2016.09.04

2016年9月積ん読本

夏休みはかなり本を読みましたが、それでも積ん読本がたまっています。半分ほどは読み終わっていますので、簡単な感想も合わせて、紹介します。

 

マチネの終わりに
マチネの終わりに
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平野 啓一郎
毎日新聞出版 (2016-04-08)

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)の大人のラブストーリー。美しい文章。美しいストーリー。パリのシャルルドゴール空港でのトランジットの待ち時間で読んでいたら、とても実感がありました。

黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)
リシャルト・カプシチンスキ
河出書房新社

読書狂の友人に、おすすめの本を聞いたら、間違いなく2015年のベスト本と紹介されたのが本書。40年に及ぶ取材でえがいたアフリカのルポタージュ。

ヨーロッパに留学する11人の若手医師の体験談。私が、推薦の帯を書かせていただきました。「なぜいま、志高い医師が、アメリカではなく、ヨーロッパを留学先に選ぶのか。この本を読んで合点がいきました。」

敬愛する杉本俊郎先生の著書。本書の半分強は、電解質、酸塩基平衡異常の最新のレビュー。ありきたりの解説ではなく、最新の文献を丁寧に読み込んだ素晴らしい内容です。

第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。セゾングループの総帥だった堤清二氏の最晩年のインタビューをもとに書かれたノンフィクション。堤清二氏の視点で、西武王国創始者である父、堤康次郎、弟の義明について語られています。

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか
アトゥール・ガワンデ
みすず書房

現役外科医にして「ニューヨーカー」誌のライターでもある著者ガワンデが、圧倒的な取材力と構成力で読む者を引き込んでゆく医療ノンフィクション。全米75万部のベストセラー。

医師の感情はコントロール可能か?直視されることのない医師の感情-共感や悲しみ、恥やストレス、または訴訟リスクへの対応など、さまざまな問題を紹介。また、それが患者に及ぼす影響についても解説を加える。現役の医師自らがひもとく、感情のルポルタージュ。

人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の光は変わる?お茶を必死にかき回したら沸騰させられるかな?どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?元素周期表を現物の元素のキューブを積んで作ったら何が起こる?こうした突拍子もない思いつきも、理系思考をこらして検討すれば、そこからは驚くべき結論が導き出され、何よりその結論は笑える!元NASAの研究者が物理と数学とマンガで読者の疑問に全力を挙げて答える、人気のマンガ科学解説サイトを書籍化したベスト&ロングセラー。

数学する人生
数学する人生
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岡 潔
新潮社

デビュー作『数学する身体』が話題の若き独立研究者、森田真生による編集と渾身の解説で、農耕と研究に明け暮れた孤高の天才数学者・岡潔の魅力を炙り出す。岡の名随筆に加え、食エッセイ、日記、写真、そして岡夫人による文化勲章騒動記も収録。その素顔とともに、数学の枠にとどまらない、人間の本質に迫る思考に触れる、珠玉の選集。

僕がはまっているアウトラインプロセッシングについて、もっとも詳しい本。 2015年に電子書籍として発売された『アウトライン・プロセッシング入門』が、大幅に書き直されて出版されました。

本を読む人だけが手にするもの
藤原 和博
日本実業出版社

「本を読む習慣がある人」と「そうでない人」に二分される階層社会になりつつあるという主張に大いに賛同します。

ぼくらの仮説が世界をつくる
佐渡島 庸平
ダイヤモンド社

1600万部超! 『宇宙兄弟』、600万部超! 『ドラゴン桜』を大ヒットに育て上げた編集者であり、作家エージェント会社「コルク」を起業した、いま注目度ナンバーワンの編集者/経営者、初の著書! 佐渡島さんを間近に見ていた友人から薦められた一冊。

医師のための知的生産術って本をいつか書いてみたいと思っているのです。

価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス

メディカルサイエンスインターナショナル

EBMを補完する新しい方法論 「価値に基づく診療(VBP)」がよくわかる! 本邦初の実践的解説書

ちきりん氏と、世界一のプロゲーマー梅原大吾氏の異色人生対談。「梅原さんは学校が嫌いで、授業中は寝てばかりいたという。それなのに私の周りにいる、一流大学を出た誰よりも考える力が凄い。いったいどこで学んだの? 学校の役割って何なんだろう……」。そんな、ちきりん氏の疑問から始まったこの対談は、「いい人生の探し方」にまで発展しました。

2016.09.02

本の紹介「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」

科研費の時期がやってきました。羊土社の『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請書の書き方本の先駆者であり、ベストセラーですが、昨年あたりから、本書を追撃する本が、いくつかの出版社から出版されました。よほど、売れるんでしょうね。

さて、本家の児島将康先生は、どうするのかと思っていたら、まったく違うコンセプトの科研費申請書の書き方本を出してきました。

児島先生いわく、『科研費獲得の方法とコツ』が長編小説だとすると、今回の『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック』は短編小説集とのことです。『科研費獲得の方法とコツ』がベストセラーになる中、たくさんの大学の科研費申請セミナーに呼ばれ、たくさんの相談を受ける中で、科研費申請書を書く研究者に共通した悩む箇所が理解できたとのことです。

そのような陥りやすい箇所を、78の実例を添削する形でアドバイスしているのが本著です。

さっそく読ませていただきましたが、本書は、 『科研費獲得の方法とコツ』に変わる本ではないと思います。

私なりのお勧めとしては、はじめて科研費申請書を書く人には『科研費獲得の方法とコツ』をお勧めします。何回書いても、なかなか通らないという人は、本書を読むことで、展望が開けるかも知れません。また、若手研究者を指導されている方は、本書を読むと、若手研究者が書いた科研費申請書のチェックリストのような使い方ができるのでおすすめです。

というわけで、『科研費獲得の方法とコツ』と本書を、うまく使い分けるといいと思います。他社からも何冊か、科研費申請書の書き方本が出ていますが、児島先生のレベルにはまったく達していませんので、おすすめしません。

科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック
児島 将康
羊土社 (2016-09-02)

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