2003.04.11

手抜き実験のすすめ

大学院時代にお世話になった研究室は決してお金がないということはなく、むしろ、研究費は潤沢でしたが、何でも自分でやるというのが方針のラボでした。オリゴヌクレオチドの作成や精製は自分でやりましたし、白黒の写真の現像も自分で暗室にこもっておこなっていました。思い出してみれば、キットを使った経験はほとんどありません。現在の何でもキットのご時世からは信じられない話かも知れませんが、そのときの経験は今でもとても役に立っています。

そして、もうひとつよく言われたことが、オリジナルのプロトコールを忠実に守り、自分で勝手に省略したり変更したりしてはいけないということでした。オリジナルのプロトコールには、行間に書かれたTIPSが隠れていて、問題ないだろうと勝手に変更したり省略したりすると、うまくいかないことが多いと言われました。私も多少遠回りに思えたことでも出来る限り忠実に守っていました。

ただ、その研究室を離れると、ついつい安易な道をえらび、手抜きを覚えていきました。時に痛い目に遭うこともありましたが、手順が省けるというのはスピードの点から言うと重要です。たとえば、大腸菌のトランスフォーメーションでヒートショック後にアンピシリン入りのプレートにまくまでに60分間SOCで大腸菌を培養する。これはアンピシリン耐性遺伝子が発現するまでに小一時間かかるからと教えられましたが、実際には、この60分間の培養が必要ないということがわかったときには毎日の実験が1時間スピードアップしました。また、アガロースゲルを作る際、アガロースゲルが溶けてから型に流し込むまで10分くらい温度が下がるのを待ちますが、2倍の濃度で電子レンジでアガロースを溶かし、溶けたら等量の室温のバッファーを加えれば、すぐに型に流し込めます(固まってしまいそうで怖いのですが、絶対に固まりません)。これも私の実験のスピードアップに大きく貢献しました。

羊土社の新刊「手抜き実験のすすめ」は実験医学に4年間にわたって連載された手抜きテクニックを集めたものです。上に紹介した2つのテクニックも含め、たくさんの手抜きテクニックが紹介されています。紹介されたテクニックの中には、チップやチューブはオートクレーブする必要なしというのものまでありますが、私は今のところオートクレーブはしています。

こういう手抜きテクニックというのは、各研究室秘伝だったりして、なかなか知ることが出来ないもので貴重です。ちなみに、パート1の部分は実験をする上での心構えになっていますが、ちょっと冗長かもしれません。

「手抜き実験のすすめーバイオ研究五輪書」
著者:福井 泰久、岩松 明彦著、本体価格: \2,900、出版:羊土社、ISBN:4-89706-358-2、発行年月:2003.4【bk1】【amazon.co.jp

2003.04.06

ビザ取得情報データベース

最近では、ビザ取得に関して様々なシステム変更があり、さらに戦争が始まったことによって、どのくらいでビザがとれるかが全くわからなくなっています。メーリングリストや研究留学フォーラムの方で断片的な情報は伝わってきますが、これからビザ取得、更新をおこなおうという人にもっと情報が欲しいというのが本音でしょう。

このような研究留学を目指す人の危機とも言える状況で、研究留学ネットとして何か出来ることはないか?私なりに出した結論が、「ビザ取得情報データベース」を立ち上げることでした。最近ビザを取得・更新した方から情報をお寄せいただくことで、各領事館におけるビザ取得に必要な時間をはじめとした情報を得ることが目的です。

最近ビザを取得・更新した方は是非、こちらからご協力下さい。

2003.04.04

Life with PhotoCinema

エイプリルフール企画のために作ったシアトルのビデオクリップを妻に公開前に見せたところ、普段あまりおどろいたりしない妻がえらく感激していました。自分でもずいぶんいいのが出来たとご満悦でした。きっと、Guestbookで「あのビデオクリップはどうやって作ったんですか?」などと聞かれるるのではないかと期待していました。ところが、誰からも何の反応もなし。

仕方がないので、自分で勝手に作り方を説明します。

あのビデオクリップはLife with PhotoCinemaというソフトを使って作りました。このソフトは10枚くらいのデジタルカメラの写真から、10分ほどでクールなPhotoCinemaが出来るというソフトです。昨年の春に発表されて、数々の賞を受賞し、密かに話題になったソフトです。以前から欲しいと思っていたのですが、1月頃に、今年のエープリルフールのネタはこれだと思い、さっそく買ったのでした。

言われているように、数分でクールなPhotoCinemaができあがります。「おまかせ」で作る限りに置いてはほとんどマニュアルも必要ありません。ただ、「おまかせ」ではなく、自分でエフェクトや切り替えを考えて作るとなると、それなりに大変だったりします。私の場合、半日くらいかけて、あのPhotoCinemaを作りました。やり始めると結構はまってしまい、自分がVJ (Video Jockey)にでもなったような気分になるソフトです。

デモ版もあるので、一度お試しを。

福岡

昨晩、福岡から戻ってきました。

わずか、27時間の短い滞在でしたが、あらためて福岡の良さを実感。私にとって、福岡は好きな地方都市のかなり上位にはいるのですが、その一番の理由が、街が適切な規模で、便利できれいだということ。空港から町の中心部まで地下鉄で10分ほどというのがいいですね。

今回はシアトル時代の友人2人と食事をしたのですが、行きつけのおいしい小料理屋へ連れて行ってくれました。しばらくぶりの再開に話も弾み、発表の前夜というのに、ずいぶん遅くまで中州で飲んでしまいました。

ちなみに、今回も激安ビジネスホテルだったのですが、インターネットは高速で快適でした。部屋の大きさは4950円に見合ったものでしたが、、、、。

2003.04.01

帰国して1年

ここまでたどり着いていただいてありがとうございました。

帰国して1年。Seattleを忘れないために、手持ちの写真を使ってクリップを作ってみました。いかがでしたでしょうか?だいぶ力を入れたので、かなり重たくなってしまいました。すいません。

昨年に続き、研究留学ネットのエープリルフールバージョンでした。

このクリップは現在、こちらで見ることが出来ます。

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