04-07)

昔はあれだけ、東野圭吾が好きだったのに、今読むと、とても薄っぺらく感じてしまうのは、なぜでしょうか。

魔法の世紀
魔法の世紀
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落合陽一
PLANETS (2015-11-27)

未来を感じさせる本として、ものすごく脚光を浴びていますが、僕には、イマイチでした。

4月に見た映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、僕にとって、ベスト3に入る映画でした。監督の岩井俊二さんが事前に、小説を書いて、そのあと、映画を撮影したと言うことで、どんな原作だったのか、知りたくなって、買ってみました。

ハサミ男 (講談社文庫)
殊能 将之
講談社

古い推理小説ですが、最近読んだ推理小説の中では出色の一冊です。なんとなく、グロテスクな印象のするタイトルですが、ハサミ男の心情に寄り添う、やさしい小説です。お勧めのミステリー。

市中病院で基礎研究ができる状態にない方が、毎年一定本数の英語論文を書くための指南書。

ここ数年、僕が単行本を書くときは、必ず、Scrivenerを使っています。残念ながら、Scirivenerは日本語化されておらず、ちょっと、取っつきにくいのですが、この本を読めば、使いこなせるでしょう。

率直な、医療界への提言と受け取りました。

私が大好きな『嫌われる勇気』の第2弾。

大人気の極論で語るシリーズが、ついに、本丸に攻め込みました。極論×岩田健太郎。売れないわけがないでしょう。

僕のように、循環器内科を専門としない内科医にとってありがたい一冊。各分野、こういう形の本が出てくれるといいなぁ。しかし、村川先生は、タイトルをつける名人ですね。

2016.02.23

春休みに読みたい10冊

学生達は、各学年とも、試験を終了して、徐々に、春休みになっています。春休みは、是非、本とカメラを持って旅に出て下さい。

春休みにおすすめしたい10冊を選んでみました。フィクションを6冊、ノンフィクションを4冊選びました。

村上春樹の仕事術とも言える本で、私の愛読書の1冊。

2002年には、不確実な状況下における意思決定モデル「プロスペクト理論」などを経済学に統合したことが画期的な業績として評価され、心理学者ながらノーベル経済学賞を受賞。本書は著者初めての一般向け著作。《ニューヨーク・タイムズ》《ウォールストリート・ジャーナル》《エコノミスト》の各紙誌で年度ベストブックに選出されています。

アドラー心理学の入門書。すべてが理解できているわけではありませんが、とても影響を受けた一冊です。

生物の形や模様が決まる精妙なメカニズムを解説した本です。生物が相似形を保ったまま大きくなるためにはどうしたらよいのかを、亀の甲羅を用いて説明。貝殻の形を決めている等角螺旋運動の話。植物の至る所に現れるフィボナッチ数の話。そして、近藤滋先生の研究テーマでもある、体の模様の数理的解析。シマウマのシマはどうやって作られているかを数理的に説明する、チューリング波の話。あまりに見事で、感動します。

13年間無敗で、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とまで言われた圧倒的な強さをもった柔道家である木村政彦についてのノンフィクションです。彼が、なぜプロレスに転向し、力道山と戦うことになり、そして負けたのか。柔道を講道館柔道ではなく、寝技中心の高専柔道から見た本であり、力道山対木村政彦の巌流島対決を、力道山の視点ではなく、木村政彦の視点から見た本です。分厚い本ですが、とてもおもしろい本です。特に、格闘技に興味がある方は、必読の本でしょう。

慶應義塾大学前塾長の安西先生が1985年に書かれた本です。認知心理学そのものの入門書と言うことでなく、問題解決を認知心理学の多様知識をもとに論考を進めるというもの。すばらしい本です。

「村上春樹はまずなにを読めばいい?」そんなあなたへ贈る、ニューヨーカーが選んだ村上春樹の初期短篇集。

夏への扉[新訳版]
夏への扉[新訳版]
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ロバート・A・ハインライン
早川書房

ちょっと時期は違いますが、SFの永遠の名作です。

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
レイモンド・チャンドラー
早川書房

ハードボイルド私立探偵の代名詞ともいえるフィリップ・マーロウが一人称で語る本書は、レイモンド・チャンドラーの代表作。村上春樹翻訳版。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
カズオ・イシグロ
早川書房

ちょうど、テレビドラマがやっていますが、テレビを見ていた人もいなかった人も、本の方をどうぞ。

2016.01.19

『めくらやなぎと眠る女』と『めくらやなぎと、眠る女』

MONKEY No.7に掲載されている村上春樹インタビュー(聞き手、川上未映子さん)の中に、川上さんが神戸で開かれた震災後の村上春樹朗読会に参加したくだりが書いてあります。

川上さんは、2回行われた朗読会の2回ともに参加しました。朗読したのは「めくらやなぎと眠る女」だったのですが、朗読するには長い短編のため、1回目の会では、みんなが疲れて、脱落してしまったそうです。そこで、村上さんは、一晩で、3/4くらいにブラッシュアップをした「めくらやなぎと、眠る女」を書いて、次の日には朗読したそうです。

あの時、あの場所で、『めくらやなぎと眠る女』は、もう、これ以上ないテキストなわけですよ、あの土地の読者にとって。

と村上春樹さんが言っているわけですが、僕にとっては、『めくらやなぎと眠る女』は、結構難解なテキストで、なぜ、震災後の朗読会での最適なテキストであったかが、よくわかりませんでした。

オリジナルの『めくらやなぎと眠る女』は、『蛍・納屋を焼く・その他の短編』に収載されているのですが、ショートバージョンが、外国の読者向けに編まれた短編集「Blind Willow, Sleeting Woman」に収載しているのを知って、読んでみました。 ちなみに、ショートバージョンであることを明示するために、ショートバージョンは、『めくらやなぎと、眠る女』という具合に、読点が入っています。

でも、やっぱり、このテキストが震災後の朗読会での最適なテキストであるというのがよくわかりませんでした。答えがあるわけじゃないんでしょうが、誰か『めくらやなぎと眠る女』を読んだことがある人と、話をしてみたいなぁ。

めくらやなぎと眠る女
村上春樹
新潮社 (2009-11-27)
売り上げランキング: 45,843

2015.09.15

本の紹介『優雅な留学が最高の復讐である』

本書は島岡要先生が出された最新書籍。

人生で初めて、書籍の解説を書いてくれとのご依頼をいただきました。この本の生まれる場面に立ち会っているものとして、快くお引き受けいたしました。しかし、島岡先生のクリスピーな文章に、解説を付けるというのは人生最大の苦行でした。結局、「解説」のようなものは書けなかったので、この本が生まれるまでのいきさつと、鼎談の内容をご紹介するにとどまりました。私が書いた解説部分を転載する許可を出版社からいただきましたので、掲載することで、本書の紹介とさせていただきます。

 島岡先生から、「私の視点は斜めすぎて、誤解を受けるかも知れないから、もう少し水平な、というか、凡庸な視点で、私の視点をサポートして下さい」とのご依頼を受けました。私は、島岡先生のように、メタ的な立場で研究留学の意義を十分に掘り下げることはできないので、2011年におこなった鼎談(島岡、広田、門川)の内容を紹介することで、島岡先生のご依頼に答えたいと思います。
 まず、私と島岡先生の出会いについてからお話したいと思います。私は、1999年から 2002年にかけて、米国シアトルにあるUniversity of Washingtonに研究留学をしていました。留学中に「研究留学ネット」(http://www.kenkyuu.net)というサイトを立ち上げました。自分が苦労したアメリカ生活の立ち上げを書き残して、私の後にアメリカにいらっしゃる方が同じ苦労をしないことを目的としたサイトだったのですが、結局、ものすごい濃厚な留学者の交流サイトになってしまいました。その後、研究留学ネットをもとに、医歯薬出版社から「研究留学術」という本を出しました。研究留学ネットを見た、島岡さんが声をかけて下さり、2010年に、私がハーバード大学でおこなわれた1週間のワークショップに出席した際に、ボストンでお会いしたのが、島岡先生との初めての出会いでした。
 「研究留学術」が、そこそこの売り上げとなり、発刊から10年経ったので、10年という時間をおいて、研究留学が何であるのか、鼎談をおこなうことになりました。島岡先生と関西医科大学麻酔科の広田喜一先生(当時、京都大学)と私の3人が鼎談のメンバーでした。このときの鼎談が、医学のあゆみ誌上で連載されたインタビューシリーズ「教養としての研究留学」につながったのではないかと思います。
 鼎談の内容を紹介する前に、鼎談のメンバーのバックグラウンドを説明する必要があるかと思います。島岡先生は、著者紹介にもあるように、日本で臨床・研究をおこなった後、米国留学し、ハーバード大学のPI(Principal Investigator)になるまで成功され、4年前に帰国され、研究を続けてらっしゃいます。広田先生は、日本で臨床・研究をおこなった後、米国留学し、短期間ですばらしい論文を書かれ、日本に戻ってからも、臨床・研究において第一線で活躍されています。そして、私も留学するまでは同じようなキャリアでしたが、帰国後は、徐々に、研究の第一戦から退き、現在は、医学教育を主なアクティビティーとしています。三人は、MDという共通点があり、米国への研究留学というところでまでは同じような経歴ですが、その後のキャリアは三者三様です。
 鼎談で盛り上がった議論の一つは、留学先の選択や留学をするかどうかについては、あまり情報を集めすぎずに、上司の命令に従うくらいの方がうまく行く、ということでした。非常にステークが高いときの選択は、人は間違えることが多い。だから、留学するしないとか、そういう判断は、自分で決めるのはよくなくて、リラックスした立場の先輩・上司が行けと言ってくれたのなら、行った方が間違いが少ないと言うことでした。また、島岡先生が、13年間アメリカにいた一番の原因は、無知であったとおっしゃっていました。事前に情報を知っていたら、きっと、アメリカでPIになるなどという大変なことを選ばなかっただろうともおっしゃっていました。今のように何でもwebで情報が得られる現在は、逆に難しくなっているのかも知れませんが、本書で、島岡先生は「悩んだ末に押し切られるように留学の選択をせよ。」とアドバイスされています。
 もう一つ盛り上がったのは、医師の研究留学の効用は何であるのかという点でした。結論は、医師の研究留学の効用は短期的なものではなく、長期的なものであるということでした。短期的な効用は、インパクトの高い論文を書くと言うことですが、研究留学は、それまで順調に論文を書いてきたような人にとっては、プロダクティビティが下がる可能性もありますし、日本でのポストを得るという意味では、むしろデメリットであるとさえ言えます。鼎談の際には、長期的な効用は何かということまでは議論が煮詰まりませんでした。医師の研究留学の長期的効果は、厳密には証明できない神話のようなものであるけれど、この「回り道の神話」を擁護する、身をもって長期的効果を体験した人はたくさんいて、本書では医師の研究留学を「苦い良薬を飲むことを許される優雅な贅沢」と表現され、研究留学を薦めてらっしゃいます。
 さて、ひるがえって、私のキャリアの中で、研究留学はなんであったか、あらためて考えてみました。私の研究留学は、短期的な効用として考えれば、明らかに失敗でした。留学前には、年に数報の論文が出て、非常に研究は順調でしたが、まったくテーマを変えてあらたに挑んだ留学中は、プロダクティビティが明らかに落ちました。また、帰国後は、しばらくは研究にも力を入れていたものの、徐々に、臨床や教育に軸足を移していきました。では、私は、研究留学したことは意味がなかったかと聞かれれば、そんなことはありません。今、大学で得ているポジションは間違いなく、研究留学の効用であったと言い切ることが出来ます。そういう意味で、私は、研究留学の長期的な効用という神話を信じている人間の一人です。
 私は、人生になにか化学反応をおこす一番有効な方法は、場所を移すことだと思っています。しかも、場所は遠ければ遠いほど化学反応はおこりやすい。遠いというのは、物理的な距離の問題でもあり、言語や分化という意味での距離でもあります。そういう意味で、留学は、一つの大きなチャンスだと思います。しかも、ただの旅行でもなく、学生での留学でもなく、研究留学は、行った場所で必死にならざるを得ないので、効果は大きいと思います。しかし、勝手なことを言うようですが、そこでおこる化学反応が必ずしもよいものかどうかは保証が出来ません。また、その時には、よい化学反応が起こっているように思っていても、長い目で見て、その化学反応がよいものではないこともあります。もちろん、逆もあります。しかし、それでも、研究者として生きていくなら、その化学反応は受けるべきです。島岡先生は、いろいろなキャッチコピーで、みなさんを惑わしながら、研究留学を薦めていますが、私から言わせてもらえれば、「つべこべ言わずに留学に行きなさい」ということになります。

※鼎談の内容は『研究留学術 第2版』(医歯薬出版)に収載されています。

2015.08.18

本の紹介『科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版』

この本は、羊土社としても破格のベストセラーになったようで、今回、改訂第4版が発行されました。

実は、この本ができあがるきっかけをお手伝いしたこともあって、改訂版が出るたびに羊土社の方が送って下さいます。献本ありがとうございます。

第3版からの2年の間に科研費の仕組みはほとんど変わっていませんが、大学側の状況はかなり変わっていて、とにかく、科研費を獲得することにがむしゃらになっています。私どもの大学でも、科研費申請のサポート体制を大幅に強化して、この秋の科研費申請期を迎えます。

今回の改訂では、研究目的の部分をかなり加筆されたとのことです。また、新たに、学術特別研究員申請の項を追加されています。毎回ながら、丁寧な改訂であり、こういった、児島先生の真摯な改訂作業が、この本の大きな魅力なんだと思います。

科研費を取る人、なかなか取れない人必読の本です。

2015.07.11

本の紹介『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』

気の向いたときに一気に執筆する「一気書き」派(binge wiriting)が使う様々ないいわけ「まとまった時間さえ取れれば、書けるのに」「気分が乗ってくるのを待っている」をばっさりと切り捨て、
1週間のスケジュールの中で執筆にかけるスケジュールを確保し、その時間は執筆に専念する「スケジュール」派になるべきだと説いている。

著者は毎日の朝8時から10時までを執筆時間にあて、その時間はメールのチェックもしないし、会議があっても断るという。そして、毎日の執筆時間に実際にどのくらい執筆したかをExcelで管理している。これによって、無理なく、たくさんの論文、本が書けているという。

村上春樹も『走ることについて語るときに僕の語ること』で、習慣がもっとも大事であって、規則正しい生活を送ることが小説を書き続けることに重要であると説いている。

私も彼らの意見には強く同調するけれど、能力としてそういう規則正しい執筆活動ができない人がたくさんいることも事実である。私なんかはbinge wrintingの最たるものであるが、それでも、わたくしなりの方法がある。それについては、また、いつか書きたいと思う。

でも、年末に向けて、本格的な本を1冊書きたいと思っているので、もう一度「スケジュール派」挑戦してみようかな。

2015.07.07

本の紹介『研究以前のモンダイ 看護研究で迷わないための超入門講座』

JJNスペシャルシリーズは、看護師さん向けのムックですが、看護師の方だけに独占させておくには、もったいないようなすばらしい書籍が結構あります。『医療者のための伝わるプレゼンテーション』とか。

本書は、看護研究の超入門書とありますが、西條先生のSCRM(Structural-construction research method, 構造構成的研究法)の入門書でもあります。西條先生の構造構成主義をなんとか理解したいと思って、いろんな本を読みましたが、この本と『ライブ講義・質的研究とは何か』あたりが、手を出しやすいのではないかと思います。

少なくとも、この本は、研究のためのハウツー本ではありません。むしろ「質的研究が苦手」「事例研究から得られた知見は一般化することはできるのか」といった疑問に、答える本のように思います。私のように、長年、数量的研究しかやったことのない人間にとっては、医学教育研究というのは、本当に苦手でありますが、この本を読むことで、苦手意識が2割くらい減りました。

ということで、数量的研究以外の研究をする人に、是非、おすすめしたい一冊です。看護研究だけに独占させておくのはもったいないです。

2015.07.05

本の紹介『今日から使える 医療統計』

今日から使える 医療統計
新谷 歩
医学書院

週刊医学界新聞での連載記事『今日から使える医療統計学講座』から新谷先生のファンでしたが、昨年の日本透析学会で一緒にセッションをさせていただいて、大ファンになり、本書が出るのを首を長く待ち望んでいました。

新谷先生は、数学科出身で、エール大学で米国で博士号を修めた後、13年間ヴァンダービルト大で生物統計家として活躍されており、昨年、大阪大学に移動されました。このあたりの経緯は今週号の医学界新聞の特集をどうぞ。(https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03131_01)

新谷先生は「医療系論文に多用される統計」「論文査読でチェックされる要点」「医療者が研究に際し陥りがちなポイント」を熟知されており、“できるだけ数式を使わず” 今日から使える統計学の知識を、本書で、わかりやすく伝えています。ものすごく実践的な本です。

学生から、研修医から、専門医まで、臨床研究論文を読む人は、一人残らず買え、そういうレベルの本です。

今年の10月3日の日本腎臓学会東部学術集会の、学生・研修医のための教育セミナーに講師としてお呼びします。

医療統計ビデオ講座も、無料で公開されていて、こちらもお勧めです。http://stat.academy.jp/?page_id=132

2015.07.04

本の紹介『極論で語る腎臓内科』

香坂君がプロデュースする「極論で語るシリーズ」の第3弾。

私の医局の後輩でもある、聖マリアンナ医科大学の今井直彦先生が書かれています。コロンビア大学で内科レジデント、ミネソタ大学で腎臓高血圧内科のフェローを終えてきた彼の、アメリカ的な視点が随所にちりばめられています。

極論で語るとは書いてありますが、まったくの、王道をいく腎臓内科のプラクティスが分かりやすく書いてあります。シンプルなメッセージで書いてありますので、マニュアル的な使い方よりは、通読して、腎臓内科全体を理解するという感じの本だと思います。実際、大変評判もよく、amazonでも1位をキープし続けていますね。

2015.02.20

国試が終わって1ヶ月暇な人に勧める10冊

国試が終わって1ヶ月暇な人に勧める10冊を選んでみました。フィクションを5冊、ノンフィクションを5冊選びました。

海外旅行に行くなら、この上下巻をスーツケースに入れていけば、楽しさ何倍にもなるでしょう。

読むのがとまらなくなる海外ミステリーです。ただし、作者は、3まで書いたところでなくなってしまっていますので、大切に読んで下さい。

マリオネットの罠 (文春文庫)
赤川 次郎
文藝春秋

赤川次郎だと思って馬鹿にしてはいけません。大どんでん返しが連続する、本格ミステリーです。

容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋

東野圭吾で一冊選ぶのなら、これですね。

自分の将来を考えたいのなら、きっと参考になると思います。

あなたの仕事術に、きっと影響を与えてくれるでしょう。

福澤先生の著作を読んでいないなら、一番、痛快な、この一冊を。旅先でも読みやすい、現代語訳版をどうぞ。

決められない患者たち
Jerome Groopman MD Pamela Hartzband MD
医学書院

医者になる前に読んでおいて欲しい一冊。

電解質輸液塾
電解質輸液塾
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門川 俊明
中外医学社

1ヶ月間、医学の勉強をする必要はないでしょうが、どうしてもしたくなったら、こちらをどうぞ。

2015.01.30

ミステリー三昧

2015年は電車の中ではスマホをいじらず、ひたすら本を読む!と考えて(どうせ、そのうちいじり出しますが)、週2冊のペースでミステリーを読んでいます。最新のものと、過去の名作を交えながら。

その女アレックス (文春文庫)
ピエール ルメートル
文藝春秋 (2014-09-02)

2014年の「このミス」海外作品第1位。最近のヨーロッパのミステリーは、陰惨さや残虐性が全面に出てしまうのが苦手ですが、ストーリーはやはりおもしろい。

満願
満願
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米澤 穂信
新潮社

2014年の「このミス」日本作品第1位。ハードボイルドなミステリー短編集。6つの短編ともまったく関連性がないが、どれも、すばらしい。

虚ろな十字架
虚ろな十字架
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東野 圭吾
光文社 (2014-05-23)

東野圭吾は好きな作家です。あまりに多作すぎて、ちょっと、ミステリー作家で東野圭吾が好きですとか、いいずらくなっていますが、一定レベルの質を保ちつつ、たくさんの本を書く、やっぱり才能があると思います。勢いで読んだ、「パラドックス13」はまったくの駄作でしたが。

未読の名作ミステリー。恥ずかしくなるくらいの青春ラブストーリーなのだけど、最後から2行目を読むまでは完全にだまされていました。だまされて、あっけにとられて本を閉じた、初めての経験でした。ただ、これは、ミステリーって呼べるのかなぁ。

未読の名作ミステリー。楽しめました。

2014.12.23

2014年12月積ん読本

授業もすべて終わり、年末年始は、読書しまくりたい。

殉愛を読んで以来、ノンフィクション恐怖症みたいなものになっているのですが、この本は、なかなかおもしろかったです。なんで、佐村河内氏と新垣氏が長年にわたって、タッグを組んできたか、腑に落ちました。

内科医としては、自分のテリトリーを少し出て、勉強しなければなりませんね。

この本は、名著と思います。内科医必読。

人生と芸、そして〈東京言葉〉と〈人生の師〉と〈いい女〉等についての遺されたエッセイを集めた一冊です。

食べログの集合知もそれなりに参考にはなるのですが、やはり、エキスパートオピニオンが必要になることも多いです。そんな時には、ミシュランより、東京いい店うまい店を頼りにすることが多いです。

世界最強の商人 (角川文庫)
オグ・マンディーノ
KADOKAWA/角川書店 (2014-11-22)

その後の世界最強の商人 (角川文庫)
オグ・マンディーノ
KADOKAWA/角川書店 (2014-11-22)

オグマンディーの『世界最強の商人』は、ずっと絶版になっていて、以前、1万円以上出して買いましたが、なんと、文庫本になって登場しました。

最近、自分が当たり前と思っているものをどうやったら、学生に伝えられるのか。言語化することって難しいと思いつつ、そのヒントを探しています。

2014.12.01

本の紹介「東大助手物語」

東大助手物語
東大助手物語
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中島 義道
新潮社

ひどいアカハラ、パワハラもあったもんだと思いつつ、すっかりフィクションと思っていたら、実は、哲学者の中島義道先生の東大助手時代の体験記らしい。しかも、登場人物は、全部、仮名なのだけれど、登場人物の実名との対照表まで存在する。

2014.10.31

2014年10月積ん読本

10月は本当に忙しかった。積んどいた本も、だいぶ増えました。

ようやく、一息付けそうなので、一気に読書を再開します。

スリー・カップス・オブ・ティー (Sanctuary books)
グレッグ・モーテンソン デイヴィッド・オリバー・レーリン
サンクチュアリパプリッシング

1993年、K2登頂に失敗したグレッグ・モーテンソンは、その時世話になったパキスタンの人々のために何かをしたいと考え、子どもたちのための学校を建てる決心をします。その後の10年余に50を超える数の小学校をパキスタンとアフガニスタンに建設・運営していった彼の取り組みを描くノンフィクションです。しかし、フィクションではないとの指摘が相次ぎ、共著者のデイヴィッド・オリバー・レーリンは自殺しました。 最初から「現実の入り混じったフィクション」と思って読めば良いと思います。フィクションだとしても、よくできたフィクションだと思います。

元祖ライフハックである、知の巨人・梅棹忠夫先生が提唱された「知的生産の技術」を、現代にあわせて再解釈し直した本です。私自身も、同じようなことをやっていたので、とても参考になりました。

30万部を超えるベストセラーになった『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』を12年ぶりに全面改訂。金儲けするより、節約する方が、たぶんお金はたまるんでしょうね。でも、そんなのいやです。

敬愛する名郷先生の著作。

東京大学医科学研究所の上先生の著書。

創価学会と平和主義 (朝日新書)
佐藤 優
朝日新聞出版 (2014-10-10)

集団的自衛権行使容認の閣議決定で注目された公明党。「押し切られた」との見方が大勢だが、佐藤優氏は、はじつは「戦争ができないようにする」一文を盛り込ませたとの見方をしている。

立花隆氏の人気連載「文藝春秋」の巻頭随筆全三十九話がまとめられた一冊。

日野原先生の、渾身の書き下ろし。

日野原先生が書き上げたウィリアム・オスラーの伝記。初版から六六年を経て文庫版で復刊。<

外来診療のUncommon Disease
生坂 政臣
日本医事新報社
売り上げランキング: 6,287

生坂先生の週刊「日本医事新報」好評連載「キーフレーズで読み解く外来診断学」が単行本化。

2013年春に出版した「診断のゲシュタルトとデギュスタシオン」の第二弾。ゲシュタルトは、医学教育においてもっとも重要な概念だろうと思っています。プロの病気の「見ている視線」を追体験できる、貴重な一冊。

読書法、整理法、時間管理法、発想力の鍛え方、現場からの学び方、中期的な目標をどう立てるか…いい仕事をするためのヒントもいっぱい。成績優秀=幸せになる、とは限らない。人生だって戦略的に考えよう。伊藤ゼミ31年間、400人余りが心に抱いて巣立った、教授がいちばん伝えたかったこと。

マスカレード・ホテル (集英社文庫)
東野 圭吾
集英社 (2014-07-18)

