2013.06.25

本の紹介『モチベーション3.0』

医師のキャリア、生涯教育について、Facebookに1週間ほど前に以下のように書きました。

従来、頼りになった組織は、これからは、だんだん、危うくなっていくので、ゆるやかなつながりを大切にしていきたいと思います。また、そのような社会の変わり目に対応できるような柔軟さを身につけていなければいけないと思います。そして、今まで高いハードルだと思っていたものはずいぶん低い垣根になっているので、勇気を持って飛び越えられるしなやかさを持ち続けていたいと思います。

そしたら、一つ、質問されました。「組織が頼りにならなくなり、つながりと言っても、そちらもずいぶん頼りがいがなさそうに思えます。今後、どうやって、自分のキャリアや学習を考えていけば良いのでしょうか?」。答えになっているかどうか分かりませんが、是非、ダニエルピンクの書いた、『モチベーション3.0』を読んでみて欲しいと思います。

彼の主張をまとめておきます。

社会や人を動かす基本ソフト(OS)として、人類最初のものは、生存を目的とする原始的なものだった。生理的動因がすべての行動を規定していた。この初期のOSをモチベーション1.0と呼ぶことにする。19世紀以降、いわゆるアメとムチに基づく、与えられた動機づけによるモチベーション2.0が導入された。このOSはルーチンワーク中心の時代には有効であったが、21世紀を迎えて機能不全に陥っている。21世紀のモチベーションは自分の内面からわき出る「DRIVE」に基づく、モチベーション3.0が有効である。モチベーション3.0には三つの重要な要素がある一つは、自律性(オートノミー)、自分の人生を自ら導きたいという欲求のこと。二番目は、熟達(マスタリー)、自分にとって意味のあることを上達させたいという衝動のこと。三番目は目的、自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、という切なる思いのこと。

もちろん、社会の組織が、いきなり、すべてモチベーション3.0に置き換わらないと思っています。でも、モチベーション3.0的な考え方を身につけることは、これからの世の中を渡っていく、しなやかさを身につけることに必要なことと思います。

2013.06.16

2013年6月積ん読本

木曜日あたりから、急に自分探しの読書の旅に出たくなって、乱読。

結論から言えば、一番期待していた、ちきりんさんの「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」には、ひどくがっかりし、「一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ」もがっかり。「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」と野村監督の「監督の器 」はけっこうおもしろくて、平野啓一郎氏の「私とは何か――「個人」から「分人」へ」が、腑に落ちて、旅は終了。

最近、仕事がたまっているせいか、本を読んでいても、入り込めない自分がいます。

40代を境目に、二種類の人生を生きようという本。かなり期待していたけどがっかり。前半の、今まで当たり前だったことが、当たり前でなくなっていることは、よくわかりました。でも、この本の主張である「人生を2回生きる」というのは、1回目の人生でそこそこ成功しなければ、2回目の人生は難しいと思う。ちきりんさんは、1回目の人生を元手に2回目の人生を模索しているわけだから、まったく違う人生を生きているわけではないと思うんですよね。

私も、仕事場での顔、学生向けの顔、家での顔、遊びでの顔、まったく違うからなぁ。

中央線がなかったら 見えてくる東京の古層
陣内 秀信 三浦 展
エヌティティ出版

まさにブラタモリの世界。暗渠マニアになりそうです。もう少し、歩けるようになったら、暗渠をたどりたいと思います。中央線沿線にお住まいの方にはおすすめ。

監督の器 (イースト新書)
監督の器
posted with amazlet at 13.06.16
野村克也
イースト・プレス

私、野村監督の解説って結構好きなんですよね。古田が、あれだけ野村監督に教育されたけど、もともと、捕手向きの性格ではなく、目立ちたがり屋で、投手のような性格だった。野村監督の教育が活かされたのは、リードより、打撃であり、投手のような性格は、ちょうど戦力が低下して、堪え忍ばなければ行けない状態のヤクルトの監督になってもうまくいかなかった。とか、おもしろかったです。

あまり参考にならず。

がっかり。

まだ、手つかず。

2013.06.14

新しいGRを2週間使って

新しいGR」が手元に届いてから2週間。術後で思うように歩けないので、なかなか「新しいGR」で撮るチャンスも少ないのですが、ようやく、「新しいGR」のキャラクターみたいなものが分かってきました。

これまでのGRと一番変わったのは、センサーサイズがAPS-Cサイズと大きくなったことです。その一番の恩恵は、ぼけるようになったことです。でも、逆に言えば、解放で撮ればそれだけ、ピントもシビアになります。せっかくぼけるのだからと、なるべくF2.8で撮ろうとしますが、後で見てみると、ピンぼけが多いです。Pだと、F2.8にならないように設定されているらしく、私のように下手な人間は、Pでの設定で撮っておいた方が良いのかもしれません。あと、暗いところでも、AUTO-HIにしても、あまりISOが上がらずに、シャッタースピードが遅くて、ぶれてる写真が多いです。

