Harvard Macy Institute Assessment Workshopに参加してきました

今回参加したWorkshopは、Harvard Macy instituteの主催する「A Systems Approach to Assessment in Health Science Education - 2010」。

まずは、Harvard Macy Instituteについて説明しておきます。Harvard Macy Instituteは、Harvard大学の関連施設ではありますが、Josiah Macy Jr. Foundationによって設立された医学教育に特化したInstituteです。Harvard Medical Schoolの医学教育室が、Harvard Medical Schoolの教育そのものの運営に専念するのとは、対照的に、Harvard Macy Instituteはもう少し外向きのミッションを持っていて、毎年3つのプログラムを開催して、1994年から、3000名あまりの学外の教育者を養成しています。

参加者は全部で36名。アメリカとカナダからの参加者が約2/3で、残りは、それ以外。日本(は私1人)、台湾、ドイツ、アイルランド、オランダ、スペイン、フィジー、オーストラリア、レバノン、スウェーデン。アメリカ、カナダの参加者は教育学修士、または、教育学博士を持っている人が多かった(MDとnon-MDは半々)。医学教育関連が9割だが、そのほか、歯学教育、獣医教育、看護教育の方もいました。

メイン会場は、New Reaserch Buildingの会議室。

今回のプログラムは、日曜日のお昼から、金曜日のお昼まで、実質5日間のプログラム。そのWorkshopの進め方は大変、興味深いものだったので、少し詳しく紹介させていただきます。

5日間は、毎日、だいたい同じフォーマットでスケジュールが進んでいきます。

(1) 8-9時:Journal Club

6人ずつくらいのSmall Groupに分かれて、Facultyが一人、Facilitatorとして担当します。毎日、2つのArticleが指定されます。多くの文献は、医学教育、特にassessmentに関する論文が多いのですが、Harvard Bussiness Reviewなども混じっていて、ボリュームも結構なもの。畑違いの私には、読み通すだけでもなかなかハード。前の日にこの文献を読み通すため、睡眠時間が削られます。

(2) 9:30-10:30:Case Study

これはなかなかおもしろいスタイルの講義で、様々なケースを提示され、参加者全員でどのように解決するかを議論するというものです。ケースとして取り上げられたのは、実在する工科大学のカリキュラムプランニング、ある医学部の3年生のOSCEディレクターとして雇い入れられたディレクターのおかれた問題の解決、UKのレジデンシープログラムの問題点と解決法、ハーバード大学の関連病院における医療安全管理システムの構築。などで、きわめて具体的なケースディスカッションです。

(3)10:45-12:0:Lecture

唯一この時間がLectureらしいスタイルものでしたが、それでも、半分近くの時間はディスカッションです。

(4)13:00-14:30:Institutional Planning Group

私にとっては、この授業がもっともハードであり、もっともためになりました。参加者は6名ずつのsmall groupに分かれます。担任が一人付きます。私たちの担任は、Dr. Louis Pangaroという大変厳しい先生でした。私だけでなく、アメリカ人のクラスメートも途中で音を上げていました。

月曜日から水曜日までは、2名ずつがプレゼンテーションをします。目的は、自分の大学・施設が抱える問題を提示して、みんなで考えるというものです。10分間で、まず問題点をプレゼンテーションします。そのあと、クラスメートから、問題点をクラリファイするような質問を受けます。そのあと、プレゼンテーションをした担当者は、後ろに下がって、一切口をきいてはいけません。残りの5人と担任で、何が問題でどのように解決したらよいかディスカッションします。その際に、いろいろな意見をクラスメートが出すのですが、それを、担任の先生が、見事なロジックで、抽象的な言葉に落とし込んでいきます。ディスカッションは30分くらい続くでしょうか。これを1日に2人おこないます。そして、最後の木曜日は、みんなからのサジェスチョンを受けて、Action Planを組み立てて、それぞれが発表しました。

(5)14:45-17:00:選択授業

small groupの選択授業が12個ほど用意されています。自分の興味に従って、毎日2つの授業を受けます。なかなか、具体的な話が多く、役立ちました。用意されていた授業は、シミュレータを用いた授業、OSCE、ハーバード大学で新しく始まったClerkship、UKでのQuestion Bankプロジェクト、Schorshipなどです。

(6)17:00-:Socialize

3日間は、Dinnerもしくは、チーズワインパーティが用意されていました。多くのクラスメートと仲良くなるチャンス。このWorkshopのもう一つの大きな目的は、FacultiesとStudents同士が仲良くなり、Networkとなることなのです。

Journal Club以外にもすべての授業で、1-2の論文が指定してあって、事前にそれを読んでくることが要求されます。読んでいることをベースにいきなりディスカッションが始まってしまうため、読んでいかなければ、まったくついていけません。そんなわけで、毎日5-10の文献がhomeworkとして指定されるわけで、これがホントにきつかった。

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