マスカレード・イブ (集英社文庫)
東野 圭吾
集英社 (2014-08-21)
売り上げランキング: 119

女性フロントクラークの山岸尚美を主役にした、東野圭吾の新シリーズ。あぁ、これも、テレビ化を狙って書いているんだろうなと思いつつ、一定レベルの水準を維持し、次々と新作を出すことはやっぱりすごい。

伝記 小泉信三
伝記 小泉信三
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神吉 創二
慶應義塾大学出版会

小泉信三先生を知るために2冊読みました。

2014.09.22

『研究者のための思考法』書評

「医学のあゆみ」誌2014年8月16日号に、『研究者のための思考法』の書評を書かせていただきました。許可を得て、こちらに転載します。

現代の日本は、競争原理の前提となる3つの要素(情報開示、人材の流動性維持、セイフティネットの確保)が揃わないうちに、競争原理が導入されてしまい、ともすれば、未来に希望を感じられない世の中になってしまっている。特に、研究者の場合、ポストが限られている中で、ポスドク1万人計画が実行され、常に時限付きの不安定な短期間の職を綱渡りしなければいけない様な状況になっている。

そういった時代の中で研究者が、どのようにキャリアを構築していけばよいのか、大きく社会状況が変わらない中、研究者が幸福で充実した人生を送るためにはどうしたらよいのか、島岡先生は本書で、心理学的、社会学的なアプローチで、アドバイスを送って下さっている。

島岡先生は前書『研究者の仕事術』(羊土社刊)では、膨大なビジネス書を読み込んで、研究者というビジネスの中でいかにキャリアを積むかを指南して下さった。今回は、膨大な心理学、社会学の書籍、文献をお読みになって、エビデンスに基づく、研究者の生き方を指南して下さっている。

本書で取り上げられている10のヒントの中でも、私の胸に響いたのは、第1章の「好きなことをする­天職に出会えなくても、仕事は充実する」と第6章の「研究者のあたらしい働き方–スラッシュのあるキャリア」であった。第1章では、天職の取り扱い方と天職を巡る自分探しの旅を止める方法について述べている。この中で、天職は自分で探すものではなく、まさに天から神様が与えてくれるものであり、受け身でいるべきであると説く。第6章では、1つの専門性にしがみつかずに、Serial Masteryであるべきと説いている。本文を少し引用させていただく。

現代では第1の専門性を身につけ仕事をしていく中で、次の第2の専門性を身につけることが必要になってきます。グラットン教授は専門性を身につけることをMasteryと呼び、第2,第3の専門性を次々と身につけることをSerial Masteryと呼んでいます。Serial Masteryが近未来をしなやかに生き抜くための鍵となるのです。
(中略)
第2のMasteryで仕事を始めたとき、第1のMasteryに関連した仕事を完全にやめてしまわなければ、2つの専門性を1人の人が持つことによる新たな希少性や、2つの専門性の相乗効果による高い付加価値が生み出されることもしばしば起こるでしょう。複数の肩書きを持つと言うこと、たとえば、「医師/コンサルタント」や「研究者/教育者/社会起業家」などを私は“スラッシュのある人生”とよんでいます。これはグラットン教授の言う、Serial Masteryに親和性の高いキャリアモデルだと考えられます。

研究のテーマどころか、キャリアもころころ変わって、自分でも節操なさ過ぎることが悩みであった私に響く、力強い言葉だった。

2014.09.14

電解質を勉強するための良書

学生、初期研修医、および、電解質についてまとめて勉強したいという初学者にまずおすすめしたいのが、手前味噌で申し訳ありませんが、私の著書。

電解質輸液塾
電解質輸液塾
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門川 俊明
中外医学社

症例ベースで使うなど、初学者でもクリアカットに理解できるような工夫をしています。この本がマスターできたら、

に進むのがよいでしょう。私の友人でもある柴垣先生が書いた、この本は、本当によくできた本です。レベルとしては、腎臓専門医を目指す人向けと言っていいと思いますが、日頃感じる、水・電解質の疑問のほとんどに答えてくれます。私自身、本書を隅から隅まで読み込んで、自分の知識のブラッシュアップに非常に役立ちました。柴垣 有吾先生の、アメリカ仕込みの臨床腎臓病学の知識は、他の書物と一線を画しています。短期間の間に第3版まで改訂し、最新の知見を盛り込もうとする彼の誠実さを表した良書です。

さて、この次の本となると、残念ながら、日本語のテキストブックでおすすめできるものはありません。一つの道は、個々のトピックごとに、UpToDateを読むというのがよいと思います。それでも、どうしても、テキストブックが読みたいと言うことであれば、

をおすすめします。アメリカでも、電解質を真剣に勉強する人は、みんなこの本を使っています。2014年10月に第6版が出る予定ですが、何回も延期されているので、ホントに出るかどうかは分かりません。

さて、これ以外にも電解質に関しては、いくつかおすすめの本があります。

輸液を学ぶ人のために
和田 孝雄 近藤 和子
医学書院

電解質と言うよりは、輸液の本ですが、私の研究室の大先輩である和田孝雄先生の本。学生時代にご自宅にお邪魔したこともあったのですが、残念ながら、若くしてお亡くなりになりました。和田先生は、多くの「水電解質」の本を書かれていますが、改訂されることがなくなっているにもかかわらず、今でも売れ続けています。

和田先生の著作の中でも、もっとも売れている本が、本書です。和田先生が看護師の方2人に、輸液の基礎を講義していくというスタイルの本です。とても読みやすく、頑張れば1日で読み切れるような本ですが、私は、輸液の考え方を学ぶのにもっとも適した本だと思い、多くの研修医に推薦しています。

輸液の考え方を学びたいという初期臨床研修医向け。

シチュエーションで学ぶ 輸液レッスン
小松 康宏
メジカルビュー社

この本は輸液レッスンというタイトルですが、電解質のホントしても秀逸です。とてもわかりやすい構成です。

電解質の本ではロングセラーの本。見た目はやさしそうですが、中身は意外と歯ごたえがあります。いきなり初学者の方がやっても、跳ね返されてしまうかも知れませんが、ロングセラーなだけの理由があります。

2014.08.10

夏の文庫10冊 2014

夏って言うと、ポケットに文庫を入れて、行く先も決めず、電車にのって旅をする。そんな気ままな旅はできなくなっていますが、せめて、好きな文庫本を読みたい。

私の好きな文庫本10冊を紹介します。

村上春樹の長編小説では、これが一番好き。二番目は、1Q84。

村上春樹の仕事術とも言える本で、私にしては珍しく、何度も読み返しています。

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
ロング・グッドバイ
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レイモンド・チャンドラー
早川書房

超定番ですが、はずしません。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 7,158

徹夜してしまう一冊です。スティーグ・ラーソンは、ミレニアム3まで書いたところで休止してしまっているので、ミレニアム2と3は読まずに大切にとってあります。

白夜行 (集英社文庫)
白夜行
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東野 圭吾
集英社

東野圭吾は大好きな作家です。最近、大量生産でちょっと質が落ちているような気もしますが、本書は間違いがありません。東野圭吾のベストといえば、これですね。

火車 (新潮文庫)
火車
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宮部 みゆき
新潮社

宮部みゆきというか、私の中でのミステリーナンバーワンです。

ドキュメンタリーではピカイチ。格闘技ファンは絶対読むべき。格闘技ファンではない私もはまりました。

心理学者ながらノーベル経済学賞受賞者のカーネマンの代表作。

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)
コナン ドイル
新潮社

シャーロキアンの私は、何度繰り返し読んだことか。

こころ (集英社文庫)
こころ
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夏目 漱石
集英社

先頃、久しぶりに読んで、やっぱりよいなと思いました。

2014.07.05

本の紹介『研究者のための思考法』

島岡要先生に初めてお会いしたのは、私が、Harvard Macy Programに参加するためにボストンを訪問した2010年のことでした。

私は、2010年2月に、腎臓内科から医学教育のポストに移動したのですが、その前の1年くらいは、自分のキャリアについて随分悩んでいました。そんな時、力になったのが、島岡先生が書かれた『研究者の仕事術』でした。島岡先生は当時、ハーバードにいらっしゃったので、一緒に食事をしました。

そんなご縁もあって、島岡先生が日本に戻られた後に、鼎談「研究留学──Ten years after」にお付き合いいただいたり、島岡先生が「医学のあゆみ」誌で連載している、「“教養”としての研究留学」に参加させていただいたりしました。

今回、島岡先生が『研究者の仕事術』の続編とも言える『研究者のための思考法』を出版されました。

研究者の仕事術』のモットーは”プロフェッショナル根性論”でした。『研究者のための思考法』では、”知的しなやかさ”というテーマで、心理学や社会学の重要な知見が、島岡流にアレンジされています。研究者だけでなく、多くの方に読んで欲しい一冊です。

今回、私もキャリアチェンジしましたが、まるで、島岡先生が、私のキャリアチェンジにあわせて、それを応援するかのような本を書いて下さっていただいているのではないかと、自分勝手なことを考えています。

2014.06.30

2014年6月積ん読本

ああ、もう、2014年が半分過ぎてしまった。今月は、医学書が中心です。

コリンズのVINDICATE鑑別診断法
金城紀与史ほか
メディカルサイエンスインターナショナル

「Differential Diagnosis in Primary Care」の日本語版がついに出た!邦題にVINDICATEを入れたのはナイスアイデア!主訴に対して、関連する疾患の発生する部位を解剖学的に思い浮かべ、病因別カテゴリー(“VINDICATE”など)を利用し網羅的に診断をあげていく、「コリンズ先生流」の診断アプローチを指南。5年生、6年生全員に買って欲しい。

僕は病院のコンダクター 日本人ホスピタリスト奮闘記
石山貴章
メディカルサイエンスインターナショナル

日本で5年間の胸部外科研修→アメリカに研究留学→アメリカで内科臨床研修→アメリカでホスピタリストとして活躍。こんな感じに書くと、すごく順風満帆に進んだように思えますが、たくさんの苦労があったそうです。私の留学時代を思い出しました。渡米してホスピタリストの道を選んだ経緯、病院医療をコンダクトするホスピタリストとしての日々の臨床を、具体的に失敗談も含めて自らの言葉で綴られています。

中学生でもわかる iOSアプリ開発講座
林 晃
シーアンドアール研究所

最近、コンピュータに興味を持っている息子と一緒に、iPhoneアプリを作ることにしました。私も、プログラミングは、だいぶご無沙汰なので、このあたりからスタート。

東大教授 (新潮新書)
東大教授 (新潮新書)
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沖 大幹
新潮社

ヒラノ教授本みたいなものを期待していたけど、残念な本。

敬愛する加藤眞三先生の著書。「患者中心の医療とは」を考えさせてくれる、素晴らしい本です。

離島医療ならではの、様々な技、知恵が満載の一冊で、おもしろい。

2014.06.23

本の紹介『あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!』

これまで読んだプレゼンテーションにの本でもっともインパクトがあったのは、ガーレイノルズ氏の『プレゼンテーションZEN』です。プレゼンテーションZENの影響を受けて、私のプレゼンテーションもずいぶん変わったように思います。しかし、一番難しかったことが、サイエンティフィックプレゼンテーションに、プレゼンテーションZENの要素を入れることでした。プレゼンテーションZENのやり方は、アイデアを伝えたり、メッセージを伝えたりするには、非常に有効な方法ですが、プレゼンテーションZENのやり方で、学会の一般演題を行うことはできません。サイエンティフィックプレゼンテーションには、プレゼンテーションの明確なルールがあり、インプレッションだけを伝えるのではなく、正確に伝えることが大切です。サイエンティフィックプレゼンテーションに、プレゼンテーションZENの考え方をある程度持ち込むことは重要と思いますが、落としどころがあると考えています。

本書は、タイトルだけ見ると分からないかも知れませんが、サイエンティフィックプレゼンテーションに、どうやって、どの程度、プレゼンテーションZENの要素を持ち込むかについて、非常に実践的な解決策を提示してくれています。掲載されている、たくさんのbefore & afterのスライドを見れば、納得がいくと思います。

というわけで、本書は、研究者、医師で、プレゼンテーションZENの要素を取り入れたい人必読の一冊と言えます。

2014.06.01

本の紹介『嫌われる勇気』

アドラー心理学については、名前しか知らなかったけど、本書を読んだら、様々な自己啓発本の源流になっているということがわかりました。もちろん、たった一冊で理解できるわけではありませんが、本書は、日本でのアドラー心理学の第一人者の岸見先生とライターの方が、非常によくできた対話形式でまとめています。

アドラー心理学を一言で言うことは難しいのですが、私が「こうなりたいと思っている姿」と、非常によく重なっています。もちろん、それを実践するまでには至っていないのですが、とても力づけてくれる一冊で、おすすめです。いくつか気になったフレーズを引用します。

人は誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいます。あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。

誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いて行けばよいのです。いまの自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値があるのです。

われわれは他者の期待を満たすために生きているのではない。

人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要がある。他者の課題には踏み込まない。あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、あるいは自分の課題に土足で踏み込まれることによって引き起こされる。「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない」

というわけで、おすすめの一冊。

2014.05.31

2014年5月積ん読本

女のいない男たち
女のいない男たち
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村上 春樹
文藝春秋 (2014-04-18)

村上春樹の恋愛ものは、セックスの話ばかりになるので、ちょっとなぁ。短編集としては、『東京奇譚集』の方が好き。

ドーキンスの自伝がおもしろくないわけがない。これは、夏休みの読書に撮っておこう。第2巻は2015年に発売とあるし。

Google Scholarを英語論文を書くためのツールとして使うという話を、ある場所でするので、確認用に買ってみた。

慶應幼稚舎と慶應横浜初等部 (朝日新書)
石井 至
朝日新聞出版 (2014-05-13)

同級生の山内君が初代部長として立ち上げに奔走する横浜初等部を理解したくて。

昔の有名人の病気や死因を、現代の医学の知識で診断し直す

茨木先生の漫画の本は、ためになって素晴らしい。ナイチンゲール観が180度変わりました

写真構図のルールブック
内池 秀人 福井 麻衣子
マイナビ

最近、写真の構図をどうするかにはまっています

30年も漢文から離れると、また、漢文を習ってみたくなる。

臨床に不可欠な学び方覚え方テクニック
デーソン エバンス ジョー ブラウン
プリメド社

イギリスの医学教育って、そうなんだ。

診断法を評価する (臨床家のための臨床研究デザイン塾テキスト)
杉岡隆 野口善令 大西良浩
特定非営利活動法人 健康医療評価研究機構

尊敬する野口先生による診断学の本。

不定愁訴のABC
不定愁訴のABC
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Christopher Burton
日経BP社

これも竹本毅先生の翻訳。すばらしい。

もしドラみたいな本です。

神社の事って、何にも分かっていないで、拝んでいたんだなぁと。

シャーロック・ホームズの思考術
マリア コニコヴァ Maria Konnikova
早川書房

最近、シャーロックを見て、また、シャーロック・ホームズ熱がぶり返しています。

2014.05.05

AORファン必携の一冊『AOR Lihght Mellow Remaster Plus』

もともとAORは大好きな音楽で、80年前後(私が大学生の頃)には相当な数のCDを買っておりました。今でも、Boz ScaggsとかAl Jarreauが来日すれば、頑張ってチケット取って、ライブを見に行っています。

最近、お気に入りのバーが地元で出来たのですが、ここの音楽の品揃えが、まさしく私のツボそのもので、飲みに行くたびに、この曲知っているかと、マスターとAOR勝負になるので、最近、手放したCDをiTunes StoreやAmazonでぞくぞく買い戻しています。

AORマニアなら絶対に持っていないといけない本があります。金沢寿和さんが書かれた『AOR Lihght Mellow Remaster Plus』です。AORの図鑑的なモノで、私なんかは、この本読んで、手持ちのAORかけているだけで、幸せになってしまいます。

ただ、残念ながら、この本絶版で、しかも、中古市場ですごく人気があるので、定価の5倍くらいの値段で取引されています。そんなわけで、私も手に入れていなかったのですが、マスターとの勝負に勝つために、買いました。ホント、AORファン必携の一冊です。一万円出しても惜しくありません。

AOR Light Mellow Remaster Plus (POP CULTURE SERIES)
金沢 寿和
エクシードプレス

この本も見つつ、私が、AORの名盤を5枚選ぶとしたら、こんな感じでしょうか。

シルク・ディグリーズ(エクスパンディッド・エディション)
ボズ・スキャッグス
Sony Music Direct (2007-04-04)

Nightfly
Nightfly
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Donald Fagen
Warner Bros / Wea (1993-04-21)

ハード・キャンディ
ハード・キャンディ
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ネッド・ドヒニー
ソニー・ミュージックレコーズ (1990-08-01)

ブルー・デザート(SHM-CD紙ジャケット仕様)
マーク・ジョーダン
ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛ (2010-08-25)

イヴニング・スキャンダル
ボビー・コールドウェル
ビクターエンタテインメント (2005-10-19)

実は、この本には、和モノを扱った、これまた必携の本があります。こちらは、最近、再販されたので、通常価格で手に入ります。いや、この本も素晴らしい本で、見ていると次々とAmazonでCDをぽっちってしまうという恐ろしい本でもあります。

Light Mellow和モノSpecial ~more 160 items~
金澤寿和 + Light Mellow Attendants
ラトルズ

こちらの中身もそのうち紹介します。

2014.04.29

本の紹介『診断戦略: 診断力向上のためのアートとサイエンス』

ここ数週間、夢中になって読んだ本。ここに書かれた多くのアイデアは暗黙知として、多くの医師の診断推論のツールとして使われてきたかも知れません。しかし、その概念を言語化することで大きな価値が付加されます。ティアニー先生はじめたくさんの医師の激賞の通りだと思います。

私も、この本を読みながら、自分の中に潜む言語化されていないフレームワークを言語化し、臨床推論の実習に役立てたいと思います。

2014.04.25

若い人がよい医学書を書く時代

新しい医学書はたいてい手に取っている医学書オタクです。

最近、『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』が書店で平置きされているの見てびっくりしました。何がびっくりしたって、718ページで、内科の全分野を網羅した本を、卒後12年の医師が一人で書いたというのです。

私なんか、200ページの本を半年くらいかけて、フウフウいいながら、書いているわけですから、恐れ入ります。是非、定期的に改訂して、不動の地位を築いていっていただきたいです。

以前にも紹介した、倉原優先生。『「寄り道」呼吸器診療』が素晴らしかったので、知り合いの編集者に教えたら、すぐに、お願いに行ったらしく、さらさらさらと、半年で、素晴らしい本を書きました。彼も卒後9年目と若い。

呼吸器の薬の考え方,使い方
倉原優
中外医学社

もう一人、すごい人を紹介しておきましょう。竹本毅先生です。彼は、自分で本を書くと言うより、海外の素晴らしい本を訳しています。どれも、一人で訳しています。どれも、無茶分厚くいけど、すばらしい訳がついています。

考える技術 臨床的思考を分析する 第2版
Scott D. C. Stern Adam S. Cifu Diane Altkorn
日経BP社

イン・ザ・クリニック -診療現場ですぐに役立つエビデンス-

メディカルサイエンスインターナショナル

JAMA版 論理的診察の技術
デヴィッド L サイメル ドルモンド レニー
日経BP社

医学書というのは、大学教授とか、権威のある人が、編者におさまって、医局の人とか若い人に書かせるというパターンが多いです。でも、見ていただければ分かるように、そういう本でよい本は、なかなかないです。私の持論は「よい本は単著である必要がある」です。そういうことを考えると、権威者は、とても、単著を書くほどの時間はありません。また、権威者がよい本を書く能力があるというわけでもありません。よい本を書く能力は、経験とともに養われることは、おそらくないと私は思っています。逆に言えば、若くても、よい本を書ける人は書けるということです。出版不況になって、医学書出版社の編集者の方も、よい本を書いてくれる人を必死になって探しています。そういう中、ここにあげたようなスーパースターが出てきたと言えます。若い人がよい医学書を書く時代がやってきたと言っていいでしょう。

2014.04.20

本の紹介『インセンティブプレゼンテーション』

医療者・研究者を動かす インセンティブプレゼンテーション
杉本真樹
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

記憶に残るプレゼンは、「ストーリー」と「順序」が重要。「なぜ」から始めることを意識することで、プレゼンテーションは見違えるようによくなる。実際に、著者が、3人の方のスライドに手を入れ、Before-Afterをやっているのが、なかなか興味深かった。

2014.03.30

2014年3月積ん読本

本読む余裕がないのに、おもしろそうな本がどんどん見つかって、積み方も半端ない感じになっています。4月になったら、本もばりばり読んでいきたい。

現在、おもしろさナンバーワンの本。丁寧に読みすぎていて、まだ、完読できていませんが、読み終わり次第、詳細をお伝えします。

フラニーとズーイ (新潮文庫)
サリンジャー
新潮社 (2014-02-28)

村上春樹訳が文庫で登場。サリンジャーは訳者にあとがきやまえがきをつけることを許さないらしく、村上春樹の解説が別冊で挟み込まれています。

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)
J.D.サリンジャー
ヴィレッジブックス

ついでに、サリンジャーをもう一つ、手に入れておきました。

モチベーション3.0』がおもしろすぎたので、ダニエルピンクの本をもう一冊。

私も土橋さんにならって、オフィスをシンプルにしたい!

フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊。

書くことについて (小学館文庫)
スティーヴン キング
小学館 (2013-07-05)

2001年に「小説作法」として翻訳されたスティーヴン・キングの名著を、新たに平明で簡潔な文章で訳した新訳版。新たに巻末には著者が2001年から2009年にかけて読んだ本の中からベスト80冊を選んだリストを掲載。

今年1年かけて、eポートフォリオについて調査研究するにあたって、一番、参考になった本。

Institutional Research(IR)について勉強したいなぁと思って、手に入れた本。

Institutional Research(IR)について勉強したいなぁと思って、手に入れた本。

国際バカロレアについて勉強したいなぁと思って、手に入れた本。

途中まで、めちゃくちゃおもしろかったのだけど、最後はちょっと尻つぼみかな。

今こそ、東洋の知恵に学ぶ
鴇田正春
メトロポリタンプレス

2012年、低迷する日本が陰の時代から陽の時代へ移行する。政財官のリーダーたちに助言を与えてきた著者が、混迷の時代を生き抜くための法則をまとめた一冊。

東京タクシードライバー
山田清機
朝日新聞出版 (2014-02-07)

私の友人の著作。人間交差点に似ているような、タクシードライバーの人生をほろっと描いています。

最近の医学書院のケアをひらくシリーズは、ほんと傑作揃い。

ダン・ブラウンの『インフェルノ』を理解するには、ダンテ『神曲』を理解しなければならない。謎と暗号に満ちた「世界文学の最高傑作」を、豊富な図版と共にわかりやすく解説した本。

医学部教育や卒後臨床研修だけでは学ぶことが難しい,指導医に必要なリーダーとして医療チームを率いる技術や教育する技術を,「リーダーシップ」「マネジメント」「教育」の3つの側面から解説した本。

2014.03.02

本の紹介『日本人研究者のための120%伝わる英語対話術』

日本人研究者のための120%伝わる英語対話術〜ネイティブの発音&こなれたフレーズで研究室・国際学会を勝ち抜く英語口をつくる!
浦野 文彦 Marjorie Whittaker Christine Oslowski
羊土社

ワシントン大学でPIとして活躍される浦野博士が、発音教育で有名なWhittaker先生と、アメリカと日本の研究室での経験があるOslowski先生が書いた本です。

解説編では日本人が苦手な発音やコミュニケーションのコツ、役立つフレーズなどを紹介。実践編では、実際の場面を例に、ラボなどで役立つ実践的な英語表現を学べるほか、注意したい発音のポイントも解説しています。音声も羊土社のウェブサイトからダウンロードできます。

留学が決まった方、留学までの1ヶ月、徹底的に、この本をやってみてはいかがでしょうか。

2013.12.16

2013年12月積ん読本

今月は、結構、読書時代がはかどっていて、積ん読本というか、ほとんど既読本の紹介となります。

タイトルは、もちろん『もしドラ』のぱくりです。私も、ビジネス書や自己啓発本は結構読んでいるので、期待して読みました。しかし、実際には、ご自身のこれまで歩んでこられた道の紹介ととLifehackを紹介されたにとどまっています。ビジネス本と研究者の仕事術を有機的に結びつけたホントしては名著である『研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論』をおすすめしたいと思います。

教場
教場
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長岡 弘樹
小学館

去年は『64(ロクヨン)』と『ソロモンの偽証』という鉄壁の2冊があったのと打って変わって、今年は、ミステリー界にとっては不作と言われているらしいです。『このミス』第2位、『週刊文春ミステリー』第1位のこの本を読んでみました。警察学校という舞台設定も、短編の連作で一冊に仕上がっている点も、ちょっと変わった一冊です。この本が、あまり、私の好みの本ではありませんでした。

医学部の大罪 (ディスカヴァー携書)
和田 秀樹
ディスカヴァー・トゥエンティワン

和田先生による、医学部批判の本です。的を得ている部分もあれば、的外れな部分もあり。

私は堀江さんの考えには共鳴することがかなりあります。誤解されてしまっている部分も多い方だと思いますが、今回は、丁寧に説明して誤解を受けないようにしていくそうです。これからの活躍に期待しています。

