「一歩進んだPalm」

「一歩進んだPalm」

著者:粟飯原輝人編、税込価格:¥ 3,675(本体:¥ 3,500)、出版:羊土社、ISBN:4897066883、発行年月:2004.11【bk1】【amazon.co.jp】【目次

右脳^^部屋」を主宰されている粟飯原氏による第2弾のPalm本です。前作の「医療に使えるPalm」【bk1】【amazon.co.jp】は医療関連のソフトウェア(Palmwareと呼ぶ)の紹介に終始していたような印象がありますが、第2弾の本著は医療の現場でPalmが活躍するソリューションを具体的にわかりやすく紹介しています。「一歩進んだ」との枕詞がついていますが、「Palmを持っていないけれども、どの機種を買えばよいのか」、「WindowsやMacとのデータの同期はどうするのか」といった入門者向けの情報から丁寧に解説されています。圧巻は第5章の「データベースや辞書の作り方」でしょう。医療者がPalmを使う最大のメリットは、とてもすべては覚えきれない薬やその用量をはじめとした各種リファレンスをコンパクトなPalmに収められることだと思っています。アメリカではたくさんの医療者向けデータベースが手に入りますが、日本のものは十分にそろっているとは言い難い状況です(それでもPalm版「今日の治療薬」のおかげでだいぶ状況は改善しています)。各病院に採用された医薬品のデータベースやお手製のデータベースをPalmに入れるにはどうすればいいのか、代表的なデータベースソフトを紹介しながら、オリジナルのデータベースの作り方を解説しています。また、ファイルメーカーmobileを使った症例管理も魅力的なソリューションです。第6章の「Palmの達人はこう使っている!」では、Palmの達人たちがどんなPalmwareを自分のPalm機にインストールしているか、どんな使い方をしているかという興味のある記事です。私自身はUS Roboticsという会社がPalmを作っている頃からのPalmフリークではあります。その頃のPalm機はOSが英語しか扱えなかったので、いろいろなパッチをあてて日本語化して使っていたのですが、1ヶ月に1回くらいフリーズし、そのたびに全部やり直さなければならなかったというのがトラウマになって、現在では、極力デフォルトのまま使うようになっています。しかし、本著は、そんな私を「また、Palmをいじってみよう」と思わせる、そんな好著であります。

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