今までのGRは、押すだけで、そこそこの写真が撮れることが利点だったのですが、「新しいGR」は、ちょっと扱いが難しくなったように思いました。

さて、今回の「新しいGR」は買うかどうか、かなり迷いました。それは、なぜかというと、撮った写真をFacebookに上げることが多いので、iPhoneで撮ることが多く、GR4もほとんど持ち歩かなくなっていたからです。でも、「新しいGR」には、Eye-Fiとの連携機能がついていて、Eye-Fiを挿入しておけば、再生しながら、スマホに転送した写真だけ、転送できる機能があります。しかも、写真を縮小することができる!私のようにGRで撮って、Facebookに上げる写真だけ選んで、iPhoneに転送して、Facebookエントリーを作るような人には、ぴったりの機能です。

あと、35mmのクロップ機能も便利ですね。

まぁ、まだ、使いこなせていませんが、夏に向けて、リハビリをかねて、たくさん撮って克服しようと思います。

ハチ公君も都議選に向けて頑張っています。

私の大好物のとんきのとんかつ。

2013.06.13

紫陽花

東京もようやく梅雨らしくなってきました。松葉杖ついている人間にとっては、雨はかなりやっかいです。傘も持ちにくいし、杖が滑るし。でも、雨の季節しか撮れない写真もあると思えば、少し、うきうきするかな。

2013.06.06

本の紹介『「寄り道」呼吸器診療』

この本を見て、「やられた」と思いました。実は、この何年間も、私がやろうと思っていたことをこの本の著者に実際にやられてしまったからです。

私は、この数年間、きちんと腰をすえて、腎臓内科の臨床をしっかり勉強したいと思っていました。もちろん、持続力がなく、努力も下手な人間ですので、なんらかのメディアを使って、自分を律する必要があると思っていました。その方法として、Journalに掲載された腎臓病の臨床に関わる気になる論文を取り上げ、ブログで紹介するということをやりたかったのです。そのために、ドメイン(nephrology.jp)も用意して、Wordpressをインストールしてありました。でも、私が教育の部署に移って、すっかり、そんな時間もとれなくなってしまい、このプロジェクトは頓挫しておりました(今でも、開始したいという意思は持っていますが)。

本書の著者の倉原氏は、卒後7年目の若手の呼吸器専門医で、まさに私がやろうとしていたことを、「呼吸器内科医」というブログでおこなっていました。私は知らなかったのですが、今、読んでみると、とても質の高く、毎日更新されている素晴らしいサイトです。

かねがね、後輩が、どうやって臨床の勉強をしたらいいですか?と聞かれたときに、アウトプットを定期的に出すような工夫をするのがいいと答えていました。その方略の一つが、ブログであるとも、言っていましたが、みんな?という顔をしていました。

「寄り道」呼吸器診療の本の出来が、すべての人に勧められる呼吸器内科の定番本かと言われれば、NOかもしれません。少なくとも、呼吸器診療全体をオーバービューするという目的の本ではないと思います。しかし、どのReseach Questionも、実際に呼吸器診療をおこなう際にわき起こる純粋な質問であり、それらに一つ一つ文献を上げながら、エビデンスをまとめています。エビデンスを集めて、無理矢理答えを出してしまうのではなく、分からないものは分からない、悩ましいことは悩ましいままにしてあるところも好感が持てます。著者が呼吸器診療を行う上での疑問を解決する過程そのものが、一冊の本になったと言えます。

著者紹介に書かれた、「子供の頃からの夢だった医師になることができ、自分を支えてくれたあらゆる人に感謝している毎日です」という言葉が、素敵ですね。

私も、子供の頃から医師になるのが夢でした。こうして夢を叶えられていることに、もっと感謝して、真摯な気持ちで医学、医療にもう一度向き合いたいと思いました。

というわけで、この本の紹介と言うより、倉原医師の医師としてのありように感銘を受けたことを紹介する記事になってしまいました。

2013.06.05

本の紹介「レジデント必携!知っておきたいメンタルケアの知識」

まだ、若手の精神神経科医の方のようですが、前著の「一般臨床医のための メンタルな患者の診かた・手堅い初期治療」の時から、注目していまして、非専門医に上手に、精神神経科領域の知識をわかりやすく伝えてくれる良書です。聖路加でしっかり内科医としてのトレーニングを受けている著者だから、内科医が手を出すべきものと、専門医にゆだねるべきものを明確にしてくれており、安心感があるのでしょうね。特に、私のように、きちんと精神神経科のトレーニングを積んでいないような人間には、一冊目としておすすめです。

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