連続企業爆破事件を追ったノンフィクション。

Light Mellow和モノSpecial ~more 160 items~
金澤寿和 + Light Mellow Attendants
ラトルズ

この本が手に入って、すごくうれしい!絶版になっていて、中古だと数万円していた本が、改訂されて再発売。私の音楽の原点はなんなんだろうと思っていたのですが、それが、80年代のシティポップスであったことを再確認できました。ただただ、Light Mellowなアルバムの名盤を紹介している本です。

長崎の教会
長崎の教会
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白井 綾
平凡社

この本読んだら、また、長崎の教会巡りに出かけたくなりました。前回、半分は回らずに残しておいたので、近いうちに、是非。

インターネットで医楽しよう
諏訪 邦夫
中外医学社

インターネットでと書かれていますが、インターネットの記事などを参照しながら、書かれていますが、インターネットはどうでもよいというか、諏訪先生のエッセイです。諏訪先生は、本当にたくさんの著作を書かれています。私のアンテナにひっかかる本もたくさんあります。麻酔科を本業とされている先生で、いつかお会いしてみたいと強く思います。2011年11月に山道からの滑落事故に遭われ、幸い、神経麻痺などにはならなかったものの、極端に意欲が落ちてらっしゃると前書きに書かれています。

2013.11.27

本の紹介『もしも心電図が小学校の必修科目だったら』

発売して、すぐに購入して、パラパラと読んで、しばらくほっておきした。でも、ここのところ、ずっと、ベストセラーにランキングされていて相当売れているようで、先週末の福岡出張の時に通読しました。

香坂先生は、我が慶應の若きエース循環器内科医で、教育の場面では、一緒に仕事をさせていただくことも多いです。本書は、彼が、医学界新聞で連載していた「循環器で必要なことはすべて心電図で学んだ」をまとめたものです。まとめるときに、「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」というタイトルをつけて、各科目に配置し直したというのは、なかなか、よいアイデアでしたね。心電図をマスターするというより、心電図を通して、循環器内科を俯瞰するような内容です。体系的と言うより、一つ一つが独立したエッセイのようでもあり、彼の循環器内科の知識の深さとウィットが、大変知的興味をくすぐる一冊になっています。

この本読んでいたら、私も「電解質の深イイ話」という本でも書いてみたくなりました。

2013.11.02

本の紹介『東大病院研修医』

前の2作「東大脳の作り方」「東大医学部–医者はこうして作られる」も興味深く読みましたが、前二作では、「桜蔭の1番、現役で東大理科三類」という著者のイメージが前面に出た印象を受けました。

本書では、彼女の2年間の初期研修(市中病院で1年、東大病院で1年)の様子が描かれています。当初、「精神科か皮膚科」を志望していた彼女が、意外にも外科を選んだ過程が書かれています。エピローグで書かれていた文章が印象的でしたので、引用します。

「余裕のない中でも、素直さと謙虚さを失わず、求められる仕事に真摯に向き合えること。メンタルが荒んでも仕方のない毎日でも、穏やかでフラットな精神状態を保ち、他人に優しく、自分に厳しくいられること。
こう書いていると、まるで聖人君子を目指すような気分になってきますが、そういう人になりたいから外科を選んだんだろうし、それで間違ってなかったと思っています。自分も、つくづく面倒なプライドを持ったものですが、そのストイックさを枯らせたら、自分ではないなあと言う気もします。
ライフワークバランスがもてはやされて久しい世の中ですが、いろんなものと折り合いつけて働くなんて、もっと年を取ってからでも、いくらでもできます。まだ若いうちから、仕事で傷つかない生き方なんて、心底つまらないと思います。努力の対価が点数で付く世界でずっと生きてきて、バランスと能率に縛られていた私を変えたのが、二年間の初期研修でした。
医者の仕事は、はっきり言って非効率とアンバランスの塊です。そこで多少の自己犠牲を厭わず、本気で立ち向かうからこそ、この仕事は尊いんだと思います。どこまでやれるのかは未知数ですが、たとえ自己満足でもいいから、守りには入りたくないです。新たな場所でも自分らしさをついえさせず、毎日を嘘のない笑顔で、働いて行ければと思います。」

もちろん、研修医の労働環境が非人間的であるべきだとは思いませんが、自分のことを振り返ってみれば、365日休みがなく、週のうち半分以上が当直で忙しかった1年目の研修医のときが一番充実して楽しかったです。毎日、たくさんのことを覚え、少しずつ先輩や同僚、まわりの医療職、患者さんの信頼を獲得していく喜びを感じた一年でもありました。初期研修は、どんな病院でやるのでも、どんな診療科でやるので、とことんやってみれば、自分の思ってもいなかった部分が引き出される可能性もあります。

2013.10.23

本の紹介『安部公房とわたし』

安部公房とわたし
安部公房とわたし
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山口 果林
講談社

この本、言ってみれば暴露本です。著者の山口果林は安部公房と不倫関係にあり、安部公房が山口果林のマンションで倒れ亡くなるなど、十分にセンセーショナルでした。

でも、安部公房がなくなって20年も経つと、暴露本の放つ毒のようなものはかなり薄まっています。安部公房研究家にとっては、新しい事実も明らかになるという意味では一級の文献とも言えるでしょう。

でも、どこかもの悲しくて、暴露本なのか、安部公房を振り返る本なのか、山口果林の自伝なのか、よくわからなくなりましたが。やはり、ただの山口果林の自伝なのだと思います。

文章もどこかまとまりがなくて、落ち着かないのですが、230ページに紹介されている、安部公房没後十年を記念して、郷土誌「あさひかわ」に投稿した「安部公房氏と旭川」という文章は抑制が効いた素晴らしい文章だと思いました。

2013.10.18

本の紹介『流星ひとつ』

流星ひとつ
流星ひとつ
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沢木 耕太郎
新潮社

『流星ひとつ』は34年前に沢木耕太郎が直前に電撃的な引退を発表した藤圭子におこなったインタビューによるノンフィクションです。結局、沢木耕太郎は思うところがあって、この本は出版せずに、1冊だけ作って、アメリカに渡った藤圭子に渡しただけでお蔵入りになっていました。今回、藤圭子がなくなったことを機に出版されたものです。

このノンフィクションの一番の特徴は、すべてがインタビューの会話文だけで構成され、地の文がまったくないことです。芸能界、マスコミ不信に陥っていた藤圭子と、丹念に会話を重ねて、彼女の魅力が引き出されています。

2013.10.16

腎臓内科学推薦図書アップデート

腎臓内科学の教科書

体液異常と腎臓の病態生理
ヘルムート・G. レンケ ブラッドリー・M. デンカー
メディカルサイエンスインターナショナル

Renal Pathophysiology: The Essentialsの第2版の翻訳です。RoseとRennkeによる第1版からRennkeとDenkerが引き継ぎ、10年ぶりに改訂されたました。本書は生理学の観点から、腎臓病の病態生理を解説した本です。そのまま臨床に役立つ、というわけではありませんが、1週間くらいかけて、本書をうんうんうなりながら、考えながら、読み終えると、腎臓内科学の理解に一段あがった自分に気づくと思います。

腎臓専門医を目指す人向き。

Comprehensive Clinical Nephrology: Expert Consult - Online and Print, 4e
Jurgen Floege MD Richard J. Johnson MD John Feehally DM FRCP
Mosby

以前は、腎臓内科の教科書と言えば、BrennerのKidneyでしたが、今では、本書がもっともアメリカでも読まれている教科書です。図や表も見やすく、よい教科書だと思います。数年に一度改訂されており、アップデートされています。

水・電解質・輸液

水・電解質、輸液は、どの科でも必要な知識であるにもかかわらず、多くの研修医が苦手意識を持っているため、良書を探しています。たくさんの書籍の中から、以下の4冊の本をおすすめします。(一応、私も水・電解質の専門家と自称しています)

書籍ではないので、ここではとりあげていませんが、臨床の現場で、もっとも使える水・電解質のマニュアルはUpToDateです。UpToDateを始めたBurton Roseは水・電解質の第一人者であり、UpToDateの水・電解質のほとんどの章は彼が書いています。

輸液を学ぶ人のために
和田 孝雄 近藤 和子
医学書院

私の研究室の大先輩である和田孝雄先生の本。学生時代にご自宅にお邪魔したこともあったのですが、残念ながら、若くしてお亡くなりになりました。和田先生は、多くの「水電解質」の本を書かれていますが、改訂されることがなくなっているにもかかわらず、今でも売れ続けています。

和田先生の著作の中でも、もっとも売れている本が、本書です。和田先生が看護師の方2人に、輸液の基礎を講義していくというスタイルの本です。とても読みやすく、頑張れば1日で読み切れるような本ですが、私は、輸液の考え方を学ぶのにもっとも適した本だと思い、多くの研修医に推薦しています。

輸液の考え方を学びたいという初期臨床研修医向け。

電解質輸液塾
電解質輸液塾
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門川 俊明
中外医学社

初学者がいきなり、柴垣先生の「より理解を深める!体液電解質異常と輸液」に入れないだろうと思って、そこまでのつなぎとして私が書いた本です。症例ベースで使うなど、初学者でもクリアカットに理解できるような工夫をしていますので、学生、初研修医の方におすすめです。

私の友人でもある柴垣先生が書いた、この本は、本当によくできた本です。レベルとしては、腎臓専門医を目指す人向けと言っていいと思いますが、日頃感じる、水・電解質の疑問のほとんどに答えてくれます。私自身、本書を隅から隅まで読み込んで、自分の知識のブラッシュアップに非常に役立ちました。柴垣 有吾先生の、アメリカ仕込みの臨床腎臓病学の知識は、他の書物と一線を画しています。短期間の間に第3版まで改訂し、最新の知見を盛り込もうとする彼の誠実さを表した良書です。

さらに勉強したい人は、是非、BUrton Roseが書いた名書である、本書に進んで下さい。アメリカでも、電解質を真剣に勉強する人は、みんなこの本を使っています。

マニュアル、ガイドライン

マニュアルとしては、本書がもっともよいと思います。アップデートも頻繁で現在、第6版になっています。

WM腎臓内科コンサルト (ワシントンマニュアル)

メディカル・サイエンス・インターナショナル
売り上げランキング: 914,843

ワシントンマニュアルのコンサルトシリーズ。腎臓専門医を目指す人向き。

CKD診療ガイド2012
CKD診療ガイド2012
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東京医学社
売り上げランキング: 35,810

このガイドラインは必読でしょう。

血液透析

私が書いた本です。本来、非透析専門医向けに書いたものですが、専門医を目指す人にも格好の入門書になっていると思います。発売以来、透析関連ではダントツで売れている本です

臨床透析ハンドブック 第4版

メディカルサイエンスインターナショナル
売り上げランキング: 327,527

さらにもう一歩進んだ内容を勉強するとなると、これでしょうか。ただし、アメリカと日本では、保険の制約など様々なことによって、異なることがあります。また、血液透析に関して言えば、日本の方がアメリカよりレベルが高いので、そういった意味でも、本書に書かれた医療がベストプラクティスではないということも頭の片隅においてお読み下さい。

透析患者への投薬は、なかなか難しい。本書の総論を読んで、考え方を学び、実際の投薬の際には随時、本書で確認することが必要。必携の一冊。

腎病理

腎生検診断Navi
腎生検診断Navi
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片渕 律子
メジカルビュー社

初心者向けの腎病理の本としては、これをおすすめします。

腎病理の本でもっともたよりになるのが本書です。ただし、プリント版は現在、絶版になっていて、電子書籍のみ手に入ります。2014年中には、改訂版が発行される予定です。

2013.09.30

2013年9月積ん読本

9月はだいぶ本を読んで紹介しましたが、読む冊数<買う冊数なので、積まれる本の山がどんどん高くなっています。

敬愛するSFCの秋山美紀先生の著作。秋山先生が関わられたコミュニティヘルス活動を紹介しながら、課題解決に役立つ方法や具体的なヒントが提示されています。

戦士の休息
戦士の休息
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落合 博満
岩波書店

落合氏が、こんなに映画好きだったとは知りませんでした。野球以外趣味がないとご自身でも仰る中で唯一とも言える趣味が映画鑑賞だそうです。彼のベスト10は

  1. チキチキバンバン
  2. 白い恋人たち
  3. ゴッドファーザー
  4. アラモ
  5. 黄色いリボン
  6. ローマの休日
  7. マイフェアレディ
  8. 007シリーズ
  9. 黒部の太陽

だそうで。10位は、今後生まれる名作のために、あえて空席としています。

Evernoteとアナログのメモを療法使うことで、アイデアを生み出すという本。私の今のやり方によく似ていて、合点がいきます。

臨床研究の道標(みちしるべ)―7つのステップで学ぶ研究デザイン
福原 俊一
特定非営利活動法人 健康医療評価研究機構

福原先生が主催される「臨床研究デザイン塾」は、ずっと参加したいと思っているのですが、なかなか都合が付かないうちに年齢制限で参加できなくなってしまったので、本書を買って、臨床研究の基礎を学んでいます。とても良い本です。

襲名犯
襲名犯
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竹吉 優輔
講談社

江戸川乱歩賞受賞作はあたりはずれが大きい。どっちかというと自分的にははずれが多い。

この本、コンパクトだけどすごくいい本です。ビジネスコンサルがよく使うツール、SWOT解析とか、オズボーンのチェックリストとか、セブンクロス法とか、コンパクトに69個紹介しています。私は、個人的には、あんまり好きではないのですが、教育の世界にも結構使われているので、こういう本が一冊あるととても便利です。

こういう本は、もう買うのはやめようと思いつつも、立ち読みでぱらぱらしていたら、ずいぶん納得する部分があって、買ってしまいました。「引き受けた仕事は、その場で5分間だけすぐやる」というのは、なかなかよいアイデアだと思います。

吉田類、なぎら健壱、太田和彦とかと、酒場を巡る本。最後に乗っていた、よい酒場リストがうれしい。

村上春樹が絡んだ本を手当たり次第買うのもどうかと思いますが、村上春樹が訳した短編のラブストーリー10編を集めた、短編集です。

最近になって、私は小説よりノンフィクションが好きなのだと分かってきました。特に、社会の裏側の話が好きです。

ここに書いてあることなかなか参考になりました。スライドに必要な情報は

  1. メッセージ
  2. グラフ/チャート・表のタイトル
  3. グラフ/チャート・表
  4. 脚注
  5. 出所
  6. ページ番号

の6つ。通常、僕らが、スライドタイトルにしている部分に、メッセージを2行以内で入れるというのがボストンコンサルティングの流儀らしいです。

もう、手に入りにくくなっているので、とりあえず、古本で手に入れておきました。

そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)
ポール・クルーグマン
PHP研究所

アベノミクスの理論的支柱であるノーベル賞経済学者が「ロールモデルとしての日本」の可能性を語り尽くした一冊。

この本、マウスを扱う研究者必携の本です。最近の、学研メディカル秀潤社はヒット続き。

2013.09.23

本の紹介『波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』

この本、秀潤社の方に、いただいたのですが、はじめはまったく期待していませんでした。私は、ヘタレ研究者でもあるのですが、なにしろ、科学の読み物が苦手。一般的な科学の素養がありません。

でも、この本、おもしろかった!

本書は、『細胞工学』の人気連載「こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?」が待望の単行本化ですが、生物の形や模様が決まる精妙なメカニズムを解説した本です。生物が相似形を保ったまま大きくなるためにはどうしたらよいのかを、亀の甲羅を用いて説明。貝殻の形を決めている等角螺旋運動の話。shくぶつの至る所に現れるフィボナッチ数の話。そして、近藤滋先生の研究テーマでもある、体の模様の数理的解析。シマウマのシマはどうやって作られているかを数理的に説明する、チューリング波の話。あまりに見事なので、ちょっと、感激しちゃいました。

「研究論文や申請書におけるジンクピリチオン効果」の話など、近藤先生の軽妙で楽しも満載の一冊です。近藤先生は、今年の分子生物学会の会長ですが、きっと楽しい大会になるでしょう。

2013.09.17

本の紹介『バイオ研究者が生き抜くための十二の智慧』

PIも研究以外の雑用で忙しい。でも、世の中には、このような雑用を簡単に片付けるためのノウハウを持ったスマートなPIがたくさんいます。本書は、中山敬一先生をはじめ錚々たるPIが、PIの仕事術を紹介した本です。かなりおもしろかったので、詳しく紹介します。

第 1 章 ラボノートの書き方

東京大学の水島昇先生は、ラボノートの総目次を定期的に作ることを勧めています。

第 2 章 試薬・実験データの管理

医科歯科の鰐田先生のラボでは、試料管理ソフトとして、ダイナコム社のLab Secretaryというソフトを使っているそうです。どんなソフトかちょっと興味があります。ver 4ということなので、結構浸透しているのかも知れません。

第 3 章 書類整理術

慶應の佐谷秀行先生の書類整理術は、(1)捨てる、(2)生の書類として「超」整理術の方法で封筒に入れてキャビネット保管、(3)スキャンしてEvernoteに飛ばす、(4)PC内のフォルダに整理してDropboxで保管。なかなか機能的で、しかも無理がなく、クラウドを利用しているので便利そうです。

第 4 章 EndNote を活用した文書作成術

九州大学の中山敬一先生がEndnoteを使って、業績集の作り方を紹介しています。

第 5 章 マテリアルリクエストへの対応

九州大学の中山敬一先生は、これまで、2000件あまりのリクエストに応えてきましたが、大切なことは、どんどん配ってしまう、マテリアル供与の見返りとして共著を要求することは原則としてしないということだそうです。手間を減らすために、簡易版のMTAや公的バンクに供託することを勧めています。

第 6 章 論文レフェリーコメントと闘う心構え

大阪大学の仲野徹先生がレフェリーコメントと戦う心構えを紹介されています。

第 7 章 論文レフェリーをこなす

九州大学の中山敬一先生は、論文レフェリーは、非常に憂鬱な作業であるが、それを断るのも良心が痛むと仰っています。しかし、断る場合には、「現在、他にたくさんの審査を抱えているので今回は勘弁して欲しい」「学会に出席するために2週間は外出するので対応できない」のどちらかの英文をコピペして使っているそうです。そして、必ず、別のレフェリーを推薦しているとのこと。実際に引き受けて、コメントを書くときには、(1)論文の内容のまとめ(Figureのタイトルをすべてコピペして、それをつなぎ合わせて、そこにいろいろと修飾語を付け加えたりして作っているそうです)、(2)全体的な印象とジャッジ、(3)個別の質問、(4)マイナーコメントという構成にしているそうです。文例もかなりたくさん紹介して下さっていますし、踏み込んだ内容で、いくつかのアイデアは使わせていただこうと思いました。

第 8 章 オーサーシップ

東京大学の水島昇先生がオーサーシップを決める原則について解説されています。

第 9 章 Skype でラボミーティング

テキサス大学の上野先生がSkypeでのラボミーティングについて話をしています。私も、最近になってはじめてSkypeミーティングを経験しましたが、画面共有などを使えば、かなり使い勝手は良いと思いました。より快適なWebミーティングにするには、Skype Premiumアカウント、または、GoToMeetingやWebExというサービス(これらはホスト以外はアカウントが不要という利点があるが、料金は高額)があるそうです。

第 10 章 Journal Club

東北大学の中山啓子先生は、ご自身のラボでやっているJournal Clubのやり方について詳細に紹介して下さっています。

第 11 章 メディアを介した研究成果の発信

東京大学の東原和成先生が、メディアの取材への対応について解説されています。

第 12 章 プレスリリースの書き方

生理学研究所の小泉周先生が、プレスリリースの書き方について、かなり詳細に解説されています。私も、最近、そのような仕事のお手伝いをしているので、さっそく、使わせていただこうと思いました。

番外編 
 ①ベンチワークの匠:ヒト型ロボット研究員『まほろ』
 ②マウス系統の寄託と提供~(理研BRC 編)
 ③バイオラボ秘書の仕事術

本書は、細胞工学の連載をベースにして、書き下ろしを加えて一冊にまとめたものです。あけすけな中山先生の記事をはじめ、私は大変おもしろく読ませていただきましたが、もう少し価格が安かったら良かったなぁと思いました。

2013.09.12

フィンランドの小学生による「議論のルール10」

フィンランド国語教育を5つのメソッドで解説する『図解フィンランドメソッド入門』を読んでいて、あっ、これいいなと思ったので、紹介します。

フィンランドの小学校で議論の時のルールとして、みんなで決めたことだそうです。

議論のルール

  1. 他人の発言をさえぎらない。
  2. 話すときは、だらだらとしゃべらない。
  3. 話すときに、怒ったり泣いたりしない。
  4. 分からないことがあったら、すぐに質問する。
  5. 話を聞くときは、話している人の目を見る。
  6. 話を聞くときは、ほかのことをしない。
  7. 最後まで、きちんと話を聞く。
  8. 議論が台無しになるようなことを言わない。
  9. どのような意見であっても間違いと決めつけない。
  10. 議論が終わったら、議論の内容の話はしない。

この本、薄い本ですが、なかなか良い本です。

図解 フィンランド・メソッド入門
北川 達夫 フィンランドメソッド普及会
経済界

2013.09.02

本の紹介『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

この本、前から買ってあったのですが、大宅壮一ノンフィクション賞も獲得し、圧倒的な高評価なるも、この700頁近い厚さゆえ、読み始めたら、仕事に支障が出るだろうなと思い、なかなか、手をつけられずにいました。私は結構速読ではあるものの、完読までに1週間近くかかってしました。

13年間無敗で、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とまで言われた圧倒的な強さをもった柔道家である木村政彦についてのノンフィクションです。彼が、なぜプロレスに転向し、力道山と戦うことになり、そして負けたのか。柔道を講道館柔道ではなく、寝技中心の高専柔道から見た本であり、力道山対木村政彦の巌流島対決を、力道山の視点ではなく、木村政彦の視点から見た本です。

筆者は、格闘技ライターで、本書はゴング誌で4年間にわたって連載されていた記事故、前半1/3はやや資料的な記述が多く、少々もたつきましたが、この本のメインイベントである巌流島対決のあたりからは、一気に読み進めました。本のタイトルも、絶妙だなぁ。もちろん、力道山を殺したのは、木村政彦ではありませんが、木村政彦は、自分の念で力道山を殺したと言っています。

噂通り、とてもおもしろい本でした。特に、格闘技に興味がある方は、必読の本でしょう。

本を読んでも読まなくても、日常の仕事にはなんら影響がないことが実証されましたので、これからは、がんがん本を読んでいきたいと思います。

2013.08.30

本の紹介『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎』

Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎
夏秋 優
学研メディカル秀潤社

月曜日の外来には、週末に虫刺されになった人とかがよく来ます。私自身、あぶとぶよの違いも分からないような人間なので、通り一遍の手当しか出来ないのですが、この本を見て、考えを改めました。たまたま本屋で見つけ、12000円もしたのですが、夢中で読みました。この本は、「虫による皮膚疾患のアトラス」であると同時に、「人に皮膚炎をおこす虫の図鑑」でもあります。Dr. 夏秋、直接は存じ上げませんが、間違いなく、虫オタクだと思います。しかも、出版社が学研というのがいけています。

この値段なのに、発売2ヶ月で5500部売れているらしいです。

2013.08.29

本の紹介『医療関係者のための Google & クラウド活用ガイド』

Gmail、Google検索、Google Scholar、Googleカレンダー、Mendeley、Google Drive、ストレージサービスといった感じ。紹介されているサービスも、かなりGoogle寄り。

どれも丁寧に解説されているけど、「あっ、こんな使い方もあるのね」といった驚きが少ない本でした。どちらかというと、「○○がしたい→△△のサービスを使えば、こんな使い方が出来るよ」というLifehackの紹介が中心の本の方が私は好きです。

2013.08.23

本の紹介『科研費獲得の方法とコツ 改訂第3版~実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略』

この本、羊土社の中でも、相当なヒット本になりました。しかも、児島先生はとても真面目な先生なので、毎年ルールの変わる科研費の仕組みを、webでもフォローし、そして、毎回大改訂をおこなって、改訂第3版まできました。

科研費申請書を初めて書く人、いつも採用されない人は、絶対、読むべきです。科研費の審査の仕組み、通る科研費申請書の書き方が分かります。これ読まずして、毎年落ちているというのはもったいない。少なくとも若手Bは業績をあまり問われないのですから、アイデアと書き方次第です。

私は、今年は、更新年ではないので、他人事のような気分ですが。

2013.08.18

2013年8月積ん読本

7月は本の紹介やりそこねたので、たくさんたまっています。

「迷ったら、二つとも買え!」書店で見たとき、私と同じような人がいると思って、買ったのですが、読んでみたら、全然私とは違いました。買いたいと思ったら、迷わずに、買うべきと言う信念は私と同じ(もちろん、買い物の金額は、島地さんに比べて1桁少ないです)ですが、決定的に違うことがありました。それは、私には所有欲というものがないということ。つまり、コレクションして、部屋に飾って愛でるという気持ちはまったくありません。だから、使うつもりのものしか買いません。ただ、実際に買ってみて使い物にならないことに気付くことが多く、その点、浪費家であることは否定しません。

真夏の方程式 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋 (2013-05-10)

