JビザからHビザへのステータスの変更の体験談

嶋崎幸生さんから、JビザからHビザへのステータスの変更を行い、日本へ一時帰国してHビザスタンプを取得してされた体験談をいただいたので掲載します。

Hビザの申請(ステータスの変更)

私の場合、ボストン大学医学部で3年間、研究室の移動に伴ってマサチューセッツ州立大学医学部でさらに2年間、いずれもJビザ(2年間の帰国義務なし)で研究を続けていました。2009年5月14日にJ-1プログラムが終了するにもかかわらず、ビザのステータス変更の申請準備が遅れていました。2008年の12月より、まずPIと、アメリカでの研究生活のゴール、プロジェクトの実現の見通し、滞在期間延長の必要性などを少し時間をかけて話し合い、JビザからHビザへの変更についてPIから承諾を得ました。以後、当大学でのHビザ申請の準備は、以下の様になりました。

ステップ1: H-1Bビザの申請資格の学内審査のために、学部学科(私の場合はDepartment of Medicine)の担当者と私で、雇用期間、給与額、雇用主のサインなどが記入された学内用の申請書を作成してISSO(International Students and Scholars Office)に提出・・・・・・2009年1月30日

ステップ2: H-1BビザのスポンサーなどについてISSOが書類を審査、パスすれば、労働局(DOL)とともに一般賃金との比較などを行い、ISSOから労働局へLCA(Labor Condition Application)を提出・・・・・・2009年2月2日

ステップ3: LCAが認定されるまでの間、移民局(USCIS)へHビザを申請するのに必要な書類を、学部学科と申請者のそれぞれで作成、チェックリストとともにすべての書類をISSOへ提出・・・・・・2009年2月6日(学部学科)、3月10日(申請者)
• 学部学科より: PIからのH-1B Support Letter; Processing Fee($320); “Anti-fraud” Fee($500)
• 申請者より: 英文の学位証明書; CV; I-94とパスポートおよびDS-2019のコピー; H-4申請書類(Form I-539、家族それぞれのI-94とパスポートおよびDS-2019のコピー、英文の婚姻証明書と出生証明書、J-2の労働許可証のコピー); Form I-539のfiling fee($300)

ステップ4: H-1Bビザ申請書(Form I-129他)およびH-4ビザ申請書(Form I-539他)をISSOから移民局へ提出・・・・・・2009年3月11日

最終的に、私と家族全員のI-797A(Approval Notice of H-1B or H-4)がISSOへ郵送されてきたのは、2009年4月6日でした(移民局は3月12日に受領、3月27日に通知、と記載されています)。

準備はしていたのですが、私の場合、申請前に外部機関からのCredential Evaluation(日本での最高学位に対する信認評価)を受けず、また、Premium Processing Fee($1000)を支払わなかったのは、ISSOのビザ担当者との面談を経て、そのアドバイスに従ったからです。当大学のHビザ申請者の95%は学位の認定書を提出しておらず、その費用を節約しており、仮に移民局から申請後にリクエストがあっても、それは審査の終了後ではなく、審査の途中であるためその時点で行えばよい、というものでした。Premium Processing については、申請書類の提出後一ヶ月ほど待ってI-797Aの通知がなければ、その時点で申請する、という方針を立てました(当時は、リーマン・ショックからまだ数ヶ月しか経っておらず、急速に景気が後退、アメリカ企業による外国人の雇用申請が極端に減っており、移民局によるH-1Bの審査プロセスが非常に迅速になっているらしい、という情報に基づいたものでした)。

振り返って見ると、出身大学・大学院から英文の学位証明書を発行していただくのに、日本に住む両親を通じて申請しなければならなかったため、入手まで一ヶ月ほどかかってしまいました。私の場合、ビザの申請時に学位の認定書を添付しないため、MDとPhDの両方の学位証明書、および学部と大学院の両方の成績証明書も移民局に提出しました。みなさんが体験談でアドバイスされている様に、とにかく英文の学位証明書をできるだけ早く入手され、以後、余裕を持って申請準備を進められる事をお勧めします。

Hビザスタンプの申請(アメリカ大使館での面接)

私が研究室で長期休暇を取りやすく、また娘たちが日本の公立小学校に体験入学のできる7月に、3週間ほど帰国する予定を立てました。私たちは九州出身ですが、福岡や大阪・神戸領事館ではなく、面接の予約枠の多い東京大使館で面接を受ける事に決めました。4月中はまだ7月の面接のオンライン予約ができず、5月17日にようやく7月8日の予約を取ることができました。ビザスタンプ取得目的の一時帰国についてISSOに連絡した際には、多くのtravel adviceをいただき、updated employment letterを人事課に準備してもらう様に勧められ、その様にしました。I-797Aはもちろんですが、I-129(コピー)も忘れないようにしました。

私と家族にとって5年ぶりの帰国で、ボストンからカナダ・トロント経由での長時間のフライトや時差による疲れは予想通りでしたが、日本での蒸し暑さ(まだ梅雨が明けていませんでした)にはかなり閉口しました。空港内でも、(省エネのためか)エアコンの温度が高めに設定されている様に感じました。面接日までわざと2日半ほど空けていましたので、大使館に近い赤坂のホテルに宿泊して私も家族も休息を取りつつ、カラー写真の撮影(現在は、新規のDS-160オンライン申請書にカラー写真をアップロードする事が必要で、さらにプリントされたカラー写真を面接時に持参する事が必要な様です)、ゆうちょ銀行での申請料金の支払い、エスパック500(現在は、レターパック500)の購入などを行いました。当日は午前9時の予約で、入館して2時間近く待ちましたが、家族全員が領事の方と少しずつ質疑応答を行った後、「あなたのビザ申請は、面接が終了して許可されました」という紙を渡され、午前11時ごろ終了しました。

アメリカ出国・入国審査

I-797AがISSOへ郵送されてきた直後にISSOの税務担当者と面談がありました。当大学ではI-797Aを個人で保管する様になっており、またI-797Aの右下にあるアップデートされたI-94(出入国カード)を切り離して、すでにパスポートにあるオリジナルのI-94に重ねてホチキスで止めておく様に説明されました。さらに、「出国時に」アップデートもオリジナルもI-94カードは両方ともパスポートから回収される、そして「入国時」に新しいI-94が発行される、との事でした。私たちは、ボストンの空港のチェックイン・カウンターで、これから出国してトロントに向かうため、エア・カナダのスタッフに説明してI-94を両方とも回収してもらいました。トロントでは、カナダの入国審査しかありませんでした。

帰りは成田からトロントに入って一泊したのですが、翌朝のトロント-ボストン便にチェックインする前に新しいI-94に必要事項を記入、そのあと移民審査官から少し質問を受け、H-1B(またはH-4)ステータスである事とその有効期限をそれぞれのI-94に記載してもらいました。ただ、その若い女性の審査官には(確認のために一度席をはずして戻って来てから)、「I-797AのアップデートされたI-94は、再入国までずっと保持しておくべきだった」と諭されました。

長くなりましたが、以上がHビザに関する私と私の家族の体験談です。これから申請される方々にとって、少しでもお役に立つことがありましたら幸いです。

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