映画を見た後、原作はどうなっているんだろうと気になって、読んでみました。驚いたことに、映画は、原作にものすごく忠実です。あえて言えば、前田吟がちょっと違うかな。杏は彼女しかいないというくらいはまっています。で、内容はどうかと言えば、いまいちかなぁ。私は東野圭吾は好きですが、ガリレオシリーズはあまり好きではないのです。

永遠の0 (講談社文庫)
永遠の0 (講談社文庫)
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百田 尚樹
講談社

4年前から読まずに積んで置いたのですが、ついに読みました。おもしろいとはおもいますが、私は戦争物はあまり好きではないので、、、、。

ハードカバーの時に読みましたが、もう一度読みたくなって、文庫を買い直しました。

ここまで、くると、「キャリアポルノ」とか言っていられない。林さんががすごいことは認めるけど、自分は、ここまで押し出せないなぁ。そういえば、情熱大陸に出ていた林真理子さんの執筆スタイルに完動しました。原稿用紙に黒のサインペンで原稿を書くのですが、その早さがすごい。原稿用紙1枚を1−2分で書き上げていました。やっぱり、天才なので、このくらいのこと言っても許されます。

医療安全がらみの勉強をしている中で、読みました。

敬愛する山本雄士先生の著作。「投資型医療」を実現するために、以下の7つの提言をされています。
1. 社会全体でイノベーションを促進しよう
2. 病気にならない、病気にさせないための投資をしよう
3. 開かれた医療でケアの勝ちを追求しよう
4. 情報の集約と開示をしよう
5. 資源の最適再配置をしよう
6. 政策立案と合意形成のプロセスを進化させよう
7. Small-Winを広げよう

私が、今まで習ってきた中でもっとも強烈なインパクトを残された土屋先生のこんな本があると見つけて、思わず買ってみました。でも、タイトルの「ミイラとなって昭和に出現」の部分はいらないのじゃないかと思いました。中身は、ごく普通の、福沢諭吉と医学の接点を丁寧にたどった本です。

2013.08.11

本の紹介『後世への最大遺物・デンマルク国の話』

最近、年月を加算式で考えることより、減算式で考えることが多くなってきました。自分は、今まで何年かけて○○をやってきたという思考パターンではなく、あと自分に残された時間はどのくらいだろうから、その中で何をやっていけるかという思考パターンです。

47歳という年齢は、日本人の男性の平均寿命からみても、半分以上が過ぎていることは間違いありませんし、生きている間、すべての時間が健康で今と同じような頭脳を保てるわけではありません。今年、大きな怪我をして、ほんとに、自分に残された時間で、何をしたいか。やっぱり、本当に自分が好きなこと、自分がやるべき事にきちんと時間を使っていこうという思いが強くなりました。

さて、この本は、内村鑑三が、明治27年におこなった講演「後生への最大の遺物」という講演と、明治44年におこなった講演「デンマルク国の話」の二編が収録されています。本当は、「デンマルク国の話」に惹かれて、この本を購入し、読み始めたのですが、私にとっては、「後生への最大の遺物」の方がおもしろかったです。後生へ残していくべき第1のものは金である。金を貯める才能がなければ、事業である。事業をなす社会の位置もなければ、思想である。本を書くこと、または、教えることによって、思想を残す。思想も残せないとしても、誰にでも出来ることがある。それが、勇ましい高尚なる人生を送るということである。と説きます。

金を貯める才能はないと思いますが、何か、事業を残し、自分の思想を残したいという気持ちは強くあります。あんまり、迷っている時間はないので、突き進みましょう。

2013.06.25

本の紹介『モチベーション3.0』

医師のキャリア、生涯教育について、Facebookに1週間ほど前に以下のように書きました。

従来、頼りになった組織は、これからは、だんだん、危うくなっていくので、ゆるやかなつながりを大切にしていきたいと思います。また、そのような社会の変わり目に対応できるような柔軟さを身につけていなければいけないと思います。そして、今まで高いハードルだと思っていたものはずいぶん低い垣根になっているので、勇気を持って飛び越えられるしなやかさを持ち続けていたいと思います。

そしたら、一つ、質問されました。「組織が頼りにならなくなり、つながりと言っても、そちらもずいぶん頼りがいがなさそうに思えます。今後、どうやって、自分のキャリアや学習を考えていけば良いのでしょうか?」。答えになっているかどうか分かりませんが、是非、ダニエルピンクの書いた、『モチベーション3.0』を読んでみて欲しいと思います。

彼の主張をまとめておきます。

社会や人を動かす基本ソフト(OS)として、人類最初のものは、生存を目的とする原始的なものだった。生理的動因がすべての行動を規定していた。この初期のOSをモチベーション1.0と呼ぶことにする。19世紀以降、いわゆるアメとムチに基づく、与えられた動機づけによるモチベーション2.0が導入された。このOSはルーチンワーク中心の時代には有効であったが、21世紀を迎えて機能不全に陥っている。21世紀のモチベーションは自分の内面からわき出る「DRIVE」に基づく、モチベーション3.0が有効である。モチベーション3.0には三つの重要な要素がある一つは、自律性(オートノミー)、自分の人生を自ら導きたいという欲求のこと。二番目は、熟達(マスタリー)、自分にとって意味のあることを上達させたいという衝動のこと。三番目は目的、自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、という切なる思いのこと。

もちろん、社会の組織が、いきなり、すべてモチベーション3.0に置き換わらないと思っています。でも、モチベーション3.0的な考え方を身につけることは、これからの世の中を渡っていく、しなやかさを身につけることに必要なことと思います。

2013.06.16

2013年6月積ん読本

木曜日あたりから、急に自分探しの読書の旅に出たくなって、乱読。

結論から言えば、一番期待していた、ちきりんさんの「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」には、ひどくがっかりし、「一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ」もがっかり。「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」と野村監督の「監督の器 」はけっこうおもしろくて、平野啓一郎氏の「私とは何か――「個人」から「分人」へ」が、腑に落ちて、旅は終了。

最近、仕事がたまっているせいか、本を読んでいても、入り込めない自分がいます。

40代を境目に、二種類の人生を生きようという本。かなり期待していたけどがっかり。前半の、今まで当たり前だったことが、当たり前でなくなっていることは、よくわかりました。でも、この本の主張である「人生を2回生きる」というのは、1回目の人生でそこそこ成功しなければ、2回目の人生は難しいと思う。ちきりんさんは、1回目の人生を元手に2回目の人生を模索しているわけだから、まったく違う人生を生きているわけではないと思うんですよね。

私も、仕事場での顔、学生向けの顔、家での顔、遊びでの顔、まったく違うからなぁ。

中央線がなかったら 見えてくる東京の古層
陣内 秀信 三浦 展
エヌティティ出版

まさにブラタモリの世界。暗渠マニアになりそうです。もう少し、歩けるようになったら、暗渠をたどりたいと思います。中央線沿線にお住まいの方にはおすすめ。

監督の器 (イースト新書)
監督の器
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野村克也
イースト・プレス

私、野村監督の解説って結構好きなんですよね。古田が、あれだけ野村監督に教育されたけど、もともと、捕手向きの性格ではなく、目立ちたがり屋で、投手のような性格だった。野村監督の教育が活かされたのは、リードより、打撃であり、投手のような性格は、ちょうど戦力が低下して、堪え忍ばなければ行けない状態のヤクルトの監督になってもうまくいかなかった。とか、おもしろかったです。

あまり参考にならず。

がっかり。

まだ、手つかず。

2013.06.06

本の紹介『「寄り道」呼吸器診療』

この本を見て、「やられた」と思いました。実は、この何年間も、私がやろうと思っていたことをこの本の著者に実際にやられてしまったからです。

私は、この数年間、きちんと腰をすえて、腎臓内科の臨床をしっかり勉強したいと思っていました。もちろん、持続力がなく、努力も下手な人間ですので、なんらかのメディアを使って、自分を律する必要があると思っていました。その方法として、Journalに掲載された腎臓病の臨床に関わる気になる論文を取り上げ、ブログで紹介するということをやりたかったのです。そのために、ドメイン(nephrology.jp)も用意して、Wordpressをインストールしてありました。でも、私が教育の部署に移って、すっかり、そんな時間もとれなくなってしまい、このプロジェクトは頓挫しておりました(今でも、開始したいという意思は持っていますが)。

本書の著者の倉原氏は、卒後7年目の若手の呼吸器専門医で、まさに私がやろうとしていたことを、「呼吸器内科医」というブログでおこなっていました。私は知らなかったのですが、今、読んでみると、とても質の高く、毎日更新されている素晴らしいサイトです。

かねがね、後輩が、どうやって臨床の勉強をしたらいいですか?と聞かれたときに、アウトプットを定期的に出すような工夫をするのがいいと答えていました。その方略の一つが、ブログであるとも、言っていましたが、みんな?という顔をしていました。

「寄り道」呼吸器診療の本の出来が、すべての人に勧められる呼吸器内科の定番本かと言われれば、NOかもしれません。少なくとも、呼吸器診療全体をオーバービューするという目的の本ではないと思います。しかし、どのReseach Questionも、実際に呼吸器診療をおこなう際にわき起こる純粋な質問であり、それらに一つ一つ文献を上げながら、エビデンスをまとめています。エビデンスを集めて、無理矢理答えを出してしまうのではなく、分からないものは分からない、悩ましいことは悩ましいままにしてあるところも好感が持てます。著者が呼吸器診療を行う上での疑問を解決する過程そのものが、一冊の本になったと言えます。

著者紹介に書かれた、「子供の頃からの夢だった医師になることができ、自分を支えてくれたあらゆる人に感謝している毎日です」という言葉が、素敵ですね。

私も、子供の頃から医師になるのが夢でした。こうして夢を叶えられていることに、もっと感謝して、真摯な気持ちで医学、医療にもう一度向き合いたいと思いました。

というわけで、この本の紹介と言うより、倉原医師の医師としてのありように感銘を受けたことを紹介する記事になってしまいました。

2013.06.05

本の紹介「レジデント必携!知っておきたいメンタルケアの知識」

まだ、若手の精神神経科医の方のようですが、前著の「一般臨床医のための メンタルな患者の診かた・手堅い初期治療」の時から、注目していまして、非専門医に上手に、精神神経科領域の知識をわかりやすく伝えてくれる良書です。聖路加でしっかり内科医としてのトレーニングを受けている著者だから、内科医が手を出すべきものと、専門医にゆだねるべきものを明確にしてくれており、安心感があるのでしょうね。特に、私のように、きちんと精神神経科のトレーニングを積んでいないような人間には、一冊目としておすすめです。

2013.05.12

本の紹介『プレイフル・ラーニング』

プレイフル・ラーニング
上田 信行 中原 淳
三省堂

本書は、様々なオルタナティブな学びの場づくりの実践を繰り返してきた、同志社大学の上田伸行さんの実践の歴史、彼が影響を受けてきた理論や思想の歴史を東京大学総合教育研究センター中原淳さんが紹介することで、クオリティの高い、革新的な「オルタナティブな学びの場」を作り出すために必要なことを紹介する本です。自分の教育の考え方がそれほど間違ってなかったことが確認できたと共に、ラーニングデザイン研究の理論的背景も学べ、とてもよい本でした。

東京大学総合教育研究センター中原淳による前書きが素晴らしかったので、長いですが、引用します。

「学び」や「教育」の言説空間において、ここ十数年で起こった変化を、3つのワードで端的に表現するとしたら、あなたは、何という用語を選びますか?

(中略)

仮に、僕が、この問いを投げかけられたとしたら、こう答えるかもしれません。それは「オルタナティブ」「インタラクティブ」「アマチュア」の3つのワードです。

「オルタナティブ」とは「既存のものとは別の」という意味であり、「インタラクティブ」とは「双方向性」、そして「アマチュア」とは「教育の非専門家」を示します。

3つのワードを選ぶことで僕が描き出したい、この10年の変化は、こういうことです。

つまり「教育の非専門家(アマチュア)が、自分の専門性や経験を元に、既存の(学校)教育ではない”オルタナティブな学びの場”を組織するようになってきた。そこに志や興味関心を同じくする人々が集い、双方向(インタラクティブ)のコミュニケーションを取りつつ、学ぶようになってきた」ということです。誤解を避けるために断言しておきますが、教育専門家の役割が低下したと言うことではありません。むしろ彼らの専門性はさらに高度なものが求められています。教育の専門家と連携/補完/役割分担するかたちで、教育の非専門家による学びの場の創出が増えてきているのです。

具体的には、組織外で開催される様々な勉強会や交流会。はたまた、キャリアやイノベーションなど、各種のテーマに基づき開催されているワークショップなどが想定できるでしょうか。近年「朝活(早朝に行われる勉強会)」という言葉も生まれました。都市全体を「大学」に見立てた自主的な学習共同体も出現しています。

子供を対象にしたワークショップも全盛期を迎えています。アートや造詣を行うワークショップ、プログラミングを行うワークショップ。様々なものが提唱され、実践されています。

これらの隆盛を支えた要因は、多種多様です。しかし、おそらくインターネットやソーシャルメディアが引き起こした「動員の革命」は、こうしたオルタナティブな学びの空間への周知に一役買っています。

かくして–現在では主に都市部が中心ですが–様々な人々が、自分の専門や経験を活かし、「単位にも学位にもつながらない学びの場」を組織するようになってきました。いわゆる「ワークショックバブル」と呼ばれるような様相を呈しているのが「現在」であると思います。

(中略)

しかし、一方、このバブル状況において、憂慮するべき事態も生まれてきているようにも思います。最大の憂慮すべき事態は、「クオリティが玉石混淆である」という点です。誰もが「教え手」になれるということは、必然的に「クオリティの格差」が生まれることを意味しています。一言で言えば、「それぞれの専門性や経験に根ざした素晴らしい学びの場」が生まれる一方で、「学びを生み出す以前のレベルの場」も存在する、ということです。

学習内容がそもそも不明確なまま、参加者に学びを強制し丸投げして、主催者側が自己陶酔しているパターンもあり得ます。不適切なファシリテーションによって、学習者を必要以上に混乱させていたりする事例は枚挙にいとまがありません。活動を詰め込みすぎて、内省を行う時間がないこともあります。また、あるところで自分が経験した教育手法を絶対化、教条化、固定化し、学習者に息苦しい学習機会を提供している場合もあり得ます。それらは「オルタナティブ」「インタラクティブ」「アマチュア」の3つのワードが必然的に抱えざるを得なかった負の部分です。それら3つの概念は、素晴らしい学びの機会を創出する一方で、他方、闇を生み出しうるものなのです。

2013.05.05

2013年5月積ん読本

素晴らしい天気のGWも、家での静養を余儀なくされているので、好きな音楽を聴きながら、読書三昧のGWを送っています。

今年の4月から、NHKのラジオで「英語で読む村上春樹」という放送が始まって、聞いているのですが、その題材が、「象の消滅」なので、買ってみました。こうやって、順番が組み直されると、印象が変わりますね。

小林秀雄の没後30年記念特集として、未発表の小林秀雄と河上徹太郎の対談音声がCDで付録として付いているということで買ってみましたが、私としては、養老孟司氏の『ウィーンと治療ニヒリズム』の方が興味深かったです。一昨年訪れたウィーン大学医学部のNarrenturmとJosephinumなどが紹介されていました。

キャパの十字架
キャパの十字架
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沢木 耕太郎
文藝春秋

NHKのテレビ番組はそれほどおもしろくなかったので、買うのを躊躇していたのですが、入院中にお見舞いでいただいたので、読んでみようと思っています。

考える生き方
考える生き方
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finalvent
ダイヤモンド社

極東ブログ』の作者であるfinalvent氏の著作。55歳になって、これまでの半生を振り返るという内容。沖縄問題や、リベラルアーツを学ぶことなど、結構おもしろかったです。

決められない患者たち
Jerome Groopman MD Pamela Hartzband MD
医学書院

著者のGroopmanはハーバード大学の医学部教授で、『医者は現場でどう考えるか』の著者でもあります。最善の選択はいかになされるかということを、多くの患者における選択のプロセスと通して語っています。興味のある方は、是非、HONZのレビューをお読み下さい。

かなり期待していたのですが、『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいないと、すべては理解できないです。『ねじまき鳥クロニクル』を読んでから、読み直します。

地下鉄サリン事件の被害者に直接会って、話を聴くという形のノンフィクション。

現代落語論 (三一新書 507)
立川 談志
三一書房

古い本ですが、立川談志による落語論。落語はあまり得意ではないのですが、プレゼンテーションの勉強になるかなと思って、読んでいます。

読んでみて、自分が知っているお店が10%程度しかないので、すっかり、こういう世界からは隔絶されてしまったと思いました。

構造主義は苦手なので、まさに、寝ながら学びたいと思います。

この本は、良い本です。フルカラーで1000円を切っているので、コストパフォーマンスも高い。

プレゼンテーションに関する『実験医学』人気連載を書籍化したもの。

あの難解であるも名著であるサパイラが、須藤先生たちの苦労の末、翻訳されました。

同僚である、香坂先生の本。この本は、彼の本の中でも秀逸の出来です。心電図を勉強する本ではなくて、心電図を通して、循環器内科を俯瞰するような一冊。

またしても、香坂先生の本。

本書で紹介されている血液ガスの7ステップ解析は、はじめて見る解析手法です。初心者にはかえって難しいように思いましたが、自分でも検証してみたいと思います。

聖路加の長浜先生の編集によるもの。輸液の部分の基本的な部分は、教えるのが簡単なのですが、応用編となると、正解がない世界になるので、教えるのに苦労しています。本書は、その応用編にもかなり踏み込んでいますので、勉強させていただきたいと思います。

2013.04.23

本の紹介『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』

4月は、医学書マニアにとってはうれしい月。たくさんの医学書が出版されます。近年の出版不況のせいか、非常にアイデアにとんだ良書が多くなったと個人的に感じています。今日、ご紹介する『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』も、そんな良書です。

ゲシュタルトは、ドイツ語の「形」のことです。「見た目」と言った方がわかりやすいでしょうか。

その病気の患者さんを見た経験がある医師は、見ただけで診断が出来るけれども、見たことがない人には、好発年齢、性差、症状を伝えてもなかなか診断が思い浮かびません。そういう病像を全体としてとらえて診断することがゲシュタルト診断なんだと私なりに考えました。教科書からは学べないけれども、臨床の現場ではもっとも重要な臨床能力の一つです。以前、どの大学でもあった、患者さんに講堂に来てもらって行うような臨床はそのようなゲシュタルト診断を醸成するには有効な教育方法であったのでしょうが、現在では、そのような教育手法が行われることは少なくなっています。そういう意味で、ありそうでなかった、医学書です。

たとえば、偽痛風の章で、須藤先生は、偽痛風を「退院熱または転院熱」として遭遇することが多いと指摘されています。また、PMR患者が起き上がる様子のスケッチなどは、まさに、ゲシュタルトそのものでしょう。

この本が驚異的なのは、単著ではなく、たくさんの方が執筆している本にもかかわらず、非常によく出来ていると言うことです。これは、編者の岩田先生の力なのでしょう。

2013.04.15

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』にとりかかります

手に入れるのが、ちょいと遅れました。

以前、bodyhacker氏に、村上春樹の著作をいろいろ勧めていただいたのですが、村上春樹氏のエッセイや短編はとても好きなのですが、長編は、読めるものと読めないものがはっきりしています。読めたのは、高校生の時に『ノルウェイの森』、最近になって『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『1Q84』くらいです。いずれも、とてもおもしろかったです。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が発売される前に読了しようと思って、『ダンス・ダンス・ダンス』に再チェレンジしたのですが、読めませんでした。読めないというのは、10ページ、20ページと読み進めても放り出してしまうのです。

さて、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』はどうでしょうか。のってしまえば、一晩で読めてしまうと思います。

2013.04.11

『電解質輸液塾』上梓しました

私の著書7冊目となる単行本『電解質輸液塾』を中外医学社より上梓しました。

学生時代から、電解質の勉強は好きで、それゆえに、腎臓内科を自分のスペシャリティとして選び、研究グループも腎生理グループに入ったわけです。ずっと電解質の研究ばかりをしてきたわけではありませんが、Gitelman症候群など、ライフワークのように研究を続けています。

ご存じのように電解質というのは、奥が深く、学生や研修医でも苦手意識の強い分野です。電解質の教育は、私自身のライフワークと考えていました。昨年から、学生にも集中して教える機会ができ、これをきっかけに、本にまとめ上げようという気持ちが生まれました。

少し、本書のコンセプトを説明しておきたいと思います。電解質の教科書として、柴垣先生の『より理解を深める!体液電解質異常と輸液』があります。うちの教室の後輩たちには、この本で勉強することをすすめているのですが、初学者にはややハードルが高いようです。そこで、初学者が、柴垣先生の本に入る前段階の本を作りたいと考えていました。つまり、学生やレジデントがこの本のターゲットです。もちろん、ここをターゲットとした本には、黒川先生の『水・電解質と酸塩基平衡 Short Seminars』や、今井先生の『酸塩基平衡、水・電解質が好きになる』という大先輩の素晴らしい本があるわけで、私などは若輩者なのですが、その分、真摯に向き合って、工夫をしながら書き上げました。初学者だけでなく、もう一度、電解質を勉強しなおしたいという人にもおすすめしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

電解質輸液塾
電解質輸液塾
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門川 俊明
中外医学社

2013.03.16

本の紹介「問題解決の心理学」

自分の研究テーマの一つとして、しばらくは「臨床推論」をやっていこうと思っています。今まで、推論の過程を言語化できなかったことがはがゆくて、認知心理学の観点から臨床推論を見直そうと思って、すすめていただいた入門書がこれ。慶應義塾大学前塾長の安西先生が1985年に書かれた本です。認知心理学そのものの入門書と言うことでなく、問題解決を認知心理学の多様知識をもとに論考を進めるというもの。すばらしい本です。ただし、まだ、私の中で、臨床推論に直接結びつけられていないので、もう何冊か読んでから、もう一度戻ってこようと思っています。

2013.02.24

2013年2月積ん読本

単行本は脱稿できたのだけれど、なかなか読書する時間は取れませんね。週に何冊も積み上がっていきます。

最近、ネット上で話題になっている2冊。どちらも、結構歯ごたえがありそうなので、まだ、手がつけられていません。

なめらかな社会とその敵
鈴木健
勁草書房

興味を持って買いあさっているのは、認知科学の入門書。

人はいかに学ぶか―日常的認知の世界 (中公新書)
稲垣 佳世子 波多野 誼余夫
中央公論社

次は、医療コミュニケーションの本

次は、生命倫理の本

ケースブック医療倫理
赤林 朗 家永 登 中尾 久子 森下 直貴 大林 雅之 白浜 雅司 村岡 潔
医学書院

医療倫理学のABC 第2版
服部 健司 伊東 隆雄
メヂカルフレンド社

あとは、雑多な医学書

病院の世紀の理論
病院の世紀の理論
posted with amazlet at 13.02.18
猪飼 周平
有斐閣

少し力を抜いたものも。この辺は、一瞬で読了できる。

児玉光雄の読むだけでテニスが上手くなる本
児玉 光雄
ベースボールマガジン社

2013.02.18

本の紹介「まんが医学の歴史」

まんが医学の歴史
まんが医学の歴史
posted with amazlet at 13.02.18
茨木 保
医学書院

この本、興味を持っていたのですが、今日、朝日メディカルを読んでいたら、作者の茨木先生のインタビューがあったので、買って読んでみました。

茨木先生は、産婦人科医にして、プロの漫画家。医事新報に載っている猫山先生の四コマ漫画で知られています。医者になってから、趣味の漫画を始めたのかと思ったら、はじめから漫画家志望で、手塚治虫先生にあこがれて、医学部に入ったそうです。医学部学生のときに、手塚先生に「俺みたいに半端物にならないで、きちんと医者になりさい」と言われ、産婦人科医になったそうです。それでも、少しずつ漫画の仕事も増えてきて、勤務医から開業したときの3年間くらいは、漫画家としての収入の方が多かったそうです。

ちなみに、この「まんが医学の歴史」は、医史学の入門書として大変優れたものです。医史学が好きで、自分で調べられ、5年間かけて書かれたという名作です。まんがということで侮ることなかれ、おすすめの一冊です。

2012.12.19

日野原先生が薦める「医学徒のためのベッドサイドライブラリー20冊」

ウィリアムオスラーは、医学生やレジデントが夜床につく前の30分間は、毎晩本を読むことを薦め、「医学生のベッドサイドライブラリー」として、『平静の心』の中で紹介しています。

  1. 旧約・新約聖書
  2. シェイクスピア
  3. モンテーニュ『エッセー』
  4. プルターク『英雄伝』『倫理論集』
  5. マルクス・アウレリウス『自省録
  6. エピクテトス『要録』
  7. トマス・ブラウン『医師の信仰・壺葬論
  8. セルバンテス『ドンキホーテ
  9. エマソン『エマソン選集』
  10. オリバー・ウェンデル・ホームズ『朝の食卓』シリーズ

日野原先生は、オスラーにならって、医学徒のためのベッドライド・ライブラリーとして、20冊の本を推薦されています。(*)は、20冊の中から、特に勧める7冊。

  1. ウィリアム・オスラー『平静の心』(*)
  2. マルクス・アウレリウス『自省録
  3. プラトン全集
  4. フーフェランド『医戒』
  5. シェークスピア『マクベス
  6. トルストイ『イワン・イリッチの死
  7. V. E. フランクル『夜と霧』(*)『それでも人生にイエスという
  8. M. ブーバー『我と汝
  9. E. エリクソン『老年期-生き生きしたかかわりあい
  10. サン・テグジュペリ『星の王子様
  11. H. ホイヴェルス『人生の秋に
  12. M. フーコー『臨床医学の誕生
  13. Cicely Saunders "Living with Dying".
  14. 細川宏『病者・花-細川宏遺稿詩集』(*)
  15. E. フロム『愛するということ』(*)
  16. 片山敏彦訳『リルケ詩集
  17. アン・リンドバーグ『海からの贈り物』(*)
  18. E. キャセル『癒し人のわざ』(*)
  19. 夏目漱石『思い出す事など
  20. 日野原重明『医の道を求めて-ウィリアム・オスラー博士の生涯に学ぶ
  21. P. タマルティ『よき臨床医を目指して』(あとから追加された)(*)

今年は、原稿に振り回されて、なかなか読書をする時間がなかったので、寝る前の30分は気持ちを落ち着かせて、これらの本を読んでいこうかなと思っています。

2012.12.18

本の紹介『日野原重明ダイアローグ』

2年前の富士研という医学教育者の研修合宿や、今年の医学教育学会などで、日野原先生に近く接する機会があり、日野原先生のすばらしさを知ることができました。

日野原先生のすばらしさは、たくさんあるわけですが、私が強く感じるのは、主張が首尾一貫変わらないこと。勤勉であること。そして、ユーモアがあることです。

日野原重明ダイアローグ
日野原 重明
医学書院

本書は、「医学界新聞」紙上に掲載された日野原先生の講演、対談、座談会などをまとめた本です。年代としては、1980年前後のものが多く、亡くなる1年前の武見太郎先生との対談もあります。30年も前なのに、どれも、まったく古くなく、日野原先生の主張は、今の医学界でも色あせていません。こうして振り返ってみると、医学教育、研修制度、プライマリ・ケア、ホスピス、診療録、臨床疫学の在り方など、日野原先生が、今日の医療の先駆者であることがよくわかります。

2012.11.26

2012年11月積ん読本

単行本の脱稿が遅れに、遅れ、なかなか本を読む時間もなくて、本もなるべく買わないようにしているのですが、衝動買いしてしまう本もあります。今月は、本当に、積ん読本。キーワードは、「意思」と「決断」。ちょっと、歯ごたえがある本も多く、どれも、はじめの数ページしか読んでいません。

64(ロクヨン)
64(ロクヨン)
posted with amazlet at 12.11.27
横山 秀夫
文藝春秋

広田さんも含め、絶賛の嵐。警察小説の横山秀夫の会心の一冊。

 

採用基準
採用基準
posted with amazlet at 12.11.27
伊賀 泰代
ダイヤモンド社

伊賀泰代さんが、「ちきりん」さんだという噂のようですが、そんなことは別にしても、良い本。

 

2002年には、不確実な状況下における意思決定モデル「プロスペクト理論」などを経済学に統合したことが画期的な業績として評価され、心理学者ながらノーベル経済学賞を受賞。本書は著者初めての一般向け著作。《ニューヨーク・タイムズ》《ウォールストリート・ジャーナル》《エコノミスト》の各紙誌で年度ベストブックに選出されています。去年、広田さんが、推薦して下さっていたのですが、私は、原書は無理なので、日本語訳を待っていました。

 

行動経済学をキーワードに本屋を巡っていて、おもしろそうだと手に取ってみました。

 

この本も、ベストセラー本で、去年から、買おうかと思いつつ、やめていたのですが、まとめ買いしたときに、なぜか入っていました。東大×京大×マッキンゼー式・決断の技術! 教室から生徒があふれる京大の人気授業「瀧本哲史の意思決定論」を1冊に凝縮したもののようです。

 

梅棹忠夫先生の思想と生涯

2012.10.19

2012年10月積ん読本

またまた、amazonのAPIのルールが変わって、アマゾンのサーバーがXSLTをサポートしなくなってしまって、もう、私のプログラミング能力では、ついていけないので、本の紹介のamazonのリンクの部分は、amazletさんのお世話になることにしました。

思考のレッスン (文春文庫)
丸谷 才一
文藝春秋

先日、亡くなられた丸谷才一氏の本を読んだことがなかったので、『思考のレッスン』を買いました。この本は、丸谷才一氏がインタビュー形式で、「考えること」「書くこと」「読むこと」について語っています。私は、日本の古典文学には疎いのですが、丸谷氏の学問への考え方に、とても共感を覚えました。「遊び心を持ちながらも、痛快な人生を送りたい」というのは、私も同じだ!と思いました。

 

ザ・プレゼンテーション
ナンシー・デュアルテ
ダイヤモンド社

副題が、「人を動かすステーリーテリングの技法」なっているように、プレゼンテーションと言うよりは、聴衆の心を動かすストーリーテリングないしはスピーチの技法の紹介の本です。

本書の著者ナンシー・デュアルテ氏は、実はアル・ゴアの『不都合な真実』のプレゼン制作にもかかわった陰の立役者。スティーブ・ジョブズ、レーガン元大統領、リチャード・ファインマン、ベンジャミン・ザンダーなどなど、歴史に残る圧巻の名プレゼン事例を紹介しています。著者はこれらをつぶさに分析することで、優れたプレゼンには共通する「型」が存在することを証明しています。

読み進むうちに、なるほどと思いますが、このような人を動かすスピーチの技法は、生まれ持っているのが大半で、努力で改善できる部分は少ないというのが私の考えです。たとえば、大統領の演説1回分をプロデュースすることはできても、その大統領のスピーチ能力を改善するのは難しいと思うのです。

 

あたらしい書斎
あたらしい書斎
posted with amazlet at 12.10.19
いしたにまさき
インプレスジャパン

小学生の時には、兄弟3人で一つの机をシェアしていた私は、大人になったら、絶対書斎を持ってやると思っていました。幸い、今は、書斎を持たせていただいていますが、まだ、うまく使い切れていないというか、私の知の発信基地にはなり得ていない感じです。

 

星の巡礼 (角川文庫)
星の巡礼 (角川文庫)
posted with amazlet at 12.10.19
パウロ・コエーリョ
角川書店

気持ちにまったくゆとりがなくなったときの処方箋が、この本、パウロコエーリョ「星の巡礼」にのっていました。

☆スピードの実習
二十分間、普通歩く速さの2分の1の速度で歩く、周囲のこまごまとしたこと、人々に十分に注意をはらうこと。特に、昼食の後におこなうのが最も望ましい。この実習を七日間、繰り返しおこなう。

この実践をおこなうだけで、本当に、今まで見えてこなかったものが見えてきます。おすすめです。

 

The臨床推論―研修医よ,診断のプロをめざそう!

南山堂
売り上げランキング: 5542

私も、大学で、模擬患者さんを使った、初診外来実習で、臨床推論を5年生に教えています。そこで蓄積してきたノウハウを本書と照らし合わせることで、アタマがすっきりしました。特に、大西先生自身が書かれた章は大変参考になりました。今後は、もう少し、認知心理学的な要素を入れ、実習を改善するとともに、なんらかの研究につなげたいと思っています。この本は、研修医向けと言うより、研修医の指導医向けの本ですね。

 

単行本の時に読みたいと思っていて、いつの間にか文庫になったので買いました。今月末のアメリカ出張の時にでも読もうと思っています。

 

新訳 成功の心理学 人生の勝者に生まれ変わる10の方法
デニス・ウェイトリー
ダイヤモンド社

「ザ・シークレット」のロンダ・バーンが「師」と仰ぐ著者の代表作で、30年近く読み継がれている名著が復刊したものです。自分の中に、「ハングリーな自分」が出てきたときに読もうと思って、積んでおきます。

2012.10.17

本の紹介「プレゼンテーションZen 第2版」

プレゼンテーションZen 第2版
ガー・レイノルズ Garr Reynolds
ピアソン桐原

プレゼンテーションZEN」は、プレゼンテーションをする人マストリードの一冊で、以前、私のブログでも紹介させていただきました。

ガーレイノルズのプレゼンテーション本は、「プレゼンテーションZEN」の後、

の2冊が出版されています。今回、3年ぶりに、原典とも言える「プレゼンテーションZEN」が改訂され、第2版となりました。

見た目、255ページ→333ページにページ数が増え、価格も2300円から2600円に上昇しています。また、ガーレイノルズがこの本のエッセンスを語る、50分ほどのDVDがついているのが、大きな変更点です。

3割のページ数はどこに反映されているのかと言うこと、「第9章、聴衆と心を通い合わせる」が大幅に書き足されていることと、「第10章 聴衆をプレゼンテーションに引き込む」が新しく書き足されていることです。また、あらたに取り上げられているプレゼンターとしては、日本人から、千葉県の中学3年生、山本恭輔氏と、神戸大学の杉本真樹氏の2人が取り上げられているのが目立っています。

第1版を持っている人は、第2版を追加購入する必要はなさそうですが、まだ、「プレゼンテーションZEN」を読んでいない人は、絶対に読むことをおすすめします。

2012.08.23

積ん読本2012年8月

カラマーゾフの妹

著者:高野 史緒、出版社:講談社 (2012-08-02)

本年度江戸川乱歩賞受賞作

世界文学の最高峰として名高い『カラマーゾフの兄弟』には第二部があるはずでした。ドストエフスキーはその予告をしながら、ついに書き上げることなく世を去りました。大胆にも、その第二部を書いたのが、本書です。

やっぱり、『カラマーゾフの兄弟』を読んでいない私には、ミステリーとしての驚きが感じられませんでした(ちなみに、江戸川乱歩賞選者の一人の東野圭吾は、『カラマーゾフの兄弟』を読んでいないが、本作を受賞作に推薦しています)。というわけで、まずは『カラマーゾフの兄弟』を読まなきゃと買いましたが、5分冊なんですね。ちょっと、すぐには読み始められそうにもありません。


カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

著者:ドストエフスキー、出版社:光文社 (2006-09-07)

5分冊だし、登場人物がロシア人で名前が覚えにくいので、とりあえず、積ん読。


海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

著者:村上 春樹、出版社:新潮社 (2005-02-28)

夏っぽい村上春樹が読みたくて、買ってはみたものの、まだ、積ん読。


虚像の道化師 ガリレオ 7

著者:東野 圭吾、出版社:文藝春秋 (2012-08-10)

「ガリレオシリーズ」の最新短編集。10月にもう一冊短編集が出るので、また、ドラマで、ガリレオシリーズが再開するのですかね。


人間の建設 (新潮文庫)

著者:小林 秀雄、出版社:新潮社 (2010-02-26)

広田さんおすすめの一冊。小林秀雄と、数学者岡潔の対談というより雑談。初めのうちは、対話がちぐはぐでかみあっていませんが、途中から、岡先生が圧倒していきます。おもしろい。おすすめの一冊です。


主体性は教えられるか (筑摩選書)

著者:岩田 健太郎、出版社:筑摩書房 (2012-03-13)

おまえ読んでおけと、言われた気がするので、読みます。


学歴革命 秋田発 国際教養大学の挑戦

著者:中嶋 嶺雄、出版社:ベストセラーズ (2012-03-20)

最近、教養教育はどうあるべきかと考えているので、そのヒントになればと言うことで、注目されている秋田国際教養大学の本。この間、すぐ横をタクシーで通りましたが、本当に山の中にありました。


2012.07.23

積ん読本2012年7月

今月の積ん読本、ご紹介します。少数精鋭ですが、今月はかなりおすすめの本が多いです。

街場の文体論

著者:内田樹、出版社:ミシマ社 (2012-07-14)

内田先生の本、最近は、やや食傷気味で避けていたのですが、この本はおもしろかった。神戸女学院大学の最終講義「クリエイティブ・ライティング」を文章化した一冊。


仕事はどれも同じ 「今やっている仕事」を「やりたい仕事」にする方法

著者:フォルカー・キッツ、出版社:阪急コミュニケーションズ (2012-06-28)

この本については、時間ができたらきちんと紹介したいと思います。超おすすめの一冊。


新東京いい店やれる店

著者:ホイチョイ・プロダクションズ、出版社:小学館 (2012-07-10)

ホイチョイ・プロダクションズって、なつかしいなぁ。「見栄講座」は、バブル時代のマストアイテムでしたね。この本は、1994年に出版された第1弾の第2弾。

いや、この本、馬鹿にできない。東京にお住まいの方で、私と同姓代の方はかなり楽しめます。おすすめ。


小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ

著者:平川 克美、出版社:ミシマ社 (2012-01-20)

内田樹先生のお友達の平川 克美さんの本。「グローバルななことも大事だけど、ローカルなものも大切にしていきたい」という私の気持ちにとても響いた一冊。


インビジブルレイン (光文社文庫)

著者:誉田哲也、出版社:光文社 (2012-07-12)

夏休みは、本を読みまくろうと思って、いろいろ買い集めています。まずは、これを第一弾として読む予定。


2012.06.29

「新版 医師のためのモバイル仕事術: iPad/iPhoneを使い倒す!」発売されました

本日「医師のためのモバイル仕事術」の改訂版である「新版 医師のためのモバイル仕事術: iPad/iPhoneを使い倒す!」が発売となりました。

改訂版とは言っても、ほとんど書き直したまったく新しい本です。まぁ、私のコントリビューションは少ないですが。

アマゾンでは一時売り切れになっていますが、そのうち入ると思いますので、是非、ご購入を。

2012.06.22

積ん読本2012年6月

今月の積ん読本、ご紹介します。怒濤の講義ラッシュが終わったので、最近は、1日1冊ペースで本を読みまくっています。

楽園のカンヴァス

著者:原田 マハ、出版社:新潮社 (2012-01-20)

美術ミステリーとでもいうものか。読んでいると、ダヴィンチコードを彷彿する。文体にはややぎこちない部分はあるが、ミステリーとしてはなかなかおもしろい一冊でした。おすすめ。山本周五郎賞受賞し、2012年ナンバーワンとの呼び声も高いです。


媚びない人生

著者:ジョン・キム、出版社:ダイヤモンド社 (2012-05-25)

慶應SFCのゼミ生の卒業へのはなむけの言葉「キムゼミ最終講義 贈る言葉」をまとめたものです。


ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)

著者:北川 智子、出版社:新潮社 (2012-05-17)

アメリカで日本人が日本史の研究をすることの意義というのが私にはよくわからないのですが、ここまで言われるといったいどんな授業なのか聞いてみたくなりました。


驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

著者:六車 由実、出版社:医学書院 (2012-03-07)

最近、医学書院の編集者、白石正明氏(@shiraishimas)の本は飛び抜けて質が高いです。『逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズケアをひらく)』『リハビリの夜 (シリーズケアをひらく)』いずれも名著です。この本も含めて、もっと多くの方に読んでもらえたらと思います。


理科系の作文技術 (中公新書 (624))

著者:木下 是雄、出版社:中央公論新社 (1981-01)

1981年出版のロングセラー。調査報告、出張報告、技術報告、研究計画の申請書などといった文章を理系の人間もかかなければいけないのですが、デコレーションを廃し、必要な情報に絞り込み、論理的に記述する方法を解説しています。

大学院生を指導するような教員は一読をおすすめします。


歪笑小説 (集英社文庫)

著者:東野 圭吾、出版社:集英社 (2012-01-20)

札幌出張の際に暇つぶしで買った本。一つ一つの短編は、小ネタ過ぎて、読むのがだんだんいやになってきたのですが、半分を超えてから、短編が複合的につながっているのがわかってきて、どんどんおもしろくなりました。


医者が大学を辞めるとき

著者:小鷹昌明、出版社:中外医学社 (2012-06)

医者になってどうする!』を書かれた小鷹先生は、2012年に大学をやめて、南相馬市民病院で働き始められました。そのときの、思いを綴った本です。


2012.06.13

「新版 医師のためのモバイル仕事術: iPad/iPhoneを使い倒す!」まもなく発売です

3月から、必死になって、「医師のためのモバイル仕事術」の改訂作業をやっています。というか、私のパートは随分少ないので、私と言うより共著者の讃岐先生や編集社の方がやって下さっています。

6月29日発売予定で、すでに、Amazonでも予約を受け付けていて、これで、WWDC2012でiPhone5やiPad4が出ちゃったら、いったいどうなるのか、勝手にハラハラしていたわけですが、無事、WWDC2012を乗り越えられ、なんとか発売にこぎ着けられそうです。

私のパートで、「海外でiPhoneを使う」というのがあって、かなり気合いを入れて、書いたつもりだったのですが、最近、ソフトバンクから、「海外パケットし放題」なるアプリが出ていることを知って、徒労感たっぷりになっています。でも、私の説明をよく読んで、このアプリを使えば、間違いありません!っと、声を大にして言いたいです。

そろそろ、案内しても良さそうなので、「新版 医師のためのモバイル仕事術: iPad/iPhoneを使い倒す!」絶賛予約受付中です。

2012.06.09

医学部受験本を読みあさりました

医学部を目指す高校生達が、どのように医学部をとらえているのかを知りたくて、医学部受験本を読み漁ってみました。

はじめの2冊は、実際の医師が医学部を受験したいと思う学生に対して、医師になると言うことはどうなのかを解説した本で、どちらかというと、現在の「成績がよいから医学部を目指す」という状況に警鐘を鳴らしている本です。あとの2冊は、朝日新聞と旺文社が、医学部受験生に、医学部で学ぶこと、医学部を卒業した後のキャリアについて客観的な情報を与える本になっています。普通、後者の2冊のどちらかを買うのでしょうが、医学部を受けたいと思う人は、早い時期に前者2冊のどちらかを読んで欲しいと思います。

医学部を受験する前に読む本

著者:早川 豊、出版社:中外医学社 (2003-09)

この本は、1992年に出版されて、2003年までに、6回の改訂を経ています。その当時、本当に正直な、医学部を目指す人向けの唯一の本でした。医学部を受験したいという人みんなに読むことを薦めていました。

10年ぶりくらいに読んでみましたが、その頃と今では、まったく、医学部卒業生のキャリアについては社会情勢が変わっています。臨床研修制度の必修化、医学部定員の大幅増員、専門医制度が確立、ジェネラリストに対する見方が大きく変わったこと。だから、この本を鵜呑みにできないのですが、社会情勢が変わっても、根っこの本質的な部分は十分通用するように思います。早川豊氏というのはペンネームで、昭和30年生まれの医師の方のようです。


医者になってどうする!

著者:小鷹昌明、出版社:中外医学社 (2009-08)

今、医学部を目指す高校生に勧めるとしたら、この本です。タイトルからしてもわかるように、医師になってもいいことばかりでないことがはっきりと書いてあります。それでも医学部を目指す高校生に熱いエールを送っています。小鷹 昌明氏は獨協大学の神経内科に勤務されていましたが、2012年4月に、一念発起され、南相馬市立病院に移られています。


医学部に入る 2012 (週刊朝日MOOK)

朝日新聞出版、2011-09-03

医学部受験MOOKとして正当派の一冊。医学生や医師の紹介、インタビュー記事も多く、値段も安いです。でも、きわめて表層をながめているような感じがしてなりません。


医学部受験の総合的研究

著者:岩嶋 宏恭、出版社:旺文社 (2008-05)

旺文社らしい、医学部の現状、医学部卒業後のキャリアの現状を丹念に詳細に書いています。後半1/4は医学部受験対策です。2008年なので、ちょっと古くなっているので、改訂が望まれますが、ほとんどの部分は今でも通用すると思う。


2012.06.04

本の紹介『名作マンガで精神医学』

名作マンガで精神医学

著者:林 公一、出版社:中外医学社 (2012-05-25)

名作マンガを通して、「統合失調症」「うつ病」「高次脳機能障害」「パーソナリティ障害」について精神医学的な解説を加えるという内容。

各章の中心となるのは、
一章 統合失調症─『わが家の母はビョーキです』 (中村ユキ)
二章 うつ病─『ツレがうつになりまして。』 (細川貂々)
三章 高次脳機能障害─『日々コウジ中』 (柴本 礼)
四章 パーソナリティ障害─『ブラックジャックによろしく』 (佐藤秀峰)

監修者の村松先生の前書きにもあるように、

“臨床医学を学ぶ時、最も有用な資料は実例のケースレポートであるが、現代では個人情報の問題等のため、実例の発表は学会でもかなりの制約がかかるようになっている。そんな状況下にあって、『わが家の母はビョーキです』『ツレがうつになりまして。』『日々コウジ中』は、医学文献としてもきわめて貴重なものである。”


2012.05.18

積ん読本2012年5月

久方ぶりに、積ん読本紹介します。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

著者:東野 圭吾、出版社:角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-03-28)

東野圭吾にしては、異色の作品。ミステリーではなく、ファンタジーで泣かせるような作品。それでも、やはり一定水準を超えているのだから、東野圭吾はすごい。


舟を編む

著者:三浦 しをん、出版社:光文社 (2011-09-17)

本屋大賞第一位になったので、どこの本屋にも一番目立つところに積んでありますね。辞書編纂という特殊な仕事の話ですが、三浦しをんらしい、軽やかな文章です。


母の遺産―新聞小説

著者:水村 美苗、出版社:中央公論新社 (2012-03)

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』で評判になった、水村美苗氏の最新作。こちらも、かなり評判になっている小説です。かなり本格的なので、読み始めるのはもう少し先かな。


ピーコ伝 (文春文庫PLUS)

著者:ピーコ、出版社:文藝春秋 (2003-09)

古本屋で手にとって、引き込まれるようにして立ち読みしていて、半分くらいまで読んでしまいました。申し訳ないので、購入して、家で残り半分を読みました。


オリンパスOM-D E-M5オーナーズBOOK (Motor Magazine Mook カメラマンシリーズ)

モーターマガジン社、2012-04-27

OM-Dはかなり気に入っている、現在メインのカメラなのですが、オリンパスの操作系に慣れていないので、買ってみました。


毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

著者:北原 みのり、出版社:朝日新聞出版 (2012-04-27)

2009年に首都圏で起きた連続不審死などに関わったとして、10件の罪で起訴された木嶋佳苗被告の裁判傍聴記。読み始めたら、読みふけってしまう可能性が高いので、積んであります。


ナラエビ医療学講座―物語と科学の統合を目指して

著者:斎藤 清二、出版社:北大路書房 (2011-04)

表紙にだまされてはいけません。読みやすさにもだまされてはいけません。とても勉強になりました。エビデンス・ベイスト・メディスン(EBM:科学的根拠に基づく医療)とナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM:物語と対話に基づく医療)を共に大切にする医療の在り方について書かれた本です。


2012.04.03

本の紹介『研究留学術(第2版)』

私の処女作にして、最も売れた本、『研究留学術』が、10年目にして『研究留学術 第2版』として、改訂されました。

『研究留学術』のほとんどの情報は、インターネット上に公開しているにもかかわらず、堅実に売れ続け、出版社から改訂を勧められていました。しかし、この本は、私自身の研究体験談を元にしているので、改訂するためには、私がもう一度留学して、最新情報を元に書き直す必要があります。そんなことはできないので、重版のたびに細々とビザ情報などを最新のものにしていたのですが、さすがに、10年ですので、絶版にするのは惜しいと思って、どうすればよいかと考えていました。

その中で、思いついたのが、10年間を経て、留学についての対談をおこない、それを追加収載するというものでした。その企画におつきあいいただいて、2011年夏に、島岡先生、広田先生と京都で鼎談をおこないました。この鼎談は実に率直で愉快な内容ですので、これだけ読んでいただいても大変面白い内容になっています。

30ページ増えているにもかかわらず、価格も据え置きにして下さいました。すでにお持ちの人が買う内容かと言えば、そこまでの内容ではないかもしれませんが、是非とも、後輩を留学させる際に購入をすすめて、貸してもらって、鼎談の内容をお読み下さい。

もともとこの本は、私一人の留学体験だけでなく、様々な道を進んだ10人の留学体験記も掲載しています。そして、今回、10年間を振り返る鼎談を付け加えたことによって、横方向だけでなく、時間軸方向にも広がりが出て、研究留学を様々な角度から考えられる一冊になったと自負しています。

今後とも、どうぞ、よろしくお願いします。購入はアマゾンでどうぞ。

PS. 現在、アマゾンでのタイトルが、『研究留学術(第2版)–研究者のためのアメリカ研究ガイド』と間違っています。そのうち、直してくれると思います。

2012.03.19

積ん読本2012年3月

最近、本の紹介が少ない、と、各所からおしかりを受け、紹介すべき本がだいぶたまっているのですが、少々事情があって、本の紹介が出来ずにいました。

このサイトで本の紹介をする際には、書影をAmazonからいただいたり、Amazonのリンクを作ったり、著者名や、出版社を拾ってきたりと結構面倒くさいのですね。そのため、Amazonのページで紹介したい本のページで、Bookmarkletを実行すると、下のようなHTMLタグをはき出すようなプログラムを作って利用していました。パブリックなサービスだと、Amazletとかありますが、カスタマイズできないし、ロゴが入ったりするので、頑張って、PerlやXLSTのプログラムを自作していたのです。

われながら、便利なプログラムで、愛用していたのですが、2月末くらいからこのプログラムが動かなくなってしまって、大変困っていました。今日、半日がかりで、ようやく修正が出来ました。

こういう時は、だいたい原因は簡単なわけで、Amazon Producting APIのバージョンの2009-07-01版が期限切れになっていて、2011-08-01版に指定し直さなければいけないというものでした。特に、XLSTファイルのヘッダー部分を直さなければならないのに、Amazon側でキャッシュされていて、なかなか変更が反映されないことに気づかず、4時間くらい、あーでもない、こーでもないと時間をつぶしてしまいました。シアトルにいるときは、日本に帰ったら、サンデープログラマーになりたいとか、思っていましたが、とても、そんな時間はないですね。プログラミングスキルが落ちているのに、こんなサイトを自前で維持していくのは段々つらくなってきました。

ということで、だいぶ、話はそれましたが、積ん読本と読了本の紹介です

東大医学部 - 医者はこうして作られる

著者:安川 佳美、出版社:中央公論新社 (2012-01-24)

この本は、医学部で教育に携わるものとして、大変、興味深く読ませていただきました。


二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

著者:デイヴィッド・ゴードン、出版社:早川書房 (2011-03-10)

もともと、海外ミステリは苦手なのですが、あちこちで最優秀賞を取っているので読んでみました。通常、50ページを過ぎた頃から、引き込まれるように読むのですが、この本は、150ページを過ぎても、まだ引き込まれません。この後に、期待しています。


ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

著者:レイモンド・チャンドラー、出版社:早川書房 (2010-09-09)

村上春樹が『ロング・グッドバイ』は、特別な一冊だと言っていたのがよくわかりました。ミステリー、ハードボイルドとして、最高の一冊です。

最近は、新しく出たミステリーを読むより、名著と誉れ高いミステリーを読むようにしています。どうせ、人生で読める本の数などたかがしれているのですから、ハズレをひいたらもったいないですもんね。


国際論文English査読・執筆ハンドブック

著者:C.S. Langham、出版社:医歯薬出版 (2011-09)

最近、査読の時の文章があまりに画一的になってしまうので、少し、幅を広げようと思って買ってみました。査読用の英文って、世の中に出回っていないので、貴重です。


医師のためのパフォーマンス学入門 ―患者の信頼を得るコミュニケーションの極意―

著者:佐藤綾子、出版社:日経BP社 (2011-12-15)

仕事上、必要かと思って。


ナラティブ・メディスン―物語能力が医療を変える

著者:Rita Charon、出版社:医学書院 (2011-08-24)

興味深いのですが、しばらく積ん読状態になっています。


必ずできる!iPadプレゼンテーション

著者:松茂 幹、出版社:日経BP社 (2011-03-24)

「モバイル仕事術」の改訂作業に、大いに参考にさせていただきました。ただし、この本が出てから、かなり、iPadの仕組みが進化しています。


男の隠れ家 2012年 04月号 [雑誌]

朝日新聞出版、2012-02-27

自分の机の上に積んどいたら、息子が興味深そうに手に取っていて、びっくりしました。本好きにはたまらない、一冊です。


シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)

著者:グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ、出版社:新潮社 (2011-10-28)

「徹夜必至の一冊」ということで、みんなが勧めるので、一応、買っておきました。上中下、三冊なので、これを読むのは夏休みですね。


理系のためのクラウド知的生産術 (ブルーバックス)

著者:堀 正岳、出版社:講談社 (2012-01-20)

堀さんの本は、かなり信用しています。ブルーバックスと言うことで、かなり手頃で、おすすめです。


ヤクザと原発 福島第一潜入記

著者:鈴木 智彦、出版社:文藝春秋 (2011-12-15)

暴力団専門ライターの方が、原発作業員に潜り込んで書いたノンフィクションです。


あんぽん 孫正義伝

著者:佐野 眞一、出版社:小学館 (2012-01-10)

佐野さんが書くと、ノンフィクションぽくなって、良い感じです。


全国 城攻め手帖

著者:風来堂、出版社:メディアファクトリー (2012-01-20)

この本、相当マニアな本ですが、城に不案内な私にも面白いです。この本片手に、全国の城めぐりをしてみたい。


飼い喰い――三匹の豚とわたし

著者:内澤 旬子、出版社:岩波書店 (2012-02-23)

名著『世界屠畜紀行』の続編的な本です。


2011.12.22

積ん読本2011年12月

年内に、単著にメドを付けたいと思って、そっちに気持ちがいってしまって、なかなか本が読めません。週3冊くらいは買っているので、どんどん積まれていっています。

アメリカ出張の際に読んだ、ミレニアム1とマネーボールは面白かったですね。

というわけで、積ん読本と読了本の紹介です

「YUIGON ~もはや最期だ。すべてを明かそう。」

著者:浜田 幸一、出版社:ポプラ社 (2011-05-20)、ASIN:4591124460【amazon.co.jp

小説より、きっとおもしろいに違いないと思って買いました。


「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」

著者:ダニエル・ピンク、出版社:講談社 (2010-07-07)、ASIN:4062144492【amazon.co.jp

各所で話題になっている本ですが、この手の本は積み続けられる可能性が高いんだよな。


「物語論 (講談社現代新書)」

著者:木村 俊介、出版社:講談社 (2011-11-18)、ASIN:4062881292【amazon.co.jp

僕は、木村俊介さんのインタビューがとても好きです。これだけ若くて、上手はインタビュー記事が書ける人はなかなかいないです。私は、生まれ変わったら、インタビュワーか編集者になりたいと思っているのです。


「iPhone習慣術」

著者:堀 正岳、出版社:インプレスジャパン (2011-12-09)、ASIN:4844331175【amazon.co.jp

ただのiPhoneの使い方の本ではなく、iPhoneを使ったLifehack本です。


「Facebook HACKS!~仕事、生活、人生までもが一変する実践テクニック~」

著者:小山龍介、出版社:日経BP社 (2011-10-13)、ASIN:4822248720【amazon.co.jp

Facebookは、いまだに、よく使い方がわからないので、1冊くらい読んでみようと思って、本屋で見つけた本。


「医学部受験の闇とカネ (経営者新書)」

著者:長澤潔志、出版社:幻冬舎 (2011-11-28)、ASIN:434499812X【amazon.co.jp

医学部受験の歪んだ実態を赤裸々に暴くとは、言っても、たいしたことがなかった。


「「やめること」からはじめなさい (星海社新書)」

著者:千田 琢哉、出版社:講談社 (2011-11-25)、ASIN:4061385070【amazon.co.jp

いろんな本の焼き直しみたいな本で、本屋で間違って買ってしまった。


「スティーブ・ジョブズは何を遺したのか (日経BPパソコンベストムック)」

日経BP社、2011-11-26、ASIN:4822268705【amazon.co.jp

「Steve Jobs」があまりにビジュアルが少ないので、その補足として買いました。


「旅カメラPENとノスタルジック写真 ~フォトグラファーが教えるアートフィルター撮影テクニック (Books for Art and Photography)」

著者:山崎 麻里子、出版社:技術評論社 (2011-11-30)、ASIN:4774149381【amazon.co.jp

PENのアートフィルターは本当におもしろくて、ついつい使ってしまう。でも、これ使っていると写真の腕が上がらないんだろうなという罪悪感がいつもつきまとう。


「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」

著者:東 浩紀、出版社:講談社 (2011-11-22)、ASIN:4062173980【amazon.co.jp

小難しい本みたいだけど、是非とも読んでみたい。


「マネー・ボール (RHブックス・プラス)」

著者:マイケル・ルイス、出版社:武田ランダムハウスジャパン (2006-03-02)、ASIN:4270100281【amazon.co.jp

映画を見ようと思って、その前に読みました。マネーボールが、アスレチックスのサイバーメトリクスを使った、チーム強化法の話だということは知っていました。でも、それが、映画になるのかなと思っていましたが、ちゃんとドラマになっていましたね。面白い小説でした。


「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)」

著者:スティーグ・ラーソン、出版社:早川書房 (2011-09-08)、ASIN:4151792511【amazon.co.jp

「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)」

著者:スティーグ・ラーソン、出版社:早川書房 (2011-09-08)、ASIN:415179252X【amazon.co.jp

海外のサスペンスは苦手。その理由は登場人物の名前が覚えられないから。しかも、この小説は、スウェーデンが舞台で、登場人物の名前が、スウェーデン語で、さらに読みにくい、、、。(登場人物一覧が、すごく役立ちます)

しかし、その欠点を補ってあまりあるくらい、面白かった。本当は、10まで構想が出来ていたけれど、3を書き終えた時点で作者は急逝してしまったとのこと。

残りの2と3は大切に読もう。


「うほほいシネクラブ (文春新書)」

著者:内田 樹、出版社:文藝春秋 (2011-10-19)、ASIN:4166608266【amazon.co.jp

内田樹先生の映画評を集めたもの。正月に映画を借りてくるときの参考にしようと思って。


「統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる (光文社新書)」

著者:高橋洋一、出版社:光文社 (2011-10-18)、ASIN:4334036457【amazon.co.jp

高橋先生の辛口は好きなんです。


「本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書)」

著者:宮崎 駿、出版社:岩波書店 (2011-10-21)、ASIN:4004313325【amazon.co.jp

以前、こちらでも紹介した、宮崎駿氏が岩波少年文庫から50冊を選び、コメントを付けたのが、前半部。後半は、震災前後のエッセイを収めています。


2011.12.21

本の紹介「トラオ 徳田虎雄 不随の病院王」

「トラオ 徳田虎雄 不随の病院王」

著者:青木 理、出版社:小学館 (2011-11-30)、ASIN:4093798281【amazon.co.jp

「なんで、医者になりたいと思ったのですか?」よく聞かれますが、小学生くらいの時から、そうなると思っていて、なぜ、なりたいのかということは考えたこともありませんでした。でも、小学生の時に、「人体の不思議」みたいな本を読みあさっていたから、とにかく、人体のしくみや、病気のしくみ、そういうものを知りたいというのがあったのかもしれません。

中学生の時に読んだ本で、1つとても印象に残っている本があります。それが、徳田虎雄氏が書いた「生命だけは平等だ」という本です。ただ、ただ、圧倒されました。でも、心酔しなかったのは、どこか、キワモノのような印象を感じ取ったからかもしれません。

徳田虎雄氏は、皆さんご存じのように、徳州会グループを一代で作り上げた病院王であり、また、一方で、衆議院議員でもあった方です。徳之島の選挙活動のすごさも、よくメディアで報道されていました。

彼は、10年前にALSを患い、政界を引退しましたが、今でも、呼吸器を付けながらも、湘南鎌倉病院の特別室から、徳州会グループを動かしています。本書は、本人へのインタビューをはじめ、関係者への取材を元に構成した、徳田虎雄の半生記。

帯の「ぎょろり、ぎょろり」というのと、表紙の写真が写真が印象的。おもしろくてあっというまに読み切りました。


2011.12.01

本の紹介「日本人研究者のための絶対できる英語プレゼンテーション」

「日本人研究者のための絶対できる英語プレゼンテーション」

著者:Philip Hawke、出版社:羊土社 (2011-11)、ASIN:4758108420【amazon.co.jp】【目次

タイトルの通り、日本人研究者が英語プレゼンテーションができるようになるための指南書。英語だけの問題ではなく、スライドの作り方、言語コミュニケーション、非言語コミュニケーションまで網羅しています。若手日本人研究者の発表をネタに、解説を進めています。

たくさんの文例が載っているわけではなく、本当に、この一冊で「絶対できる」ようになるわけではありません。ただ、できるようになるための、インターネットサイトやPodcastの紹介などもしており、親切な本です。どちらかというと、実は、指導者向けに最適な本なのではないかと思いました。この本には、英語プレゼンテーションをおこなう際の詳細なチェックリスト(100を越える)が冒頭に載せてあり、それに沿って解説が進んでいます。このチェックリストを元にしながら、指導するのは、とても有効だと思いました。

発音の部分にもかなりのページを割いていますが、やはり、Nativeにチェックしてもらわないとダメなんだろうと思いました。

原稿を読むべきかどうかについては、この本では、スクリプト(原稿)を暗記して、本番では、それを見ないで発表することを勧めています。そう言う経験を何回か経験すれば、だいぶ、慣れてくるのではないかということでした。

意外に感心したのは、次の2点。

英語でのプレゼンテーションでは、できるかぎり、会話調の英語をつかうべきだということ。具体的には、フォーマルに聞こえるラテン語系の動詞を避けて、ゲルマン語系の動詞を使う。受動態ではなく能動態を使う。抽象的な概念を示す名詞(たとえば、depletion)は、同等の動詞(we depleted)に置き換える。といった具合です。

レーザーポインターはうまく使えない人が多い(グルグル回して、見づらい)ので、レーザーポインターが必要なくてもすむようなアニメーションを使うのが効果的と主張しています。確かに、それはそうかもしれません。あと、最近は、スクリーンではなく、液晶ディスプレイが導入されている会場ってありますよね。あれ、実は、レーザーがすごい見づらいのです。私も前回の市民講座は立派なホールだったのですが、液晶ディスプレイだったので、レーザーがまったく映らず、指で指したりして苦労してやりました。そう言うこともあるって事は知っておいた方がいいですね。

ということで、研究室に1冊あるとよい良書です。


2011.11.09

「スティーブ・ジョブズ」本の賛否両論

発売初日、下巻「スティーブ・ジョブズ II」は本屋に山積みになっていたのにがbk1からなかなか届かず、我慢が出来ず本屋で買ってしまったら、翌日、bk1から届いて、2冊持ち状態に。→欲しい人、あげますよ。ただし、取りに来てくれる方。

下巻「スティーブ・ジョブズ II」も2日ほどで一気に読んでしまいました。

率直な感想として、私は面白かったです。下巻の内容は、リアルタイムで知っていたことがほとんどでしたが、それでも、こうやって、Steve Jobsの人生をクロニカルに振り返ることが出来て幸せでした。Steve Jobsが、そんなに天才でもないこと、人柄がいいわけではない(というか、かなり悪い)ことも知っていました。でも、それを、暴露本のようにセンセーショナルに書くのではなく、多くの関係者の取材を通して、客観的に伝えていること、作者に敬意を表します。いずれにしても、波瀾万丈なSteve Jobsの一生を、亡くなられてから、わずか1ヶ月というタイミングで振り返られたことがよかったです。

ここに来て、いろんなところから、「スティーブ・ジョブズ I」「スティーブ・ジョブズ II」の書評が出てきました。一つは、池谷裕二さんが読売新聞に書いた書評です。まぁ、無難な書評であり、好意的な書評です。

一方、朝日新聞の山形浩生氏の書評は、そうとう辛口。にもかかわらず、朝日新聞は書評タイトルを「「天才」の生と死いちはやく活写」としている。そんなことはどうでもよいのですが、山形浩生氏の主張は、本書には目新しいことがまったくなく、無理矢理新規性を出そうとして、些末なエピソードを詰め込んだせいで、ムダに分厚いという指摘です。彼が古参のパソコンマニアで、彼には、アップル草創期からのジョブスの活動はリアルタイムで知っていると言うことなのでしょう。

池谷さんのつぶやきによると、「実は、山形さんのコメントのほうが、私の実感に近いのですが、」とのこと。えっ、と思いましたよ。正反対じゃん。まぁ、大新聞の書評だから、思ったようには書けないのかもしれないのですが。

2011.11.01

本の紹介「スティーブ・ジョブズ I」

今どの本屋でも大量山積みの本です。スティーブ・ジョブズ本は、過去にもたくさん出されていますが、どの視点から書くかで、まったく異なる本になってしまう。それくらい、スティーブ・ジョブズの人生が波乱に満ちていて、気性も激しかったと言うことでしょう。近年は、iPhoneのヒットや、プレゼンテーションのうまさから、ポジティブに評価している人が多いですが、暗黒の時代のアップルを知っている立場からすると、決してよいところばかりではありません。

本書「スティーブ・ジョブズ I」は、スティーブ・ジョブズ本人が、取材をOKし、自伝として公認した唯一の本です。というか、むしろ、死期を予感し、子供の達に自分がどんな人生を送ってきたか、正確に書いて欲しいと、アメリカ を代表する伝記作家ウォルター・アイザクソンに依頼したと言われています。書いた内容について、一切文句を言わないから書いて欲しいと。

伝記作家ウォルター・アイザクソンらしく、非常に緻密で第三者の立場をかたくなに守っているというのが本書の特徴とも言えます。本書を読むと、傍若無人なスティーブ・ジョブズに驚くかもしれません。

上巻では、スティーブ・ジョブズがアップルを追い出されて、NeXTと立ち上げ、ピクサーを買い取った当たりまでを描いています。私が、Macに触れ始めたのは、20年前ですから、ちょうど、上巻の内容は、私がMacに触れ始める前のところまでになります。

写真がふんだんに掲載されているわけでもありません。是非とも、ネットでApple IIやMacintoshの写真を探して、それを見ながら、読んだらいいと思います。また、1984年のMacintoshの発表会がどれだけ熱狂的だったのか、、Youtubeの動画を見ながら読めば、楽しいと思います。伝説の1984のコマーシャルも、現物を見た方がよいです。たくさんの登場人物がいますが、それをWikipediaで追っかけてもおもしろい。

この本は、スティーブ・ジョブズ正史とも言えるものです。淡々として、客観的な視点の本ですが、それでも、スティーブ・ジョブズの人生があまりに波瀾万丈なので、面白すぎます。

明日は、ちょうど、下巻「スティーブ・ジョブズ II」が届きます。楽しみ。

2011.10.29

「レジデントのための血液透析患者マネジメント」増刷

レジデントのための血液透析患者マネジメント」の増刷が決まったとのうれしいお知らせ。増刷というのは、初刷りで印刷した部数が完売しそうなので、追加で印刷すると言うこと。

皆さんもご存じのように、日本には、再販制度というのがあって、本は発売されると、とりあえず、いろいろな書店に並ぶことになりますが、6ヶ月後に売れなければ、出版社に返本してもいいというルールになっています。したがって、正確な売り上げ数というのは、出版社でも半年以降にならないと把握ができません。書店からの追加注文や、医学書書店からの反応を見て、売れ行きが良好だという判断なのでしょう。

特に、初版→二刷りというのは、出版社にとっても、著者にとっても大きな意味があります。一般的に、初刷りを売りきれるかどうかが、出版社にとっての損益分岐点だと言われています。したがって、初刷りが売りさばけないとなると、出版社は赤字。二刷り以降に進めば、出版社に利益が入ると言うことになります。今回は、企画を自分で持ち込んだものですから、なんとしても、初版は売り切りたいと思っていたので、とりあえず、義理は果たせたとホッとしています。

構想8年、執筆1年の本ですから、定期的に改訂もおこなって、長く読み続けられる本になってくれるといいなと思っています。

川崎医科大学の柏原教授、東海大学の深川教授、中部労災病院の藤田先生から、あたたかい書評をいただくことが出来ました。ありがとうございました。

2011.10.21

「13階段」と「果つる底なき」

さっそく、「13階段」を手に入れて、読み始めたのですが、なにか、違和感が、、、、。結末が予想できる。デジャヴ感が、、、。読み進めるうちに、この本読んだことがある!と気がつきました。こういうことよくあるんですよね。特に、東野圭吾の本で頻発します。

ということで、池井戸潤氏の本を選ぶことに。同じサラリーマン小説系は避けたかったので、江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作「果つる底なき」を選びました。ストーリーのテンポの良さとかから、きっと、この方は、放送作家出身なのかなと思ったら、もともとは、銀行マンで、その後、企業コンサルタントをやりながら、ビジネス書を書いていた人なのだそうです。そして、1ヶ月で、初めて小説にチャレンジしたのがこの作品とのこと。「1ヶ月しか時間は取れないから、取材する時間もない。そのために銀行員時代に体験した債権回収の出来事がそのまま題材となって出てきます」と、池井戸潤氏が自作を語っているBOOK asahi.comの記事、に書かれていました。とてもテンポがよく、最後までじっくり読ませるハードボイルド的な推理小説でした。

2011.10.15

「下町ロケット」と「ジェノサイド」

先日の積ん読本でも紹介しましたが、「下町ロケット」と「ジェノサイド」両方ともなかなか面白かったです。もちろん、両方とも予定調和的な結末を迎えますので、その辺を、なだかなぁと思い始めてしまえば、底の浅さが見えてしまいますが、エンターテイメントとしてはどちらもよくできた本だと思います。

両者に共通しているのは、理系的な専門知識が満載な事、男中心のストーリー展開と言うことでしょうか。

どちらがおすすめかと言えば、「ジェノサイド」です。スケールが大きく、展開が早く、みるみるはまっていきますね。薬学、医学、生物学の知識が結構出てきますが、実現可能かどうかは別にして、かなり、いい線を行っているように思います。SFですから、もちろん、現実的に可能なストーリーではないですが。イメージは、「ジュラシックパーク」とか「パラサイトイブ」を読んだときに似ています。高野和明さんというのは、特に、生物学を学んだこともないようですから、それで、ここまで書ききるのは見事です。ただ、半分は、戦争物ですから、好き嫌いは分かれると思います。私は、久しぶりにむさぼるようにして、一日で読み切ってしまいました。そのくらい、「はまる」本だと思います。

秋の夜長にどうぞ。

PS. 高野和明氏は私の中学高校の1年先輩でした。江戸川乱歩賞を取られた「13階段」も読んでみよう。

2011.10.11

積ん読本2011年10月

8月のウィーン旅行を終えてしまったら、すっかり、読書とは縁遠くなってしまいました。原稿とかがたまっているから、電車の中や寝る前の時間も、それらのことが気になって、あえて、本を遠ざけていました。

では、その結果、仕事が進んでいるかというと、NOでありまして、せめて、1日のうち、一定の時間は本を読んでいた方がいいと思うようになって、この週末で、「下町ロケット」を読みました。

というわけで、積ん読本と読了本の紹介です

「下町ロケット」

著者:池井戸 潤、出版社:小学館 (2010-11-24)、ASIN:4093862923【amazon.co.jp

第145回直木賞受賞作。男っぽいというか、サラリーマン小説である。すかっとするストーリーであるが、すべて予定調和と言われてしまえば、その通り。いかにも、ドラマ向きの小説です。


「ジェノサイド」

著者:高野 和明、出版社:角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-03-30)、ASIN:4048741837【amazon.co.jp

「下町ロケット」の次は、この本と思っています。


「スミスの本棚 私の人生を変えたこの一冊」

著者:テレビ東京報道局ワールドビジネスサテライト、出版社:日経BP社 (2011-09-22)、ASIN:4822248682【amazon.co.jp

第一線で活躍する経営者、文化人、俳優、作家はどんな本を読んでいるのか?42人の座右の書を紹介する1冊。こういう本、ついつい読んでしまって、ますます、積ん読本が増えてしまうのです。


「明暗 (新潮文庫)」

著者:夏目 漱石、出版社:新潮社 (2010-01)、ASIN:4101010196【amazon.co.jp

本当は、ウィーンの出張の際に読みたかったのですが、手を付けられませんでした。次の海外出張で是非。


「続 明暗 (ちくま文庫)」

著者:水村 美苗、出版社:筑摩書房 (2009-06-10)、ASIN:4480426094【amazon.co.jp

ご存じのように、夏目漱石の「明暗」は、夏目漱石の死によって、途中で終わっているのですが、その続きを書いたという本。たいてい、こういうものは、駄作が多いのですが、この本は、結構、評判がいいので、「明暗」と一緒に、次の海外出張で。


「日の名残り (ハヤカワepi文庫)」

著者:カズオ イシグロ、出版社:早川書房 (2001-05)、ASIN:4151200037【amazon.co.jp

「私を離さないで」がよかったので、カズオイシグロで次に手を出すとしたら、これですね。


「トム・ソーヤーの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)」

著者:マーク トウェイン、出版社:角川書店 (2005-01)、ASIN:4042142079【amazon.co.jp

マークトウェインの言葉がとても好きだから、子供の頃に戻って、もう一度、読み直したいと思っています。


「暴力団 (新潮新書)」

著者:溝口敦、出版社:新潮社 (2011-09-16)、ASIN:4106104342【amazon.co.jp

今、話題になっている本。見知らぬ世界の基礎知識が得られて、なかなか、よかったです。


「スティーブ・ジョブズ I」

著者:ウォルター・アイザクソン、出版社:講談社 (2011-10-25)、ASIN:4062171260【amazon.co.jp

スティーブジョブス本は、過去に何冊か出されていますが、唯一、本人が取材をOKして、自伝として公認した本。スティーブジョブスの死によって、発刊が1ヶ月早まりました。ベストセラー必至の本です。


「スティーブ・ジョブズ II」

著者:ウォルター・アイザクソン、出版社:講談社 (2011-11-02)、ASIN:4062171279【amazon.co.jp

下巻の方も発刊が早まったようです。


2011.08.19

本の紹介「科研費獲得の方法とコツ 改訂第2版」

「科研費獲得の方法とコツ 改訂第2版」

著者:児島将康、出版社:羊土社 (2011-08-10)、ASIN:4758120269【amazon.co.jp

去年、初版が出たときにも、こちらで紹介したら、すごい反響があって、ものすごく売れた本です。おそらく、昨年の羊土社のベストセラーなのではないでしょうか。

こういう本は、毎年、科研費のポリシーが変わると使い物にならなくなっちゃうなと思いましたが、児島先生、ちゃんと、最新のデータに基づいて、平成23年度版をきちんと作られました。ちゃんと、科研費シーズン前に出すのですから、羊土社も気合いが入っています。

第2章と、第3章は第1版とまったく変わっていません。大きく変わったのは、第1章です。すでに、第1版をお持ちの方は、買い換える必要はないと思いますが、今年初めて、科研費を申請する方、今まで科研費に通ったことがないという方には、マストバイな一冊と思います。

前書きに、「こんな本を書いている自分自身が科研費通らないわけにはいかないと、去年の科研費申請には相当プレッシャーがかかった」と告白されています。児島先生ご自身の実物の申請書や、落ちた方の実例、通った方の実例などがあり、とても誠実に書かれた本です。

私も、今年は、科研費申請しなきゃいけない年なので頑張ります。


2011.08.05

腎臓内科学の勉強

教育部門に移って、なかなか、じっくり腎臓内科学の勉強をする機会が減ってしまいそうだったので、週に一回、卒後5-8年目の若手有志と一緒に、1時間の勉強会を2年前からやっています。

自分一人だとなかなか読めないような重たい本を教科書にしていて、これまでに、以下の3冊を読みました。

臨床透析ハンドブック第4版

より理解を深める!体液電解質異常と輸液 3版

腎生検病理アトラス

どの本も、腎臓内科医であれば、一度は読んでおくべきと思うような良書でした。そして、次の教科書。最近出版された、次の本にしました。

シュライアー腎臓病と病態生理

かなり分厚く、読みでがある本です。半年くらいかけて、じっくり勉強したいと思います。

2011.08.01

本の紹介「Amazonランキングの謎を解く」

私の書いた本「レジデントのための血液透析患者マネジメント」は、なかなかAmazonに入荷せず、一瞬15冊入荷されましたが、その後、再び、在庫切れという状況が続いています。なんか、ビジネスチャンスを失っているような気もしますが、息の長い本になって欲しいので、まぁ、いいかと。

自分の本のAmazonの在庫状況を見ながら、ついつい目がいってしまうのが、Amazonランキング。入荷があったときには、3桁台まで上昇しましたが、その後、在庫切れになったら、1万-3万台あたりをふらふら。

ところで、このAmazonランキングというのはどうやって計算しているのでしょうか?Amazonランキングの更新頻度が1時間に一回だから、当然、1時間当たりの売上冊数によると考えたくなります。1時間に何冊も売れる本はそれでよいのですが、ロングテールビジネスをおこなっているAmazonにおいては、大部分の本が1時間当たりの売上冊数はゼロなはずです。1日で売れた数、1週間で売れた数、1ヶ月で売れた数に、係数をかけて、ランキングをはじき出しているのでしょうか?Amazonが取り扱う、大部分の本は、年に5冊くらいが売れるロングテール本だと言われています。そうすると、Amazonが扱う300万点もの書籍すべてに、それぞれ一意のランキングを付けるには、どういう計算方法を用いているのか?考えると、とても不思議な感じがしてきます。

ちょうど、そんなことを考えていたとき、いつも行く日本橋の丸善に、「Amazonランキングの謎を解く: 確率的な順位付けが教える売上の構造」が平積みされていました。タイトルを見ると、ビジネス書みたいな感じがしたのですが、パラパラと見ると、本格的な確率論の本。さっそく、購入して(私がリアル書店で本を買うのはよほどのことです)、あまりに面白く、あっという間に、読んでしまったので、みなさんにおすすめしたいと思います。

著者の服部哲弥氏は、慶應義塾大学経済学部教授で、確率論、数理物理学の研究者です。Amazonの内部の人間ではないので、実際に、Amazonのランキングがどのように計算されているかについて解説しているわけではありません。Amazonランキングを題材として、数理物理学を展開している本です。つまり、Amazonランキングを計算する数理モデルを構築し、サンプルデータ(いくつかの書籍のAmazonランキングを毎日書き写して採取したもの)を用いて検証するということをやっている本です。

Amazonのランキングの計算方法を推測する上で、著者が採用したモデルは「move-to-front規則」(最後に売れた順に並べる、つまり、注文のたびに1位にジャンプする)というモデルです。たしかに、これは、自分の本のランキングをながめていても起こる現象で、順位が、10万台であろうと、100万台であろうと、1回注文すると、順位が、おおむね1万位台または2万位台に一気に上がります。実際には1位ではありませんが、本研究では、研究対象をロングテールの本にしぼり、1位と1万位が同等と見なせる単純化したモデルを用いているので、モデル内では同じ意味合いと考えて下さい。

そして、もう一つ重要なことは、検証対象を、1週間に1冊以下しか売れないような、Amazonが取り扱っている大多数の本にしぼったことです。よく売れる本(ビッグヒット書籍)と大多数のあまり売れない本(ロングテール書籍)では、Amazonランキングの計算の仕方が異なる可能性があり、著者は、ロングテールのランキング1万位以下の書籍のAmazonランキング計算方法に焦点を当てました。

著者はパレート分布に基づき、非常に単純なランキングの数理モデルを構築しました。そして、サンプルデータのランキングの時間変化のデータを統計的に当てはめて、各種係数を決めています。それによれば、著者の構築した数理モデルはランキングの推移と、非常によく一致しており、ランキングの数理モデルが正しいことを検証しています。

中身の1/3くらいは、かなり本格的な数学なので、私もついて行けないのですが、この本で、Amazonランキングの意味するものが 、明確になりました。

1万位以下のAmazonランキングでは、そのランキングが意味するものは最後に売れてからの経過時間と考えるとよいようです。

順位 最後に売れてから
70万位 72日
60万位 41日
50万位 26日
40万位 16日
30万位 9日
20万位 4.5日
10万位 36時間
5万位 13時間
4万位 9時間
3万位 6時間

1万位以内(上位)のAmazonランキングは、実際の売れ行きとイメージが近いと理解できます。

順位 平均注文時間間隔
10位 5秒/冊
100位 1.5分/冊
1000位 30分/冊
1万位 7.5時間/冊

上記、テーブルは、いずれも「Amazonランキングの謎を解く」服部哲弥著から引用。

さらに、この本がすばらしいところは、ランキング計算モデルを、実際のサンプルデータに当てはめて、係数を決めた結果、実は、「Amazonはロングテールビジネスではない」ということを明らかにしたということです。つまり、ほとんど売れない本は、コストがかからないと言っても、Amazonの収益にはほとんど寄与しておらず、実際には、Amazonは「よく売れる本」で収益を得ていると言うことです。すでに、「Amazonはロングテールビジネスではない」というのは、私の書いた本のような、たいしして売れない本が、ずっと在庫されないままになっているという事実とも一致しているのかもしれません。詳しくは、本書を読んで下さい。

本格的な確率論で、ついて行けていない部分もあります(そう言う人には、読み飛ばせる工夫がしてありますのでご安心下さい)が、かなりおもしろい本です。久方ぶりに、楽しく数学と接することができました。おすすめの一冊です。

Amazonで詳細を見る

2011.07.31

積ん読本2011年7月

長崎、広島と出張が続き、7月はバタバタしましたが、大学は夏休みに入りました。教員とは言え、診療、研究活動、2学期に向けての各種講義の準備などがあり、まるっきり休みというわけではありませんが、講義もなく、委員会もほとんど8月はお休みになるので、少し、気分的にもゆったりしています。

今年は、家族での夏休み旅行はなし。本をたくさん読みたい。単行本の執筆、連載記事のスタートもしたい。いつもとは違う8月になりそうです。

「Amazonランキングの謎を解く: 確率的な順位付けが教える売上の構造」

著者:服部 哲弥、出版社:化学同人 (2011-05-30)、ASIN:475981339X【amazon.co.jp

この本は、かなり掘り出し物の本だと思っています。アマゾンの売り上げランキングを数学的に解析するという本。あっ、ビジネス書ではないですよ。本当の数学です。でも、これ、すごくおもしろい。まもなく、読み終わりますので、レビューを書きますね。


「池澤夏樹の世界文学リミックス」

著者:池澤 夏樹、出版社:河出書房新社 (2011-04-16)、ASIN:430902033X【amazon.co.jp

夏休みと言えば、新潮文庫の100冊。今年の、100冊の内、何冊読んだことがあるかなと思ったら、20冊くらいでした。

さて、新潮文庫の100冊とは全然違うのですが、河出書房新社から発行されている池澤夏樹=個人編集世界文学全集が出ています。この本は、池澤夏樹自ら、全集に選んだ本を、興味深く、紹介している本です。この本を読んで、おもしろそうな本を、世界文学全集から選んで、読んでみようかな。これが、今年の夏の過ごし方です。


「お金はいつも正しい」

著者:堀江 貴文、出版社:双葉社 (2011-06-21)、ASIN:4575303283【amazon.co.jp

堀江さんのことは、個人的にとても好きです。自分が正しいと思うことを、率直に全力でやっている人と考えています。不器用なところで、いろいろ問題になるのでしょうが。以前から、彼のメルマガを購読しているのですが。すごいですね。収監されたにもかかわらず、毎週、量、質ともに充実したメルマガです。

この本は、収監直前に書かれた本です。若者向けの本ですが。あいかわらずの堀江節が味わえます。


「マネー避難 危険な銀行預金から撤退せよ!」

著者:藤巻健史、出版社:幻冬舎 (2011-06-23)、ASIN:4344020103【amazon.co.jp

特に、守るほどの資産はないのですが、デフォルトの危機がせまり、円高も1ドル78円まで進み、少し、真剣に考えようかと思っています。


「大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)」

著者:羽生 善治、出版社:角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-02-10)、ASIN:4047102768【amazon.co.jp

かれこれ、3ヶ月積ん読になっている。そろそろ読みたい。


「パブリックスピーカーの告白 ―効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方」

著者:Scott Berkun、出版社:オライリージャパン (2010-10-27)、ASIN:487311473X【amazon.co.jp

この本は、プレゼンテーションの本質に迫った本。プレゼンテーションの良書。近いうちにレビューを書きます。


「「患者様」が医療を壊す (新潮選書)」

著者:岩田 健太郎、出版社:新潮社 (2011-01)、ASIN:4106036711【amazon.co.jp

この本も、なかなか積ん読状態を解消できずにいます。


「ケニアのスラムで高血圧を治さない―類化性能と別化性能」

著者:岩田 健太郎、出版社:克誠堂出版 (2011-03)、ASIN:477190376X【amazon.co.jp

この本も、なかなか積ん読状態を解消できずにいます。


「養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること (養老孟司の大言論 1)」

著者:養老 孟司、出版社:新潮社 (2011-02)、ASIN:4104160040【amazon.co.jp

養老先生の本だからと、3冊まとめ買いしてしまいました。この夏には読みましょう。


「養老孟司の大言論〈2〉嫌いなことから、人は学ぶ (養老孟司の大言論 2)」

著者:養老 孟司、出版社:新潮社 (2011-03)、ASIN:4104160059【amazon.co.jp

養老先生の本だからと、3冊まとめ買いしてしまいました。この夏には読みましょう。


「養老孟司の大言論〈3〉大切なことは言葉にならない (養老孟司の大言論 3)」

著者:養老 孟司、出版社:新潮社 (2011-04)、ASIN:4104160067【amazon.co.jp

養老先生の本だからと、3冊まとめ買いしてしまいました。この夏には読みましょう。


「ベストプロフェッサー (高等教育シリーズ)」

著者:ケン ベイン、出版社:玉川大学出版部 (2008-05-01)、ASIN:4472403625【amazon.co.jp

2学期に向けて、読んでおきたいと思っています。


「社会は絶えず夢を見ている」

著者:大澤 真幸、出版社:朝日出版社 (2011-05-18)、ASIN:4255005834【amazon.co.jp

かなり、重たい本なので、なかなか手が付けられません。


「英語流の説得力をもつ日本語文章の書き方」

著者:三浦 順治、出版社:創拓社出版 (2009-06)、ASIN:487138246X【amazon.co.jp

指導する大学院生や若い医師の方の日本語の文章(たとえば、抄録や、各種申請書)のリライトをする機会が多いのですが、この本は、私が今まで無意識でおこなってきたリライトを、構造化してくれました。

この本を読むと、リライトのポイントを意識化することが出来、リライトの腕が上がります。なかなかの良書。


2011.07.13

本の紹介「裸のプレゼンター」

「裸のプレゼンター」

著者:ガー・レイノルズ、出版社:ピアソン桐原 (2011-07-08)、ASIN:4864010552【amazon.co.jp

本書は、プレゼンテーションZENで知られるガー・レイノルズのプレゼンテーション本の第3弾。1冊目が、プレゼンテーションZENの神髄とも言える「プレゼンテーションzen」、2冊目は、デザインに特化した「プレゼンテーションzenデザイン」。その後、入門書的な「ガー・レイノルズ シンプルプレゼン」という本が出ていますが、本作が実質的な3冊目と考えてよいでしょう。

さて、3冊目の「裸のプレゼンター」はどんな本かというと、非常に本質的、哲学的な本です。上級者向けの本です。前2冊、少なくとも「プレゼンテーションzen」を読んだことがない人には、何も響かないと思います。

プレゼンテーションzen」は、世の中にあふれているプレゼンテーションの価値観の破壊、プレゼンテーションをシンプルにすることを主張していました。「パワーポイントの死」と呼ばれることを中心として、まず、パワーポイントの呪縛から離れなさいという主張であったと思います。そして、この本では、パワーポイントの呪縛から離れて、プレゼンテーションとはなんなのかに迫った本です。前2冊が、プレゼンテーションの準備にほとんどページを割いていたのに対し、本書では、プレゼンテーションの実施にほとんどのページを割いています。

本書の主張をひとことでまとめるなら、「会話型のプレゼンテーションを目指せ」ということになるでしょうか。そのことを実践するための具体的な手法が事細かに示されているわけではありません。

私なりにこの本に書かれたことを実践するためには何をしたらよいか考えてみました。その結論は、以下の5つを実践することだと思います。

・PowerPointのテンプレートは使わないこと(使うのはすべて白紙のテンプレートのみ)
・箇条書きは使わないこと、
・アニメーションとページ切り替え効果を一切使わないこと
・演台を取り除いてステージの中央に立つこと
・プレゼンテーション中に、スクリーンを見ないこと

かなり、難しいでしょうが、上級者を目指す人は考えてみて下さい。上級者を目指すプレゼンターに本書をお勧めします。ただし、「プレゼンテーションzen」を読んでからです。


2011.07.10

本の紹介「レジデントのための血液透析患者マネジメント」

レジデントのための血液透析患者マネジメント

著者:門川 俊明、出版社:医学書院 (2011-06)、ASIN:4260013874【amazon.co.jp

私の第6冊目となる著作です。6月15日に発売されていたので、早く、紹介しようと思っていたのですが、Amazonでのステータスが、ずっと、「一時的に品切れになっています」が続いていて(実際には、取り次ぎがまったく扱っていなかったのだと思う)、ここで紹介するのは、Amazonに入荷してからにしようと思っていました。今日見たら、大量といっても15冊ですが、入荷されていましたので、紹介文を書くことにします。

この本がどんな本であるかは、医学書院のサイトに、まえがき、目次が掲載されていますので、ごらんになって下さい。出版に当たって、読者対象をレジデントに絞った方がよいと言うことになったので、「レジデントのための」とタイトルに付けていますが、私が初めに付けたタイトルは、「非専門家のための血液透析入門」というものでした。医学書店に行けば、透析の書籍が非常にたくさんありますが、実は、すべての本が「専門家のための 」本です。しかし、今の時代、自分は透析にはかかわらない分野を専門にしているつもりでも、実際には、透析患者を受け持つことが多くなっています。専門家でなければ、血液透析お手上げとなる事が多いでしょうが、主治医が血液透析患者のマネジメントをわかっているかどうかは、患者管理において、きわめて重要だと思っています。すべての医師が血液透析を施行出来る必要はない。けれども、すべての医師が血液透析患者をマネジメントすることが必要なのです。だから、本書の対象者はレジデントを含めた透析非専門医ということになります。専門家でない人向けなので、わかりやすく書くことを心がけましたが、決して、内容は薄っぺらなものではありません。本格的なものですので、透析専門医の人にも十分お役に立てるものだと思っています。

この本にかけた自分の思いを少し紹介したいと思います。

私は、これまで、「研究留学術」、「透析導入テキスト」、「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」、「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」、「医師のためのモバイル仕事術―iPad/iPhoneを使い倒す!」の5冊の書籍を上梓していて、この本が6冊目となります。しかし、本書は、自分の中では特別な意味のある一冊です。

これまでの5冊は、すべて、他の方の力を借りて、書き上げたものです。「研究留学術」は実質的には単著なのですが、研究留学の仲間たちに留学談を書いてもらったので、全部が自分の筆によるものではありません。今回は、完全なる単著です。前から、すべてを一人で書き上げた本を出版したいと思っていました。

また、これまでの5冊は、すべて、自分が企画したものではありませんでした。そういえば、「透析導入テキスト」は、自分で出版社を探したのでしたが、他の4冊は、出版社の方から話を持ちかけられたものでした。今回は、どうしても、売れて欲しい。自分でも売れる本にできる自信があったので、自分で出版社探しをしました。あえて、一番大きな出版社、「医学書院」にお願いしました。

今回は、初めて自分の本業の内容で書きました。臨床において、門川が専門にしているのは何なのか、そんな名刺代わりになるものが欲しかったと言うこともあります。私は、アメリカから帰国して、8年間、血液透析を生業としてやってきました。今でも、血液透析の仕事は続けていますが、本業は医学教育になりました。だから、自分の中で区切りをつけ、自分が経験したもの、学んだものを、一度、まとめたい、そういう思いで、書きました。

一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。


2011.07.05

本の紹介「誰も教えてくれなかった診断学」

「誰も教えてくれなかった診断学―患者の言葉から診断仮説をどう作るか」

著者:野口 善令、出版社:医学書院 (2008-04-01)、ASIN:4260004077【amazon.co.jp

多くの方が、診断学のテキストとして、薦める本書。しかし、すでに絶版となっており、Amazonのマーケットプレースで、倍近くのお金を払って手に入れました。

この本は、レジデント向けというより、レジデントや学生に臨床推論を教える指導者向けの本だと思います。私も、年間を通して、学生に臨床推論を教えていますが、なかなか自分では言葉にまとめ上げられなかった臨床推論での頭の使い方を明文化している名著だと思います。

ただ、この本は、あくまでも、臨床推論を教えるための方法論を解説しているだけで、実際に臨床推論を教えるためには、様々な症候、場面に応じた「カード」を作っていなければいけません。だから、指導者も、この本の方法論に基づいて、「カード」を研究医・学生と作っていく必要があります。本書が、カード作りに役立つ書籍としておすすめしているのが、以下の書籍。

10分間診断マニュアル 第2版 -症状と徴候-時間に追われる日々の診療のために-
Saint-Frances Guide to Outpatient Medicine (Saint-Frances Guide Series)
Primary Care Medicine: Office Evaluation and Management of the Adult Patient (Primary Care Medicine ( Goroll ))
診察エッセンシャルズ―症状をみる危険なサインをよむ
セイントとフランシスの内科診療ガイド 第2版
研修医当直御法度―ピットフォールとエッセンシャルズ
研修医当直御法度症例帖
救急総合診療Basic20問―最初の1時間にすること・考えること (総合診療ブックス)
ERの哲人―救急研修マニュアル

カード作りには熱心で優秀な指導者が必要です。

いずれにしても、医学書院は、ちゃんと、増刷して、この本を普及すべきと思います。


2011.06.28

積ん読本2011年6月

6月は学会もあって、慌ただしかったのですが、週1冊くらいで本が読めました。しかし、週4冊くらいのペースで本を購入しているので、差し引き、週3冊が積ん読に、、、。

現在の興味は、ゲーム理論の概要を勉強したいなぁということと、少し古典を読みたいということです。

今回は、ちょっと気軽な本が少ないので、当分、積ん読かもしれません。

「ゲーム理論の思考法」

著者:川西 諭、出版社:中経出版 (2009-09-01)、ASIN:4806134708【amazon.co.jp

ゲーム理論を勉強したいなぁと思って、本屋で見ていて、一番良さそうだった本。「囚人のジレンマ」を代表とする典型的なゲーム理論がわかりやすく解説されています。


「心理パラドクス―錯覚から論理を学ぶ101問」

著者:三浦 俊彦、出版社:二見書房 (2004-10)、ASIN:4576041681【amazon.co.jp

著明なパラドクスが知りたくて購入した本。


「新訂 福翁自伝 (岩波文庫)」

著者:福沢 諭吉、出版社:岩波書店 (1978-10)、ASIN:4003310225【amazon.co.jp

説明は不要と思いますが、福沢諭吉先生の自伝です。「福翁自伝」読んでないって、あり得ないと言われて、一応、積んどいています。


「飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)」

著者:ケストナー、出版社:光文社 (2006-09-07)、ASIN:4334751059【amazon.co.jp

少し古めの児童文学が最近のお気に入りであります。


「イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)」

著者:ソルジェニーツィン、出版社:新潮社 (1963-03)、ASIN:4102132015【amazon.co.jp

スゴ本でおすすめされていた本。ちょっと、重たい本みたいなので、当分、積んどくことになりそうです。


「方法序説 (岩波文庫)」

著者:デカルト、出版社:岩波書店 (1997-07-16)、ASIN:4003361318【amazon.co.jp

この本も知らない人もいないでしょうが、企業のエグゼクティブに愛読書のアンケートを取ると、必ずベスト1になるそうです。薄いですが、読み甲斐がありそうなので、ちょっと時間がかかるかな。


「存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3)」

著者:ミラン・クンデラ、出版社:河出書房新社 (2008-02-09)、ASIN:4309709435【amazon.co.jp

いつか、映画とともに、読みたいと思っていた本です。友人のベストおすすめな映画なので。原作を読んでから映画を読むべきか、映画を見てから原作を読むべきか。私は、絶対に前者なんです。というわけで、夏の旅行で読もうと思っています。


「最終講義-生き延びるための六講 (生きる技術!叢書)」

著者:内田 樹、出版社:技術評論社 (2011-06-24)、ASIN:4774147095【amazon.co.jp

2011年1月22日に行なわれ、多くの人々に感銘を与えた内田樹先生の最終講義を含む、6つの講義が収録されています。


「アット・ザ・ヘルム -自分のラボをもつ日のために- 第2版」

メディカルサイエンスインターナショナル、ASIN:489592680X【amazon.co.jp

絶対のおすすめ本の「アット・ザ・ヘルム」の改訂版です。PIの方はもちろん、これから、留学しようとする人には、絶対のおすすめ本です。


「アット・ザ・ベンチ バイオ実験室の統計学 -エクセルで学ぶ生物統計の基本-」

メディカルサイエンスインターナショナル、ASIN:4895926710【amazon.co.jp

これも、アット・ザ・ベンチの姉妹本です。パラパラと見た感じは、まぁまぁというところでしょうか。


2011.06.27

本の紹介「1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方」

「1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 (光文社新書 525)」

著者:岩田健太郎、出版社:光文社 (2011-06-17)、ASIN:4334036287【amazon.co.jp

このタイトル、岩田先生の本でなければ、買わなかったです。

本書は、岩田健太郎先生のタイムマネジメント術、さらにはライフハック術を紹介した本です。

「1秒もムダに生きない」タイムマネジメント術が満載で、圧倒されるのではという不安がありましたが、読み進むうちに、そうではないことがわかり、ホッとしました。岩田先生は「1秒もムダに生きない」という生き方を、読者に強要しているわけではありません。ご自身も、「トースト、バタージャム、サラダ、コーヒーという朝のアイテムをしっかりと楽しむ。ここに長い時間をかける」「休憩をしっかりする、休養をしっかりとる」とおっしゃっています。本書で伝えたいことは、「時間を削り取り、時間を慈しむ。この相矛盾する態度をうまく混在させて、時間を上手に使っていく」ということです。

「1秒もムダに生きない」生き方は私にはできません。むしろ「他人から見たらムダと思われるようなこと」を大切にしています。もちろん、ムダの定義は非常に主観的なものですが、、、。仕事の切れ目に、学内をふらふら歩いて、同僚や後輩と会って、無駄話をする。そういう時間を大切にしたいと思っています。飲みに誘われたら、よっぽどのことがない限り断りません。結構、緊急の仕事が詰まっていても、ついつい行ってしまうのです。自分がやるべき仕事はきちんとやっているつもりですが、その上で、本業とはあまり関係のない本を書いたり、こんなブログを書いたりしています。でも、それら「他人から見ればムダなこと」が、自分が自分であるための、かなり本質的なものであるのです。

私自身、時間の使い方は下手くそです。だから、「ライフハック本」とか「タイムマネジメント本」を読むことは大好きです。ただし、そう言う本を読むときには、なるべく、本とは距離感を持ちながら読むようにしています。つまり、「こうしろ!」とか「あなたのここがダメ!」といった意見はさらっと流し、自分に役立ちそうなことだけ、参考にすると言う感じです。

本書には、岩田先生らしい、たくさんのライフハック術、タイムマネジメント術が紹介されています。

「テストの採点は、テストの日にやる」これは、私も心がけていることのひとつです。頭が一番集中している(ノっている)時に、関連したことを一気に済ませてしまうと言うことですね。似たようなこととして、私の場合、講義の準備は、前年の講義の直後にするようにしています。講義をおこなっていると、スライドをこうしておいた方がよかったなとか、この話題には触れなくてもよかったなという反省があります。そういう反省点や改善点は、時間がたつと忘れてしまうので、講義の直後に、全部やってしまうのです。あっ、もちろんん、毎年、同じ講義をやっているわけではありませんよ。反省点はその日のうちに反映させてしまうという意味です。

「パソコンとは適度につきあう」これも、そうですよね。私は、コンピュータおたくのように誤解されていますが、基本的に、コンピュータやOSはデフォルトのまま使う人間です。ハードウェアとか、ソフトウェアをいじり出すときりがないのがわかっているので、「コンピュータに振り回されずに、コンピュータを使いこなす立場でいたい」と思っています。

「三日坊主はかまわない」「翻訳の薦め」「スライドを使わない講義」「自分の知らない世界と出会う」などなど、他にもたくさんのライフハック術が紹介されています。


2011.06.19

本の紹介「超!文献管理ソリューション」

「超!文献管理ソリューション」

著者:讃岐 美智義、出版社:学研メディカル秀潤社 (2011-05-31)、ASIN:4780908434【amazon.co.jp

本書は、讃岐氏が「研究者のための文献管理PCソリューション」として、改訂を続けていた本の実質的な改訂版である。旧タイトルからPCを除き、サブタイトルに、「〜PubMed/医中誌検索からクラウド活用まで〜」となっていることから、この本の改訂の趣旨がよくわかる。

文献管理ソフトの代表ソフトEndnoteも、Endnote Webとの連携が図られた。さらには、今後、文献管理ソフトは、Endnoteに取って代わって、Mendeley、Zoteroといったクラウドを前提とした文献管理ソフトが文献管理のメインストリームになっていく可能性が高い。そのような状況を配慮し、いち早く、大規模改訂を行ったのであろう。

今の時代にあった適切なソフトを取り上げ、丁寧に解説している。

すべての画面キャプチャーも、常に最新のものを用意している。医中誌Webは4月25日に、ver. 5にアップグレードされたばかりだが、きちんとver.5の画面キャプチャーが使われている。

非常に丁寧で、誠実な一冊である。文献検索・管理の入門書として、まちがいない一冊として、薦めておく。


2011.06.15

私の新しい本「レジデントのための血液透析患者マネジメント」が出版されました

私の新しい本が出版されました。

自分が書いた本の中では、6冊目になります。1冊目が「研究留学術」、2冊目が「透析導入テキスト」、3冊目が「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」、4冊目が「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」、5冊目が「医師のためのモバイル仕事術―iPad/iPhoneを使い倒す!」。

6冊目は、「レジデントのための血液透析患者マネジメント」という本です。6冊目ですが、自分の中では特別な意味のある一冊です。

これまでの5冊は、すべて、他の方の力を借りて、書き上げたものです。「研究留学術」は実質的には単著なのですが、研究留学の仲間たちに留学談を書いてもらったので、全部が自分の筆によるものではありません。今回は、完全なる単著です。前から、すべてを一人で書き上げたいと思っていました。

また、これまでの5冊は、すべて、自分が企画したものではありませんでした。そういえば、「透析導入テキスト」は、自分で出版社を探したのでしたが、他の4冊は、出版社の方から話を持ちかけられたものでした。今回は、どうしても、売れて欲しい。自分でも売れる本にできる自信があったので、あえて、一番大きな出版社、「医学書院」に自分からお願いしました。

今回は、初めて自分の本業の内容で書きました。今までのは、あまり、大きな声で言えるような内容ではなかったのです。

私は、アメリカから帰国して、8年間、血液透析を生業としてやってきました。その中で、自分が経験したもの、学んだものを、一度、まとめたい、そういう思いで、書きました。おいおい、中身のご紹介はしますが、AMAZONでも、まだ、予約のみです。AMAZONは、新しい本の在庫が不安定なので、もし、よろしければ、予約されることをおすすめします。

2011.06.13

本の紹介「ガー・レイノルズ シンプルプレゼン」

「ガー・レイノルズ シンプルプレゼン」

著者:ガー・レイノルズ、出版社:日経BP社 (2011-03-31)、ASIN:4822230546【amazon.co.jp

この本は、「プレゼンテーションZEN」のダイジェスト版のような本です。実は、本を読んだまま、付属のDVDを見ないで放置していたのですが、ちょっと時間があったので、見てみました。

このDVDは日経ビジネスアソシエが主催したガーレイノルズのプレゼンテーションに関するプレゼンテーションでした。90分近くでかなりボリュームがあります。DVDを見て気づきました。この本自身、このプレゼンテーションを編集部の人がテープ起こしして、少し書き足したんだなと言うことです。

というわけで、本の作り方は安易ではありますが、このDVD自体は、プレゼンテーションZENのコンセプトを気軽に知るにはとてもよいものであります。ガーレイノルズは英語で話していますが、非常にわかりやすい英語ですし、日本語字幕も付いています。ガーレイノルズのプレゼンテーションは、もっとストイックなものなのかと思っていたのですが、非常にナチュラルでハートウォーミングな印象でした。

そう言えば、DVDを見ていて気づいたのですが、ガーレイノルズのプレゼンテーションの最前列に、黒川清先生が座ってらっしゃいますね。そういえば、最近は、PowerPointを使わないプレゼンテーションにされるなど、確かに、プレゼンテーションZENに影響されているのかもしれません。

ガーレイノルズの著作は、原典と呼ぶべきものが、「プレゼンテーションZEN」(紹介記事)、その後、デザインに特化した「プレゼンテーションZenデザイン」が出ました。そして、三作目の「Naked Presenter」は「裸のプレゼンター」として、7月8日に出版されます。これも、楽しみですね。私は予約しました。


2011.05.29

積ん読本2011年5月

新しい年度に入って、今年から新しくおこなう講義の連続で、その準備に時間がかかった上、震災でキャンセルされていた様々なイベントがリスケジュールされたので、正直、あまり本を読む時間がなかったです。でも、購入ペースは落ちていないので、次々と積ん読状態に、、、。でも、寝る前にパラパラめくっているので、忘れないうちに、ご紹介を。

「読んでいない本について堂々と語る方法」

著者:ピエール・バイヤール、出版社:筑摩書房 (2008-11-27)、ASIN:4480837167【amazon.co.jp

私も、きちんとも読んでいないのに、ブログで本の紹介をすることがあります。

この本も、そんな感じのブロガー向けの本なのかなと思って、ジャケ買いしてしまいました。そしたら、、、、。とんでもない。かなり本格的な本でした。出てくる本もプルーストとか、古典文学ばかり。「本を読む」ということについて、考え直させてくれます。


「iPhone英語勉強法 多読&多聴トレーニング」

著者:松本 秀幸、出版社:日本実業出版社 (2011-03-17)、ASIN:4534048068【amazon.co.jp

最近、すっかり英語を使う機会が減ってしまっているなぁ。

私が留学していた頃と違って、iPhoneとかを使えば、ほとんど無料でたくさんの学習素材があります。安く、効率よく英語を勉強したい方におすすめ。


「ガー・レイノルズ シンプルプレゼン」

著者:ガー・レイノルズ、出版社:日経BP社 (2011-03-31)、ASIN:4822230546【amazon.co.jp

この本は、「プレゼンテーションZEN」のダイジェスト版のような本です。プレゼンテーションZENを理解するには、「プレゼンテーションZEN」は少々、読みにくいかもしれません。そんな人は、DVDとともに、この本を読むのがよいでしょう。でも、本当に、プレゼンテーションZENを理解したいなら、「プレゼンテーションZEN」を読んで下さい。


「異端の系譜―慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (中公新書ラクレ)」

著者:中西 茂、出版社:中央公論新社 (2010-11)、ASIN:4121503716【amazon.co.jp

将来は、SFCの教員になりたい!と言っても、みんな信じてくれない。でも、本気ですよ。


「長崎の教会 (NHK美の壺)」

日本放送出版協会、ASIN:4140812893【amazon.co.jp

7月に長崎に講演に行きます。金曜日なので、その後、2泊くらいして、少しゆっくりしてこようかと思っています。

昔から、長崎県に点在する古い教会を写真を撮りながら巡ってみたいと思っていました。でも、この本を見てみたら、長崎、平戸、五島列島と、かなり広範囲に点在しているようです。長崎は行くとしても、平戸に向かうか、五島列島に向かうか、迷っています。詳しい人がいたら、教えて下さい。


「自分の小さな「箱」から脱出する方法」

著者:アービンジャー インスティチュート、出版社:大和書房 (2006-10-19)、ASIN:4479791779【amazon.co.jp

もう、こういう、自己啓発本を読むのは、やめようと思っていたのですが、ついつい。前書きが正直いただけなかったなぁ。


「佐野洋子〈追悼総特集〉 (文藝別冊)」

河出書房新社、2011-04-14、ASIN:4309977510【amazon.co.jp

私の大好きな絵本「百万回生きたねこ」の作者、佐野洋子さんの追悼ムックです。私は、佐野さんのことはよく知らなかったのですが、かなり、個性的なおもしろい方だったようです。


2011.05.22

本の紹介「中央線で行く東京横断ホッピーマラソン」

「中央線で行く東京横断ホッピーマラソン (ちくま文庫)」

著者:大竹 聡、出版社:筑摩書房 (2009-08-10)、ASIN:4480426272【amazon.co.jp

最近、毎日のようにホッピーを飲んでいる。ホッピーが体にいいとか、安いとか、そう言うことではなく、ホッピーを置いているお店の雰囲気が好きなのだ。

本書は、中央線を一駅ずつ降りて、ホッピーが飲めるお店に一つ入っては、次に進む。スタートが、東京駅で、高尾駅まで32駅。高尾からの復路では、京王線で、ホッピーマラソンを続けている。

まぁ、タモリクラブ的な本ですね。でも、そのばかばかしさがかなり好きです。

あっ、ホッピーって知らない人もいますかね。ホッピーは、ビールの廉価版のような麦酒飲料です。ホッピーそのものだけを飲んでいる人を見たことがありません。基本的なルールとして、焼酎にホッピーを加えて飲みます。だから、ホッピー+焼酎をホッピーセットと呼びます。おそらく、これは、ホッピーだけだとアルコール度数が低すぎて、酔わないので、焼酎でアルコール度数をあげているのだと思います。だから、焼酎だけを追加したい人は「中おかわり」、ホッピーだけを追加したい人は「外おかわり」という形で追加します。ちなみに、ホッピーには、白と黒がありますが、黒も黒ビールほどのえぐみはありません。

とりあえず、私の目標は、1年かけて、この本に載っているお店をすべて制覇してやろうというものです。つきあってやってもいいぞ、というかたがいらっしゃいましたら、是非、お声がけ下さい。


2011.05.19

本の紹介「夜間飛行」

夜間飛行」は、サンテグジュペリの隠れた名作と言われています。もちろん、サンテグジュペリの隠れていない名作は、「星の王子様」。

ジブリの宮崎駿さんも、「夜間飛行」ファンらしく、もっとも好きな本の一つと述べています。「夜間飛行(新潮文庫)」の表紙のイラストも提供しているほどです。

私も、以前、「夜間飛行(新潮文庫)」を買って、読もうとしたのですが、これが、訳文が難しすぎる。堀口大学さんの訳文は、ファンも多いのですが、私には難しすぎて、この本を読めずにいました。原文は、フランス語ですから、さらに、無理ですね。

しょうがないので、「夜間飛行(まんがで読破)」を読んで、もう一度トライしたのですが、やはりダメでした。

そしたら、昨年、光文社から「夜間飛行(光文社古典新訳文庫)」が出ました。これは、読みやすい。

「星の王子様」をイメージして読むと、あまりに違うのでびっくりすると思います。作者のサン=テグジュペリは、実際に、航空郵便のパイロットで、彼の半自伝的な本です。

読みたかった1冊が読めて、幸せです。

2011.04.26

日本医書出版協会で電子書籍の講演をした

日本医書出版協会で「電子書籍」について話して欲しいという依頼があったのが、1月。しかも、聴衆は医学出版社の専門家の方々。基本的には頼まれた講演は断らないことにしているので、これも、電子書籍を知るいい機会だと思っていましたが、さすがに、心配になってきたので、しっかり準備をすることにしました。

まず、講演に向けておこなったのは、

ブレインストーミング

出版界の方2人にお願いして、食事をとりながら、2時間話しまくって、講演の骨格を作りました。

そのあと、客観的なデータを見ながら、自分の仮説が間違っていないことを確認するために、以下の5冊をはじめとした、たくさんの資料を読み込むのに約1ヶ月。さらに、自分の大学の図書館の方に数回のレクチャーを受けました。

ひとりブレインストーミングには、最近手に入れた、ローディアのdot padのNo. 38が大活躍。

今日は、本当に満員で、しかも、ほとんどすべての医学出版社の偉い方ばかりでびっくりしましたが、自分のペースで話すことができました。よく考えてみれば、素人が専門家に向かって歯にものきせず、えらそうにしゃべっているのですからおそろしいです。でも、みなさん、喜んでいただけたようでよかったです。

まったくの新しい分野だと、1時間話すのに、100時間くらい準備が必要ですね。とりあえず、現在は、電子出版をよく知る人と論議をしても、負けない自信があります。

「出版大崩壊 (文春新書)」

著者:山田 順、出版社:文藝春秋 (2011-03-17)、ASIN:4166607987【amazon.co.jp

今、電子出版をめぐる状況を把握したいのであれば、ベストの一冊。帯には、「禁断の書」などと書いてあるが、決してセンセーショナルな本ではなく、長年、出版社の編集長を務め、その後、実際に、電子出版の会社を立ち上げようとした(しかし、現実的にペイしないということがわかりペンディングした)ということから、冷静に、日本における電子出版事情を解説しています。

日本では、まだまだ電子出版は普及していない(唯一、普及しているのは、携帯エロ小説というのが意外)が、今後、本が減って、電子出版に移行する流れには逆らえないということ。そして、その流れは、出版社だけでなくて、文筆業を生業とする人にも強いダメージを与えること。悲観的な予想で結んでいます。


「電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)」

著者:佐々木 俊尚、出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010-04-15)、ASIN:4887598084【amazon.co.jp

佐々木氏の非常に緻密な解説。基本的には、佐々木氏は、電子書籍バンザイ。どんどん進めるべきという考えです。しかし、佐々木氏が描く電子書籍の世界は、アメリカでは、1年、2年のうちにやってくるでしょうが、日本にやってくるにはまだ時間がかかると思います。理論的には、電子書籍バンザイ。でも、さまざまな権利関係で、日本ではそううまくいかないでしょうね。


「電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)」

著者:歌田 明弘、出版社:筑摩書房 (2010-10-07)、ASIN:4480065768【amazon.co.jp

この本もバランスが取れていてよかったです。特に、Googleの狙う、すべての書籍をデジタル化するプロジェクトの話が詳しくてよかったです。


「電子書籍元年 iPad&キンドルで本と出版業界は激変するか?」

著者:田代真人、出版社:インプレスジャパン (2010-05-21)、ASIN:4844328700【amazon.co.jp

この本もよい本だと思いますが、上記の3冊を読むうちに、電子書籍業界に詳しくなってしまって、ほとんど、知っていることばかりになってしまいました。


「我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す」

著者:中西 秀彦、出版社:印刷学会出版部 (2010-07)、ASIN:4870852004【amazon.co.jp

印刷業界紙のエッセイをまとめた一冊で、電子書籍の話は、はじめの数個のエッセイで触れられています。印刷会社の方が、電子出版において、著者と電子出版プラットフォームを結びつける立場として適任という指摘。なるほどと思いました。


2011.04.20

本の紹介「工学部ヒラノ教授」

「工学部ヒラノ教授」

著者:今野 浩、出版社:新潮社 (2011-01)、ASIN:4103147628【amazon.co.jp

案の定、「私を離さないで」は、なかなかページが進まず、一緒に読み始めた本書が予想外におもしろく、一気に読み切ってしまいました。

小説の体裁を取っていますが、実は、登場人物はほとんど実名で登場しますし、著者が歩んだ筑波大学→東工大→中央大という舞台はそのままです。ある意味、内情暴露本なのですが、著者の軽妙な語り口でまったく嫌みがありません。大学でおこっていることは小説よりはるかにおもしろいと言うことでしょう。

初めて知る、工学部の内情。

工学部ヒラノ教授の役得は、「1に好きな研究ができること。2に若くて優秀な学生とともに過ごせること。3に好きなときに海外出張できること」だそうです。

そして、工学部の教えは、

第一条 決められた時間に遅れないこと
第二条 一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべく努力すること
第三条 専門以外のことには、軽々に口出ししないこと
第四条 仲間から頼まれたことは、(特別な理由がない限り)断らないこと
第五条 他人の話は最後まで聞くこと
第六条 学生や仲間をけなさないこと
第七条 拙速を旨とすべきこと

だそうです。

私も、今年から医者より、研究者より、教員である時間が長くなり、ヒラノ先生の悲哀がとっても身にしみました。


2011.04.18

カズオイシグロ

私は、半年前まで、カズオイシグロのことを知りませんでした。半年くらい前に、名前だけ知ったのですが、なぜ、カタカナ?そういうレベルでした。

日曜日の夜にNHKでカズオイシグロの番組をやっていましたた。ETV特集「カスオイシグロをさがして」という番組です。

その中の福岡センセイとカズオイシグロの対談がまったくもって退屈。このインタビューが番組全体のリズムを崩していて、残念ながら、この番組を見ていても、カズオイシグロが、どうして、そこまで人気がある作家なのかまったくわかりませんでした。

しょうがないから、まずは、一冊買って読むしかないなと思い、「私を離さないで」を丸善で購入しました。AMAZONには、まったく在庫がありませんでした。

私は、英語の小説(もちろん翻訳しているもの)を読むのがきわめて苦手なので、読了確率10%以下ですが、読み終わった暁には、また、紹介したいと思っています。

2011.04.15

本の紹介「モモ」ミヒャエル・エンデ

「モモ (岩波少年文庫(127))」

著者:ミヒャエル・エンデ、出版社:岩波書店 (2005-06-16)、ASIN:4001141272【amazon.co.jp

子供向けに書かれた小説ですが、大人が読んでも楽しめる小説です。

イタリア・ローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれてしまい、皆の心から余裕が消えてしまう。しかし貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人自身をとりもどさせてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで奪われた時間を取り戻すというストーリー。

時間に追われ、ものの本質、余裕を持つことを忘れてしまった、現代人への警鐘を鳴らした一冊。

スリリングなストーリー展開で、あっという間に読み終えることができました。岩波少年文庫は、本当に、よい作品が多い。


「エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)」

著者:河邑 厚徳、出版社:講談社 (2011-03-22)、ASIN:4062814196【amazon.co.jp

「モモ」「はてしない物語」などで知られるファンタジー作家ミヒャエル・エンデが日本人への遺言として残した一本のテープ。これを元に制作されたドキュメンタリー番組(1999年、NHK放送「アインシュタイン・ロマン」)から生まれたベストセラー書籍。


2011.04.11

積ん読本2011年3月

ほとんどの研究会、会議、夜の予定がキャンセルされ上、一冊目が脱稿できたので、ゆっくり本を読む時間が取れるようになりました。3月の積ん読本、紹介し忘れていたので、取り急ぎ。すでに、読み終わったものも多いのですが、、、。

「枠からはみ出す仕事術」

著者:美崎 栄一郎、出版社:サンマーク出版 (2011-03-14)、ASIN:4763131400【amazon.co.jp

著者の美崎栄一郎さんは、花王で、数々のプロジェクトに携わるかたわら、社外の活動で、築地朝食会などの人気勉強会を主催する「スーパーサラリーマン」です。やる気と成果を最大にする26のスイッチを紹介した本です。

会社の枠だけに収まらずに、少しだけ、はみ出す。その極意を紹介した本です。


「「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」

著者:美崎 栄一郎、出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション (2009-09-11)、ASIN:4901491938【amazon.co.jp

枠からはみ出す仕事術」を読んで、すっかり美崎栄一郎さんのことが気に入ったので、美崎さんの一番売れた、この本を購入しました。ノートを中心にしたライフハック本です。この本は、自分のライフハックを考え直す上で、たくさんの示唆を与えてくれました。でも、私は、このようなノートの使い方はできません。ルールを考えて、ノートを使い分けるなんて事はできません。私のノート術は、すべてをモレスキンに書くことと、それ以外に一切ルールを設けないことです。


「「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編 」

著者:美崎 栄一郎、出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション (2010-06-25)、ASIN:4904899016【amazon.co.jp

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」の続編。いろんな方が、どんなノート術を使っているを紹介。私は、前著よりこっちの方が、読んでいて楽しかったです。でも、私のノートのルール(ノートの使い方にルールを一切設けない)は変わりません。


「[書類・手帳・ノート・ノマド]の文具術 楽しんで仕事の効率をあげる!」

著者:美崎 栄一郎、出版社:ダイヤモンド社 (2011-01-28)、ASIN:4478013144【amazon.co.jp

これも美崎さんの本。文具フェチの私にとっては、とても楽しい一冊でした。役に立つ文具、デザインのよい文具を紹介すると同時に、それをどうやって使いこなすか。たくさんのアイデアの詰まった一冊です。


「麒麟の翼 (特別書き下ろし)」

著者:東野 圭吾、出版社:講談社 (2011-03-03)、ASIN:4062168065【amazon.co.jp

本の帯には、加賀恭一郎の最高傑作とある。買いたいけれど、今は読む時間がない。文庫本になるのを待つか、、、。


「バムとケロのもりのこや」

著者:島田 ゆか、出版社:文溪堂 (2011-01)、ASIN:4894237075【amazon.co.jp

バムケロシリーズは、私が一番好きな絵本の最新シリーズ(2006年9月7日のブログ参照)。島田ゆかさんは、寡作なので、新しい本が出るのが、本当に待ち遠しいのですが、待っただけの価値のある本です。


「After the Quake: Stories (Vintage International)」

著者:Haruki Murakami、出版社:Vintage (2003-05-13)、ASIN:0375713271【amazon.co.jp

神の子どもたちはみな踊る」の英訳本。


2011.02.19

積ん読本2011年2月

現在、執筆が佳境にさしかかっているため、積ん読本がどんどん増えて、なかなか書評を書けないものですから、とりあえず、紹介だけしておきます。

「ライフハッカー[日本版] 辛そうで辛くない人生と仕事が少し楽になる本」

著者:ライフハッカー[日本版]編集部、出版社:朝日新聞出版 (2011-02-18)、ASIN:4023308587【amazon.co.jp

「ライフハッカー[日本語版]」から選りすぐった人生に役立つTips集


「キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)」

著者:佐々木 俊尚、出版社:筑摩書房 (2011-02-09)、ASIN:4480065911【amazon.co.jp

ベストセラー本「電子書籍の衝撃」の続編。


「イングリッシュ・モンスターの最強英語術」

著者:菊池 健彦、出版社:集英社 (2011-01-26)、ASIN:4087860019【amazon.co.jp

引きこもり留学でTOEIC990点満点を24回更新中。


「英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)」

著者:斎藤 兆史、出版社:中央公論新社 (2000-05)、ASIN:4121015339【amazon.co.jp

歴代の英語の達人、岡倉天心、野口英世、白州次郎ら、10人を紹介。


「街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫)」

著者:内田 樹、出版社:角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-12-25)、ASIN:4043707045【amazon.co.jp

内田樹先生の大学論。


「村上春樹 雑文集」

著者:村上 春樹、出版社:新潮社 (2011-01-31)、ASIN:4103534273【amazon.co.jp

これ、とってもおもしろくて、もったいなくてなかなか読めません。


「もういちど 村上春樹にご用心」

著者:内田 樹、出版社:アルテスパブリッシング (2010-11-19)、ASIN:4903951375【amazon.co.jp

これも、もったいなくて、今は読めない。


「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」

著者:カーマイン・ガロ、出版社:日経BP社 (2010-07-15)、ASIN:482224816X【amazon.co.jp

だいぶ、病状が悪化しているようですが、また、あのプレゼンが見たい。


「BEST of 東京いい店うまい店」

著者:文藝春秋編、出版社:文藝春秋 (2010-11-26)、ASIN:4163733701【amazon.co.jp

ミシュランより、はるかに常識的だと思う。


2011.01.04

本の紹介「医療者のための伝わるプレゼンテーション」

「医療者のための伝わるプレゼンテーション」

医学書院、ASIN:4260011650【amazon.co.jp

最近、ちらちらとこの本を紹介していますが、読み終わったので、本格的に紹介しておこうと思います。

プレゼンテーションについての本と言えば、PowerPointなどのソフトウェアの使い方の本であったり、PowerPointのスライドのデザインをどうするかという本がほとんどです。

しかし、プレゼンテーションのデザインの際には、プレゼンテーション全体のデザインをどうするかと言うことが重要であり、その次が、1枚1枚のスライドのデザインの話になるわけです。しかし、このプレゼンテーション全体のデザインに言及しているプレゼンテーションの本はきわめて少ないです。特に、医学のプレゼンテーションでは皆無でした。

本書は、メディカルプレゼンテーションとしては、唯一、プレゼンテーショ